「リビング階段にした方が、家族が顔を合わせますよね?」

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「リビング階段にした方が、家族が顔を合わせますよね?」

間取りのお話をしていると、こんなご質問をいただくことがあります。

 

玄関からそのまま二階へ上がれる階段だと、

子どもが帰ってきても気づかないかもしれない。

 

リビングを通って二階へ上がるようにすれば、

自然と家族が顔を合わせる。

 

そんな話を聞いて、

「うちもリビング階段にした方がいいのかな。」

と考える方もいらっしゃいます。

 

そんなとき私は、

「そうですね。家族のコミュニケーションが増えますよ。」

とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。

 

まず、

「家族が顔を合わせることを、大切にしたいと思われたのはどうしてですか?」

と、お聞きしてみます。

 

すると、

いろいろなお話が出てきます。

 

「子どもが大きくなっても、帰ってきたことくらいは分かるようにしたくて。」

 

「何も話さなくても、顔を見られたら安心かなと思うんです。」

 

「今の家では、それぞれの部屋に行ってしまうので。」

 

同じ「顔を合わせたい」という言葉でも、

その奥にある気持ちは少しずつ違います。

 

会話を増やしたいのか。

 

帰宅したことを知りたいのか。

 

家族の気配を感じていたいのか。

 

そこが分かると、

考えるべきことも変わってきます。

 

以前、ご相談いただいたご家族も、

「子どものことを考えると、リビング階段がいいですよね。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「どんなふうに家族と過ごせたらいいと思っていますか?」

とお聞きしてみました。

 

すると奥様が、

「ずっと一緒にいたいわけではないんです。」

とおっしゃいました。

 

お子さんが成長すれば、

自分の部屋で過ごす時間が増えることも分かっている。

 

ただ、

「帰ってきたときに、なんとなく分かるくらいがいいんです。」

とのことでした。

 

ご主人も、

「話さなくても、今日は元気そうだな、くらい分かればいいですね。」

と。

 

お二人が求めていたのは、

必ずリビングを通らせることより、

家族の気配が、完全に途切れないことだったのかもしれません。

 

そう考えると、

方法はリビング階段だけではなくなります。

 

玄関とリビングの位置関係。

 

廊下から感じる音や気配。

 

キッチンから玄関が少し見えること。

 

家族が自然と立ち寄る場所をつくること。

 

いろいろな考え方が出てきます。

 

もちろん、

リビング階段がそのご家族に合うこともあります。

 

ただ、

「子どもと顔を合わせたいから、リビング階段。」

と一つの形だけに結びつけなくてもいいように思います。

 

それに、

同じリビングを通ったからといって、

必ず会話が生まれるとは限りません。

 

反対に、

階段がリビングの外にあっても、

家族が自然と集まる家もあります。

 

間取りは、

家族の関係を支えることはできても、

関係そのものをつくるわけではないんですよね。

 

だから私は、

家族のコミュニケーションを考えるときほど、

「どんな間取りにするか」の前に、

家族と、どんな距離で暮らしたいのか。

そこを聞いてみたいと思っています。

 

ですから、

「リビング階段にした方が、家族が顔を合わせますよね?」

と聞かれたとき、

私はまず、

「顔を合わせることで、どんな時間が生まれたらいいと思っていますか?」

と聞いてみます。

 

毎日少し会話ができたらいいのかもしれません。

 

帰ってきたことが分かれば十分なのかもしれません。

 

同じ場所にいなくても、

なんとなく家族の気配を感じられればいいのかもしれません。

 

その答えによって、

階段の場所も、

リビングのつくり方も、

家族の居場所の考え方も変わってきます。

 

家族がつながる家は、

必ずしも家族を一つの場所に集める家ではありません。

 

近づくこともできて、離れることもできる。その間に、ちょうどいい距離があること。

私は、そんなご家族なりの距離感を伺いながら、間取りを一緒に考えていけたらと思っています。