「この間取りで、本当に大丈夫でしょうか?」

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「この間取りで、本当に大丈夫でしょうか?」

打ち合わせが進んできた頃に、こんなご相談をいただくことがあります。

 

何度も話し合った。

 

希望もかなり入っている。

 

説明を聞いたときには、納得したつもりだった。

 

それなのに、家に帰って図面を眺めていると、

「本当にこれでいいのかな。」

そんな気持ちが出てくる。

 

でも私は、このお話を伺っても、

図面を見てすぐに、

「大丈夫だと思いますよ。」

とは、お答えしないことが多いんです。

 

まずは、

「どのあたりが、少し気になっていますか?」

そんなふうに、お聞きすることから始めています。

 

すると、

最初は、

「それが自分でも分からないんです。」

とおっしゃることがあります。

 

リビングも希望した広さになっている。

 

収納もある。

 

家事動線も考えられている。

 

要望したものは、ほとんど入っている。

 

だからこそ、

何が気になっているのか、

自分でも説明できないことがあるようです。

 

そんなとき私は、

もう少し違う角度からお聞きしてみます。

 

「この間取りを見たとき、最初に引っかかったところはありませんでしたか?」

 

以前、ご相談いただいたご夫婦も、

「悪いところはないと思うんです。でも、何となく決めきれなくて。」

と話してくださいました。

 

そこで、

図面を見ながら一つずつお話を伺っていきました。

 

すると奥様が、

「そういえば、キッチンに立ったときのことが少し気になっていて。」

とおっしゃいました。

 

理由を伺うと、

料理をしている間、

家族が過ごしている場所から少し離れてしまうことが気になっていたそうです。

 

大きな問題ではありません。

 

間取りとして成立していないわけでもありません。

 

でも奥様にとって、

家族の気配を感じながら料理ができることは、

思っていた以上に大切だったようです。

 

そのお話を伺って、

「本当に大丈夫でしょうか」という言葉の中には、

まだ言葉になっていない違和感が残っていることもあるのだと思いました。

 

もちろん、

すべての不安に理由が見つかるとは限りません。

 

大きな金額の買い物ですし、

一度決めると簡単には変えられないこともあります。

 

決定が近づいたからこそ、

不安になることもあるでしょう。

 

だから、

不安があること自体を、

「この間取りが間違っている証拠」と考えなくてもいいように思います。

 

ただ、

「大丈夫ですよ」と言って、その不安を消してしまう前に、

少しだけ立ち止まってみる。

 

その方がいいこともあるのではないでしょうか。

 

ですから、

「この間取りで、本当に大丈夫でしょうか?」

と聞かれたとき、

私が知りたいのは、

間取りに正解があるかどうかではありません。

 

何が、「本当に?」と言わせているのか。

 

家事のしやすさなのかもしれません。

 

家族との距離なのかもしれません。

 

予算なのかもしれません。

 

あるいは、

まだ自分でも気づいていない何かなのかもしれません。

 

そこを一緒に話していくと、

間取りを変更することもあります。

 

反対に、

「やっぱり、このままでいいですね。」

と納得されることもあります。

 

家づくりでは、

不安をなくしてから決めることより、

なぜ気になっているのかを置き去りにしないこと。

私は、そんなところも一緒に確認しながら、家づくりを進めていけたらと思っています。