「打ち合わせのたびに、希望が変わってしまいます。」
「打ち合わせのたびに、希望が変わってしまいます。」
家づくりが進んでくると、こんなお話をいただくことがあります。
「最初は平屋がいいと思っていたんです。」
「でも、最近は二階建てもいいなと思っていて。」
「前回と言っていることが違いますよね。」
少し申し訳なさそうに話される方もいらっしゃいます。
でも私は、そんなとき、
「最初に決めたことだから、変えない方がいいですよ。」
とは、あまりお話ししません。
むしろ、
「何か、気持ちが変わるきっかけがありましたか?」
そんなふうに、お聞きすることがあります。
すると、
いろいろなお話が出てきます。
「実際に平屋を見に行ったんです。」
「子どもが大きくなったときのことを考えるようになって。」
「打ち合わせをしていたら、自分たちが思っていた暮らしと少し違う気がして。」
最初は分からなかったことが、
家づくりを進める中で見えてくることがあります。
それなら、
希望が変わることも、それほど不思議ではないように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
最初は、
「できるだけ広いリビングにしたいです。」
とおっしゃっていました。
ところが何度か打ち合わせをしたあと、
「リビング、そこまで広くなくてもいいかもしれません。」
と話してくださいました。
そこで、
「何か変わりましたか?」
とお聞きしてみました。
すると、
「家族でどう過ごしたいかを考えていたら、広さより居場所が欲しいと思うようになったんです。」
とおっしゃいました。
ソファで過ごす場所。
窓辺で本を読む場所。
子どもが床で遊ぶ場所。
一つの大きな空間が欲しかったというより、
それぞれが心地よく過ごせる場所が欲しかったようです。
そのことに、
打ち合わせを重ねる中で気づかれたのだと思います。
家づくりを始めるときから、
自分たちの希望をすべて分かっている方は、
それほど多くないように思います。
最初は、
「明るい家がいい。」
「収納が多い方がいい。」
「広いリビングが欲しい。」
そんな言葉から始まることもあります。
でも、
話したり、
図面を見たり、
実際の空間を体験したりするうちに、
「あれ、少し違うかもしれない。」
と思うことがあります。
それは、
迷走しているというより、
自分たちが大切にしたいものが、少しずつ見えてきた
ということなのかもしれません。
もちろん、
毎回すべてを変更していたら、
家づくりはなかなか進みません。
どこかでは決める必要があります。
でも、
希望が変わったときに、
「前に決めたから。」
という理由だけで戻れなくしてしまうのも、
少し違うように思います。
大切なのは、
変わったことそのものではなく、
なぜ変わったのか。
そこを一度確認してみることではないでしょうか。
ですから、
「打ち合わせのたびに、希望が変わってしまいます。」
と聞かれたとき、
私は、それをすぐに困ったことだとは考えません。
前より暮らしを具体的に想像できるようになったのかもしれません。
ご夫婦で話したことで、
違う考えに気づいたのかもしれません。
自分でも知らなかった「好き」が、
見えてきたのかもしれません。
家づくりでは、
最初に決めた希望を最後まで守ることよりも、
変わっていく気持ちの中から、本当に大切なものを見つけていくこと。
私は、その変化も一緒に確かめながら、家づくりを進めていけたらと思っています。