「老後のことまで考えた方がいいですよね?」

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「老後のことまで考えた方がいいですよね?」

このご質問も、ご相談の中でよくいただきます。

 

「今はまだ三十代なんですが。」

 

「せっかく建てるなら、将来も困らない家にしたくて。」

 

そんなお気持ちで話してくださる方も少なくありません。

 

確かに、家は長く暮らす場所です。

 

だから将来のことを考えるのは、とても大切なことだと思います。

 

でも私は、このご質問にも、

「はい、老後を考えましょう。」

とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。

 

まずは、

「今、一番大切にしたい暮らしはどんなものでしょう。」

そんなふうに、お聞きすることから始めています。

 

すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。

 

「子どもがまだ小さいので。」

 

「夫婦で家にいる時間を大切にしたくて。」

 

「仕事が忙しくて、家ではゆっくりしたいんです。」

 

同じ年代でも、

今の暮らしは、それぞれ違うように思います。

 

以前、ご相談いただいたご夫婦も、

「老後まで考えると、平屋の方がいいですよね。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「今のお二人にとって、一番大切な時間は何でしょう。」

と、お聞きしてみました。

 

少し考えられたあと、

「子どもと過ごせる、この十年くらいかもしれません。」

と話してくださいました。

 

その言葉が、とても印象に残っています。

 

そのご家族にとっては、

何十年も先の暮らしより、

今しかない時間の方が、ずっと大切だったのです。

 

そのお話を伺って、

もしかすると必要なのは、

老後を優先した家ではなく、

今も、将来も、どちらも大切にできる家なのかもしれない、と思いました。

 

もちろん、

将来を考えた設計は大切です。

 

段差を少なくしたり、

あとから手すりを付けられるようにしたり。

 

必要になったときに間取りを変えやすくしたり。

 

そんな備えが安心につながることもあります。

 

でも、

何十年も先のためだけに、

今の暮らしを我慢し続けることが、

本当にそのご家族に合っているとは限りません。

 

未来は大切です。

 

でも、

今日の暮らしも同じくらい大切なのではないかと思うのです。

 

ですから、

「老後のことまで考えた方がいいですよね?」

と聞かれても、

私は、将来の話を始める前に、

今、どんな毎日を大切にしたいと思われているのか。

そこを知りたいと思っています。

 

家族で過ごす時間なのかもしれません。

 

子育てがしやすいことなのかもしれません。

 

夫婦がゆっくり話せる時間なのかもしれません。

 

その思いが見えてくると、

今を楽しみながら、

将来にも少し備えられる家の形が見えてくることがあります。

 

家づくりでは、

「老後のための家」をつくることよりも、

人生の変化を受け止められる家を考えることの方が、大切なのかもしれません。

 

私は、そんな住まいを一緒に考えていけたらと思っています。