「家族が自然に集まる家にしたいんです。」

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「家族が自然に集まる家にしたいんです。」

家づくりのご相談で、こんなお話をいただくことがあります。

 

せっかく家を建てるなら、

家族がそれぞれの部屋に閉じこもるのではなく、

リビングに自然と集まってほしい。

 

だから、

リビングを広くする。

 

リビング階段にする。

 

ダイニングとキッチンを一体にする。

 

「そういう間取りにした方がいいですよね?」

と聞かれることもあります。

 

そんなとき私は、

「では、みんなが集まれる大きなリビングにしましょう。」

とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。

 

まず、

「今、ご家族が自然と集まっているのは、どんなときですか?」

と、お聞きしてみます。

 

夕食を食べているとき。

 

テレビを見ているとき。

 

休日の朝。

 

誰かがお茶を淹れたとき。

 

子どもが宿題をしている横で、

ご主人はスマートフォンを見て、

奥様はキッチンで料理をしている。

 

同じことをしていなくても、

気がつくと同じ場所にいる。

 

そんな時間もあるかもしれません。

 

ここで少し大切なのは、

「集まる」と「集める」は、似ているようで違うこと。

 

間取りによって、

家族を一つの場所へ集めることはできるかもしれません。

 

でも、

そこに居続けたくなるかどうかは、

また別の話なんですよね。

 

以前、ご相談いただいたご家族も、

「子どもが大きくなっても、リビングに集まる家にしたいです。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「今は、どんなときにみなさんリビングにいますか?」

とお聞きしてみました。

 

すると、

少し意外な答えが返ってきました。

 

「みんなが一緒に何かをしているときではないですね。」

 

ご主人はソファで本を読む。

 

奥様はダイニングで仕事をする。

 

お子さんは床で遊んでいる。

 

会話をしているわけでもありません。

 

それでも、

休日になると、

なぜかみんな同じ部屋にいるそうです。

 

「それって、どんな感じがいいんでしょう?」

と、もう少し伺ってみました。

 

すると奥様が、

「それぞれ好きなことをしていても、なんとなく一緒にいる感じですかね。」

とおっしゃいました。

 

ご家族が求めていたのは、

全員で同じことをする場所ではなく、

それぞれの時間を過ごしながら、同じ場所にいられることだったのかもしれません。

 

そう考えると、

ただ大きなリビングをつくればいいわけではなくなります。

 

ソファでくつろげる場所。

 

窓辺で本を読める場所。

 

床に座れる場所。

 

ダイニングで何かを広げられる場所。

 

キッチンに立っていても、

家族の気配が感じられること。

 

一つの空間の中に、

いくつかの小さな居場所がある。

 

そんなつくり方も考えられます。

 

もちろん、

家族の過ごし方は変わっていきます。

 

小さな頃は、

親のそばで遊んでいた子どもも、

成長すれば自分の部屋で過ごす時間が増えるでしょう。

 

家族全員が、

いつもリビングにいる必要もないと思います。

 

一人になりたい日もあります。

 

静かに過ごしたい時間もあります。

 

だから、

「家族が集まる家」を考えるときほど、

無理に集まる仕組みをつくらなくてもいいのかもしれません。

 

それよりも、

誰かがいるところへ、

なんとなく行きたくなる。

 

そこに座ると落ち着く。

 

気がついたら、

別々のことをしている家族が同じ場所にいる。

 

そんな場所があることの方が、

家族をゆるやかにつないでくれることもあります。

 

ですから、

「家族が自然に集まる家にしたいんです。」

と聞いたとき、

私はまず、

「どんなふうに一緒に過ごしたいですか?」

と聞いてみます。

 

たくさん会話をしたいのか。

 

一緒に食事をする時間を大切にしたいのか。

 

それぞれ好きなことをしながら、

家族の気配を感じていたいのか。

 

その答えによって、

必要な場所も変わってきます。

 

家族が自然に集まる家は、

家族を一か所へ集めるための家ではないのかもしれません。

 

「ここにいなさい」と言わなくても、なんとなく居たくなる場所があること。

私は、そんなご家族の日常を伺いながら、自然と人が残る場所を一緒に考えていけたらと思っています。