吹き抜けのあるLDK、その先に「自分に帰る場所」をつくる|奈良県明日香村の開放感と星空を味わう暮らしの提案。注文住宅で考えるライブラリーと心地よい居場所の存在。

吹き抜けのあるLDK、
その先に「自分に帰る場所」をつくるということ。
暮らしを豊かにするライブラリーと空間設計。
※橿原アトリエにて、住まい手ご夫婦と描くこれからの暮らし。吹き抜けLDKとライブラリーから、心地よい居場所を丁寧に考える設計時間。
(仮称)和の趣と佇まい・瓦屋根と格子を纏い味わう明日香村の家-開放感と吹抜を介して広い空と一体化するライブラリーのある暮らし-
新築計画の打ち合わせにて・・・・・。
家を建てるとき、
「広いLDKがほしい」
「吹き抜けにしたい」
「おしゃれな階段をつくりたい」
そんな希望を持たれる方は少なくありません。
でも、本当に考えておくべき事柄は、
吹き抜けをつくることでも、
おしゃれな階段をつくることでもありません。
その場所で、
家族がどんな時間を過ごすのか。
一人になったとき、
どんな気持ちでいられるのか。
家に帰ったときに、
どんなふうに心がほどけていくのか。
住まいの設計では、
そこまで想像することが大切だと考えています。
やまぐち建築設計室の橿原アトリエでのひとコマ。
住まい手さんご夫婦と、
新築住宅の空間について打ち合わせをしているところ。
打合せテーブルの上に広げているのは、
吹き抜けのあるLDKを描いたCGイメージ。
その先の二階の「とある空間」には、
ランダムに配置した複数の「ペンダントライト」も表現しています。
図面だけでは分かりにくい空間の高さや広がり、
見え方、階段の存在感、光の入り方などを確認しながら、
「ここで実際に暮らしたら、どう感じるだろう」
というところまで一緒に考えていきます。
「やわらかい」と「モダン」は両立できる
今回、打ち合わせで大切にしているテーマのひとつが、
やわらかな雰囲気を持ちながら、モダンで洗練された空間にすること。
木をたくさん使えば、
必ず心地よい空間になるわけではありません。
反対に、モダンにしようとして
白やグレー、黒だけでまとめすぎると、
どこか緊張感のある空間になってしまうこともあります。
そこで考えているのが、
木の色や量、
壁や天井との取り合い、
ストリップ階段の線の細さ、
家具との関係、
そして照明によって生まれる陰影。
それぞれを単体で選ぶのではなく、
空間全体の「温度」を整えていくように設計する。
木のぬくもりは感じる。
でも、野暮ったくない。
モダンだけれど、冷たくない。
そんな「ちょうどよいところ」を、
住まい手さんとの打ち合わせからご提案しています。
ストリップ階段は「上下階移動を行う」だけのものではない。
今回のLDKには、
吹き抜けとストリップ階段を組み合わせています。
ストリップ階段は、
蹴込み板のない構成によって視線や光を通しやすく、
吹き抜けと組み合わせることで空間の広がりを感じさせやすい特徴があります。
でも、設計で考えているのは
「開放的に見えるから」という理由だけではありません。
階段越しに家族の気配が見える。
吹き抜けの上から光が落ちてくる。
1階にいながら2階の存在を感じる。
2階にいながらLDKの気配を感じる。
つまり階段が、
1階と2階を移動するための空間設備から、
家族の時間と空間をつなぐ場所へ変わっていく。
そこに吹き抜けを組み合わせることで、
床面積だけでは表現できない「広がり」が生まれます。
吹き抜けの先にある二階の開放的なライブラリー空間。
そして今回、
住まい手さんとの打ち合わせで、
特に大切にしている場所があります。
吹き抜けに面して設ける2階のライブラリー。
大きな部屋ではありません。
むしろ、少し奥まった場所。
4.5帖ほどのコーナー的な場所。
LDKから直接すべてが見えるわけでもありません。
家族と完全に離れるわけではないけれど、
少しだけ距離を置ける。
家族や暮らしの生活習慣や価値観から、
こういう場所が
将来的な事も踏まえて、
この計画では重要だと考えています。
「開放的なのに、閉鎖的」という居心地の在り方。
家族が集まるLDKは大切です。
でも、人はいつも誰かと
つながっていたいわけではありません。
本を読みたいとき。
少し考えごとをしたいとき。
仕事から帰って、
頭の中を整理したいとき。
ただぼんやりと、
外を眺めていたいとき。
そんな時間を過ごしたくなる時もあります。
そこでライブラリーは、
吹き抜けによって家族とつながりながら、
建築の死角によって一人になれる場所として計画しています。
勿論「夫婦二人で」「親子で」繋がる事も出来る空間。
開いているのに、守られている。
家族の気配はするのに、視線から少し外れる。
この一見矛盾した感覚が、
居心地につながることがあります。
本を読む。その先に、空や星を眺める。
かぞくの気配を感じる、逆に少し遠ざける。
ライブラリーの窓も、
単に部屋を明るくするためだけに設けるものではありません。
勿論、法律的な制限や意味があるので
その部分も考慮しつつ、
椅子に座ったとき、本からふと顔を上げる。
その視線の先に空がある。
夜になれば、
窓の向こうに星空が見えることもある。
そしてまた、本に視線を戻す。
そんな何でもない時間を
想像しながら窓の位置を考えています。
住宅の窓には、採光や通風といった物理的な役割だけでなく、
眺望や開放感、
やすらぎといった心理的な側面もあります。
ですが、先のコラムのように「状態や意味」を加味して
窓をあえて設けないデザイン、隠すデザインを施す事もあります。
ですから、
窓は「大きければいい」のではなく、そこから何を見て、どう感じるのか?
