「予算を少しオーバーしそうです。」
「予算を少しオーバーしそうです。」
このお話も、ご相談の中で本当によく伺います。
家づくりを進めていくと、
少しずつ「これも入れたい」「あれも必要かもしれない」というものが増えてきます。
気がつくと、
最初に考えていた予算を少し超えてしまう。
そんなことは、決して珍しいことではないように思います。
でも私は、このお話を伺っても、すぐには「予算内に収めましょう。」とも、「このくらいなら大丈夫ですよ。」とも、お答えしないことが多いんです。
「何を追加したくなったのでしょう。」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、ご家族によって理由は本当にさまざまです。
「キッチンだけは気に入ったものにしたくて。」
「外壁を少し変えたくなりました。」
「収納を増やしたくなって。」
「子どものことを考えると、やっぱり……。」
同じ「予算オーバー」でも、
その背景には、それぞれ違う思いがあるように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「予算を削らないといけませんよね。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「今、一番残したいと思われているものは何でしょう。」
と、お聞きしてみました。
少し考えられたあと、
ご主人が、
「実は、庭なんです。」
と話してくださいました。
建物ではなく、
休日に子どもと遊べる庭を、一番楽しみにされていたそうです。
そのお話を伺って、
もしかすると、
見直すべきなのは予算ではなく、
優先順位なのかもしれない、と思いました。
庭を残すために、
別の部分を少しシンプルにする。
そんな考え方もあるように思えたのです。
もちろん、
予算を守ることは、とても大切です。
家は建てたあとも、
長く暮らしていく場所です。
だからこそ、
無理をしない資金計画は欠かせません。
一方で、
すべてを削ることが、
必ずしも満足につながるわけではないようにも思います。
本当に大切にしたかったものまで手放してしまうと、
完成したあとに、
少し寂しさが残ることもあるかもしれません。
ですから、
「予算を少しオーバーしそうです。」
と聞かれても、
私は、まず金額を見るのではなく、
何を残したいと思われているのか。
そこを知りたいと思っています。
家族で過ごす時間なのかもしれません。
毎日使うキッチンなのかもしれません。
庭なのかもしれません。
安心して返済を続けられることなのかもしれません。
その思いが見えてくると、
削るものではなく、
残すものが見えてくることがあります。
家づくりでは、
予算を合わせることも大切です。
でも、それ以上に、
限られた予算を何に使うのかが、そのご家族らしい家をつくることにつながるように思います。
私は、そんな優先順位を、一緒に整理していけたらと思っています。