「間取りを見ても、いいのか悪いのか分かりません。」

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「間取りを見ても、いいのか悪いのか分かりません。」

このお話も、ご相談の中でよく伺います。

 

住宅会社からいくつかプランを提案してもらった。

 

説明を聞けば、どれもよく考えられているように感じる。

 

でも家に帰って図面を眺めていると、

「これでいいのかな……。」

そんな気持ちになってしまう。

 

でも私は、このお話を伺っても、

「この間取りはいいですね。」

「ここは直した方がいいですね。」

と、すぐに図面の評価をすることはあまりありません。

 

まずは、

「この間取りで暮らしているところを、想像されたことはありますか?」

そんなふうに、お聞きすることがあります。

 

間取りを見ると、

どうしても部屋の大きさや配置が気になります。

 

LDKは何帖あるのか。

 

収納は十分なのか。

 

家事動線は短いのか。

 

もちろん、どれも大切なことです。

 

でも、それだけを見ていると、

その間取りが自分たちに合っているのかは、なかなか見えてこないことがあります。

 

以前、ご相談いただいたご夫婦も、

二つの間取りを前にして迷われていました。

 

「どちらがいいと思いますか?」

と聞かれたので、

私は、

「休日の朝、この家ではどこで過ごしていそうですか?」

と、お聞きしてみました。

 

すると、お二人で図面を見ながら、

少しずつ話が始まりました。

 

「私はここでコーヒーを飲んでいるかな。」

 

「僕は子どもと庭に出ているかもしれない。」

 

「だったら、この窓から庭が見えた方がいいね。」

 

そんな会話になっていきました。

 

最初は二つとも同じように見えていた間取りが、

暮らしを想像し始めると、

少し違って見えてきたようでした。

 

間取りは、

部屋を並べた図ではありません。

 

朝起きて、

顔を洗って、

朝食を食べる。

 

仕事から帰って、

荷物を置いて、

夕食をつくる。

 

家族で話したり、

一人で静かに過ごしたりする。

 

そんな毎日の時間が、

図面の中には入っています。

 

だから私は、

間取りを見るとき、

線だけを見るのではなく、

その中で人がどう動き、どこで立ち止まるのか。

そんなことを想像するようにしています。

 

ですから、

「間取りを見ても、いいのか悪いのか分かりません。」

と聞かれても、

分からなくて当然なのかもしれません。

 

図面だけを見て、

良し悪しを判断するのは難しいものです。

 

それよりも、

朝はどこにいるだろう。

 

帰ってきたら、最初にどこへ行くだろう。

 

休日は家族でどこに集まるだろう。

 

そんなふうに、

図面の中に自分たちの一日を置いてみる。

すると、

「ここは好きかもしれない。」

「ここは少し違う気がする。」

そんな感覚が出てくることがあります。

 

家づくりでは、

間取りの良し悪しを知ることよりも、

その間取りで、自分たちがどんな毎日を過ごすのか。

私は、そんな暮らしのお話を伺いながら、一緒に図面を見ていけたらと思っています。