「客間って、なくても困りませんか?」
「客間って、なくても困りませんか?」
間取りのお話をしていると、こんなご質問をいただくことがあります。
両親が泊まりに来るかもしれない。
友人が遊びに来ることもある。
子どもの友達が泊まることだってあるかもしれない。
そう考えると、
「一部屋くらい、客間をつくっておいた方が安心ですよね。」
と思うこともあります。
そんなとき私は、
「客間はあった方が便利ですよ。」
とも、
「ほとんど使わないので、なくても大丈夫ですよ。」
とも、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まず、
「今まで、ご自宅に誰かが泊まることって、どれくらいありましたか?」
と、お聞きしてみます。
すると、
「年に一度くらい両親が来ます。」
という方もいれば、
「そういえば、ここ数年は誰も泊まっていません。」
という方もいます。
あるいは、
「今はないけれど、家を建てたら友人を呼びたい。」
という方もいらっしゃいます。
客間を考えるとき、
誰かが泊まる可能性だけを考えると、
あった方が安心に感じます。
でも、
もう少し具体的に考えてみると、
見え方が変わることがあります。
年に何回、誰が、何日くらい使う場所なのか。
そこまで想像してみるんです。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「一階に客間として和室をつくりたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「どなたが使われる予定ですか?」
とお聞きしてみました。
「両親が泊まりに来たときですね。」
では、
「一年にどれくらい泊まられますか?」
と伺うと、
少し考えられて、
「一回あるかないかですね。」
とのことでした。
さらに、
「それ以外の日は、どんなふうに使いますか?」
とお聞きすると、
しばらく考えたあと、
「……たぶん、使わないですね。」
という答えが返ってきました。
もちろん、
年に一度でも、
ご両親が安心して泊まれる場所を用意することを大切にしたいなら、
客間をつくる意味はあると思います。
ただ、
一年のほとんどを使わない部屋をつくることが、
本当にご夫婦の望んでいることなのか。
そこは、一度考えてみてもいいかもしれません。
そこで、
別のお話もしてみました。
「客間としてだけではなく、普段も使える場所にするとしたら、何に使えそうですか?」
すると、
奥様から、
「子どもが小さいうちは、遊ぶ場所にできるかもしれません。」
というお話が出てきました。
ご主人からは、
「休日に寝転がって本を読む場所でもいいですね。」
という話も。
そうなると、
「客間」という一つの用途だけで考えていた部屋が、
少し違って見えてきます。
普段は家族が使う。
誰かが泊まりに来たときには、
少し整えて寝てもらう。
そんな場所なら、
一年の中で使われる時間はずっと増えるかもしれません。
家の面積には限りがあります。
客間を一部屋つくれば、
その分、
リビングを広くすることができなくなるかもしれません。
収納が小さくなることもあります。
予算にも影響します。
だからこそ、
「いつか使うかもしれない。」
という可能性だけではなく、
普段の暮らしと、たまにある出来事のどちらに、どれくらい場所を使うのか。
そんな視点も持っておきたいところです。
もちろん、
来客が多いご家庭なら、
客間がとても大切な場所になることもあります。
遠方のご両親が頻繁に泊まる。
友人を招くことが暮らしの楽しみになっている。
そんなご家族なら、
客間をしっかり用意することが、
その家らしさにつながるかもしれません。
ですから、
「客間って、なくても困りませんか?」
と聞かれたとき、
私はまず、
「誰が、どれくらいの頻度で使いそうですか?」
と聞いてみます。
年に一度なのか。
月に一度なのか。
泊まるためだけなのか。
普段は家族も使えるのか。
そこまで考えてみると、
必要なのは独立した客間なのか、
普段の居場所を来客時にも使えるようにすることなのか、
少しずつ見えてきます。
家づくりでは、
起こるかもしれないすべてのことに、
専用の部屋を用意することはできません。
たまに訪れる一日のために、残りの364日をどう使うのか。
私は、そんな時間の使い方まで伺いながら、そのご家族にとっての客間を一緒に考えていけたらと思っています。