「おしゃれな家にしたいんです。」

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「おしゃれな家にしたいんです。」

この言葉も、ご相談の中でよく伺います。

 

「せっかく建てるなら、素敵な家にしたくて。」

 

「SNSで見たような家に憧れます。」

 

そんなお気持ちになるのは、とても自然なことだと思います。

 

でも私は、このお話を伺っても、

「では、このテイストがおすすめです。」

とは、お答えしないことが多いんです。

 

まずは、

「どんなところを、おしゃれだと感じられたんですか?」

そんなふうに、お聞きすることから始めています。

 

すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。

 

「木の雰囲気が好きなんです。」

 

「ホテルみたいな落ち着いた感じが好きで。」

 

「余計なものがない空間に憧れます。」

 

「うまく説明できないんですが、何となく好きで。」

 

同じ「おしゃれ」という言葉でも、

思い描いているものは、それぞれ違うように思います。

 

以前、ご相談いただいたご夫婦も、

「とにかく、おしゃれな家にしたいんです。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「今まで行った場所で、『この空間、好きだな』と思ったところはありますか。」

と、お聞きしてみました。

 

少し考えられて、

「旅行先で泊まったホテルですね。」

と話してくださいました。

 

さらにお話を伺うと、

好きだったのは豪華な家具でも、

特別な照明でもありませんでした。

 

「静かだったんです。」

 

「窓から光が入ってきて、時間がゆっくり流れている感じがして。」

 

そのお話を聞いて、

もしかすると求めていたのは、

おしゃれなデザインではなく、

その場所で感じた心地よさだったのかもしれない、と思いました。

 

もちろん、

見た目はとても大切です。

 

毎日暮らす家ですから、

「好きだな」と思えることは、大きな価値だと思います。

 

でも、

写真では素敵に見えた家が、

自分たちの暮らしには少し合わないこともあります。

 

反対に、

派手ではなくても、

毎日過ごしているうちに、

「この家、やっぱり好きだな。」

そう感じられる家もあります。

 

ですから、

「おしゃれな家にしたいんです。」

と聞かれても、

私は、どんなデザインが流行っているかよりも、

どんな空間にいると、心地よいと感じられるのか。

そこを知りたいと思っています。

 

自然の光が好きなのかもしれません。

 

静かな空気が好きなのかもしれません。

 

木の質感に安心するのかもしれません。

 

その思いが見えてくると、

「おしゃれ」という言葉も、

そのご家族だけの形になっていくように思います。

 

家づくりでは、

流行を追いかけることよりも、

「この家は、自分たちらしい。」

そう思えることの方が、長く愛着につながるのかもしれません。

 

私は、そんな家づくりをご一緒できたらと思っています。