「SNSで見た家が忘れられないんです。」

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「SNSで見た家が忘れられないんです。」

このお話も、最近は本当によく伺います。

 

「ずっと保存している写真があって。」

 

「こんな家に住みたいと思ったんです。」

 

そう話してくださる方も少なくありません。

 

でも私は、このご相談にも、

「では、その家を参考にしましょう。」

とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。

 

まずは、

「その写真の、どんなところが心に残ったんでしょう。」

そんなふうに、お聞きすることから始めています。

 

すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。

 

「この大きな窓が素敵で。」

 

「木の雰囲気が好きなんです。」

 

「開放感がありますよね。」

 

「うまく言えないんですが、この空気感が好きで。」

 

同じ一枚の写真を見ていても、

惹かれている理由は、それぞれ違うように思います。

 

以前、ご相談いただいたご夫婦も、

「この家だけは、何度見ても忘れられないんです。」

と、一枚の写真を見せてくださいました。

 

そこで、

「この家で、一番好きなのはどこですか。」

と、お聞きしてみました。

 

少し考えられたあと、

奥様が、

「実は、この窓なんです。」

とおっしゃいました。

 

さらにお話を伺うと、

窓そのものではなく、

窓の向こうに緑が広がっていて、

光がやわらかく入ってくる雰囲気が好きだったそうです。

 

そのお話を聞いて、

もしかすると必要なのは、

その家を真似することではなく、

そのとき感じた心地よさを、ご自身の暮らしの中でつくることなのかもしれない、と思いました。

 

もちろん、

好きな家を参考にすることは、とても大切です。

 

「好き」があるからこそ、

家づくりの方向も見えてきます。

 

でも、

その家は、

その土地の景色や、

そのご家族の暮らしに合わせて考えられたものかもしれません。

 

同じ形をそのまま持ってきても、

同じ心地よさになるとは限らないように思います。

 

ですから、

「SNSで見た家が忘れられないんです。」

と聞かれても、

私は、まず写真を見るより先に、

その家を見たとき、どんな気持ちになったのか。

そこを知りたいと思っています。

 

落ち着いたのかもしれません。

 

「ここで暮らしてみたい」と思ったのかもしれません。

 

家族との時間を想像したのかもしれません。

 

その思いが見えてくると、

必要なのは同じ間取りや同じ素材ではなく、

そのご家族だけの暮らしに合った空間なのかもしれません。

 

家づくりでは、

写真を再現することよりも、

写真を見たときに感じた気持ちを、毎日の暮らしの中で味わえること。

私は、そんな家づくりをご一緒できたらと思っています。