「ランドリールームをつくる場所で迷っています。」

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「ランドリールームをつくる場所で迷っています。」

間取りの打ち合わせをしていると、こんなご相談をいただくことがあります。

 

洗面室の隣がいいのか。

 

ファミリークローゼットの近くがいいのか。

 

日当たりのいい場所がいいのか。

 

キッチンから行きやすい方がいいのか。

 

毎日のことなので、できるだけ使いやすい場所にしたいですよね。

 

そんなとき私は、

「ここにつくるのが一番便利ですよ。」

とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。

 

まず、

「洗濯って、普段どんな順番でされていますか?」

と、お聞きしてみます。

 

洗濯というと、

どうしても洗濯機を置く場所から考えたくなります。

 

でも実際には、

洗濯機を回して終わりではありません。

 

脱いだ服を集める。

 

洗う。

 

干す。

 

乾かす。

 

取り込む。

 

畳む。

 

そして、しまう。

 

場合によっては、

アイロンをかけたり、

ハンガーに掛けたまま収納したりすることもあります。

 

つまりランドリールームを考えるときには、

「洗う場所」ではなく、「洗濯が終わるまで」を見てみる。

そこから考えると、少し違った見え方をすることがあります。

 

以前、ご相談いただいたご家族も、

ランドリールームをどこにつくるか迷われていました。

 

奥様は、

「キッチンの近くがいいと思うんです。」

とおっしゃっていました。

 

料理をしながら洗濯できるので、

家事動線が短くなりそうだから、とのことでした。

 

そこで、

「洗濯機を回したあとって、どうされていますか?」

とお聞きしてみました。

 

すると、

洗ったものの多くは室内干し。

 

乾いたら畳んで、

ご夫婦の服は寝室へ。

 

お子さんの服は子ども部屋へ。

 

タオルや下着は洗面室へ。

 

そんな流れでした。

 

さらに、

「その中で、一番面倒だと感じるのはどこですか?」

と伺ってみました。

 

少し考えられてから、

「乾いたものを、それぞれの場所へ持っていくところですね。」

とおっしゃいました。

 

困っていたのは、

洗濯機までの距離ではなかったんです。

 

それなら、

キッチンの近くにつくることだけを考えるより、

乾かしたあとに服をどうしまうのかを考えた方が、

暮らしは楽になるかもしれません。

 

例えば、

ランドリールームの近くに普段着の収納をつくる。

 

畳まずにハンガーのまま移せるようにする。

 

タオルや下着は、

その場で収納できるようにする。

 

そんな方法も考えられます。

 

反対に、

料理をしながら何度も洗濯をするご家庭なら、

キッチンとの距離が大切になることもあるでしょう。

 

暮らし方によって、

便利な場所は変わってきます。

 

もう一つ、

「誰が洗濯するのか」も意外と大切です。

 

朝に一人でまとめてするのか。

 

夜に家族がそれぞれ洗濯機を回すのか。

 

干す人と畳む人が違うのか。

 

乾燥機を中心に使うのか。

 

外干しが多いのか。

 

同じランドリールームでも、

使う人と時間が違えば、

必要な場所も変わってきます。

 

だから、

間取り図だけを見ながら、

「ここなら近い。」

と考えるだけでは、

分からないこともあるんですよね。

 

ですから、

「ランドリールームをつくる場所で迷っています。」

と聞かれたとき、

私はまず、

一枚の服が、脱いでから再び収納されるまで、家の中をどう動いているのか。

そこを一緒に追ってみたいと思っています。

 

どこに洗濯物が集まるのか。

 

どこで乾かすのか。

 

どこで畳むのか。

 

最後に、どこへしまうのか。

 

その流れを見ていくと、

ランドリールームをどこにつくるといいのかも、

少しずつ見えてくることがあります。

 

家事動線を短くすることは、

洗濯機までの距離を短くすることだけではありません。

 

洗濯が始まってから終わるまでの、小さな移動や手間を減らしていくこと。

私は、そんな毎日の動きを伺いながら、一緒に場所を考えていけたらと思っています。