「家族の希望を聞いていたら、まとまらなくなりました。」

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「家族の希望を聞いていたら、まとまらなくなりました。」

家づくりの打ち合わせで、こんなお話を伺うことがあります。

 

ご主人の希望。

 

奥様の希望。

 

子どもたちの希望。

 

せっかくの家づくりだから、

できるだけみんなの意見を聞いておきたい。

 

そう思って話し合っているうちに、

希望がどんどん増えてしまうことがあります。

 

「結局、何を優先したらいいのか分からなくなりました。」

 

そんなふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。

 

でも私は、そんなとき、

「では、希望を整理して優先順位をつけましょう。」

とは、すぐにはお話ししないことが多いんです。

 

まずは、

「それぞれ、どうしてそうしたいと思われたんでしょう。」

そんなことを、一つずつお聞きしてみます。

 

例えば、

ご主人は、

「一人で過ごせる書斎が欲しい。」

 

奥様は、

「家族が集まれる広いリビングが欲しい。」

 

お子さんは、

「自分の部屋を広くしてほしい。」

 

希望だけを並べると、

それぞれが違う方向を向いているように見えます。

 

でも、

「どうして?」

をもう少し聞いてみると、

少し違うものが見えてくることがあります。

 

ご主人は、

家族から離れたいのではなく、

仕事から気持ちを切り替えられる場所が欲しい。

 

奥様は、

いつも家族全員で過ごしたいのではなく、

自然と顔を合わせられる場所が欲しい。

 

お子さんは、

広い部屋そのものより、

自分の好きなものを置ける場所が欲しい。

 

そう考えると、

必要なのは、

書斎と大きなリビングと広い子ども部屋を、

そのまま全部つくることではないのかもしれません。

 

以前、ご相談いただいたご家族でも、

打ち合わせの途中で、

「もう何が大切なのか分からなくなってきました。」

というお話になったことがありました。

 

そこで私は、

一度、間取りの話から離れて、

「今の家で、家族それぞれが好きな時間って何でしょう。」

とお聞きしてみました。

 

すると、

ご主人は、

休日にリビングで本を読む時間。

 

奥様は、

夕食のあとに家族で話している時間。

 

お子さんは、

ダイニングで絵を描いている時間。

 

場所は少しずつ違っていましたが、

お話を聞いていると、

みなさん、

家族の気配を感じながら、

それぞれ好きなことをしている時間が好きだったようです。

 

そのことが分かると、

たくさんあった希望が、

少し違って見えてきました。

 

家族の希望をまとめようとすると、

どうしても、

「誰の希望を優先するか。」

という話になりがちです。

 

でも、

希望そのものではなく、

その奥にある気持ちを見ていくと、

重なっているところが見つかることがあります。

 

家族だからといって、

全員が同じことを望んでいる必要はないと思います。

 

むしろ、

違う人たちが一緒に暮らすからこそ、

それぞれが大切にしていることを知ることに意味があるのかもしれません。

 

ですから、

「家族の希望を聞いていたら、まとまらなくなりました。」

と聞かれたとき、

私は、無理に一つの答えにまとめる前に、

それぞれが、その希望で何を大切にしようとしているのか。

そこを一緒に見てみたいと思っています。

 

一人になれる時間なのかもしれません。

 

家族とつながっている感覚なのかもしれません。

 

自分の好きなことを楽しめる場所なのかもしれません。

 

それぞれのお話を聞いていくと、

違う希望の中にも、

どこか重なっている部分が見えてくることがあります。

 

家づくりでは、

家族の意見を一つにすることよりも、

違うままでも、一緒に心地よく暮らせる場所を探していくこと。

私は、そんなところから、ご家族の家を一緒に考えていけたらと思っています。