「窓は大きい方が気持ちいいですよね?」
「窓は大きい方が気持ちいいですよね?」
間取りのお話をしていると、こんなご質問をいただくことがあります。
リビングには、大きな窓。
庭まで視線が抜けて、
明るくて、開放的な空間。
住宅の写真を見ていても、
大きな窓のあるリビングは気持ちよさそうに見えますよね。
「せっかく家を建てるなら、できるだけ大きな窓にしたいです。」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
そんなとき私は、
「そうですね。大きい方が開放的ですよ。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まず、
「その窓から、何が見えたらいいですか?」
と、お聞きしてみます。
少し不思議な質問に聞こえるかもしれません。
でも、
窓は光を取り入れるためだけのものではありません。
庭の木を見る。
空を見る。
遠くの山を見る。
子どもが庭で遊んでいる姿を見る。
季節が変わっていく様子を眺める。
同じ大きな窓でも、
そこから何を見たいのかによって、
つくり方はずいぶん変わってきます。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「リビングには、できるだけ大きな窓が欲しいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「窓の向こうには、何が見えたらいいと思っていますか?」
とお聞きしてみました。
少し考えられてから、
奥様が、
「庭の木が見えたらいいですね。」
と。
さらにお話を聞くと、
ソファに座ってコーヒーを飲みながら、
庭の緑を眺める時間に憧れていることが分かりました。
それなら、
単純に壁いっぱいの窓にすることよりも、
ソファに座ったとき、
ちょうど庭の木が見えることの方が大切かもしれません。
窓を少し低くする。
位置をずらす。
庭の木を植える場所まで一緒に考える。
そんなふうにしていくと、
窓の大きさだけでは見えてこなかったことが、
少しずつ見えてきます。
欲しかったのは、
大きな窓そのものではなく、
窓の向こうにある景色と過ごす時間だったのかもしれません。
反対に、
窓を大きくすると、
見たくなかったものまで見えることがあります。
隣の家の窓。
道路を歩く人。
駐車している車。
電柱や室外機。
外からの視線が気になって、
せっかく大きな窓をつくったのに、
一日中カーテンを閉めている。
そんなことになれば、
少しもったいないですよね。
だから私は、
「どれくらい大きな窓にするか」と同じくらい、
何を見せて、何を見せないか。
そこも大切にしています。
もちろん、
大きな窓だからこそ生まれる心地よさもあります。
庭と室内がつながって感じられたり、
空の広がりを感じられたり、
季節の光が深く室内へ入ってきたり。
その場所だからこそ見える景色があるなら、
大きな窓がとても魅力的になることもあります。
一方で、
小さな窓でも、
そこから一本の木だけが見えたり、
夕方の空だけが切り取られて見えたりすると、
不思議と印象に残る場所になることがあります。
窓の心地よさは、
面積だけでは決まらないんですよね。
ですから、
「窓は大きい方が気持ちいいですよね?」
と聞かれたとき、
私はまず、
「その窓の前で、どんなふうに過ごしたいですか?」
と聞いてみます。
ソファから庭を眺めたいのか。
朝、ダイニングから空を見たいのか。
料理をしながら子どもの姿を見たいのか。
夜は外からの視線を気にせず過ごしたいのか。
そこが分かってくると、
必要なのは大きな窓なのか、
少し小さくても景色をきれいに切り取る窓なのか、
考え方も変わってきます。
窓を考えることは、
壁にどれだけ大きな穴を開けるかを決めることではありません。
家の中から、どんな景色と暮らしたいのかを考えること。
私は、そんな窓の向こう側のお話まで伺いながら、一緒に考えていけたらと思っています。