それが大切だと思うのです。
夜になると、もうひとつの住まいが現れる。
もうひとつ大切にしているのが、
照明計画。
昼間の住宅は、自然光によってつくられます。
でも夜になると、
住まいの表情をつくるのは照明です。
天井全体を均一に明るくするのではなく、
必要なところに光を置き、
あえて明るくしない場所も残す。
壁を照らす。
木の表情を浮かび上がらせる。
階段の輪郭を見せる。
吹き抜けの高さを、光と影で感じさせる。
実際、吹き抜けとスケルトン階段は、
自然光だけでなく照明との組み合わせによって、
昼と夜で異なる空間表現をつくることができます。
やまぐち建築設計室が、
住まい手さんと共に考えているのは、単に「明るい家」ではありません。
陰影があるからこそ、
心が落ち着く場所をつくること。
ホテルや旅館で感じる心地よさにも、
すべてを均一に照らさず、
光の強弱によって居場所をつくる考え方があります。
住宅にも、そうした「夜の設計」が必要だと考えています。
吹き抜けには、デザイン以外にも考えることがある。
もちろん、吹き抜けをつくれば、
それだけでよい訳ではありません。
上下階がつながれば、音や空気もつながります。
冷暖房の効き方、断熱・気密性能、
空調計画、音やプライバシー、窓から入る日射。
そうしたことも一緒に考えなくてはいけません。
吹き抜けやリビング階段では、
デザインと同時に断熱・気密、空調、
音への配慮が重要だとされています。
つまり「吹き抜けが欲しい」から吹き抜けをつくるのではなく、
その家族の暮らしに吹き抜けが必要なのかを考える。
ここが、住まいの設計では重要です。
計画CGを見ながら話しているのは「デザイン」だけではありません。
今回の写真だけを見ると、
「内装のデザインを打ち合わせしている」
ように見えるかもしれません。
もちろん、それもあります。
でも実際に話しているのは、もっと先のことです。
朝、この場所に光が入ったら。
休日、家族がLDKに集まったら。
夜、一人でライブラリーに座ったら。
10年、20年経って、
子どもたちの暮らし方が変わったら。
そのとき、この家が
どんな場所になっているのか?
住宅設計とは、
図面の中に部屋を並べることではなく、
まだ見えていない未来の暮らしを、
住まい手さんと一緒に想像することなのだと考えています。
家の中に「自分に帰る場所」はありますか?
家族と過ごす場所。
食事をする場所。
眠る場所。
家事をする場所。
住宅には、さまざまな空間の役割があります。
そこにもうひとつ「自分に帰る場所」があってもいいのではないでしょうか?
好きな本を開く。
窓から空を見る。
音楽を聴く。
何もしない。
ほんの少しだけ日常から距離を置く。
そういう時間まで含めて設計された家は、
単に「おしゃれな家」とは違う豊かさを持つと思います。
家を考え始めると、
間取り、坪数、設備、性能、予算・・・・・。
決めなくてはいけないことが一気に増えていきます。
けれど、その前に一度、
「この家で、どんな時間を過ごしたいのか」を考えてみてください。
まだ間取りが決まっていなくても、
欲しい設備が整理できていなくても構いません。
やまぐち建築設計室では、
そうした暮らしの話から住まいを考え、
必要な空間や居場所を一緒に整理していきます。
住まいづくりに迷い始めたときこそ、
図面を描く前の「暮らしの話」を大切にしたいと考えています。
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※新築・リフォーム・土地探しなど、
まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただけます。
〇関連blog
和の趣と暮らしやすさを両立する家・組子建具と間接照明が描くホテルライクな空間美・生活基準と暮らしに密接な関係を持つ性能を動線美と心地よい和モダン住宅から。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail614.html
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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