「リビングとダイニングって、分けない方がいいですよね?」

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「リビングとダイニングって、分けない方がいいですよね?」

家づくりのお話をしていると、

こんなご質問をいただくことがあります。

 

最近の間取りを見ると、

リビングとダイニング、キッチンまで、

一つの大きな空間になっていることが多いですよね。

 

広く見えるし、

家族も一緒に過ごしやすそう。

 

「わざわざ分ける必要って、ないですよね?」

そう思われるのも自然だと思います。

 

そんなとき私は、

「そうですね。つなげた方がいいですよ。」

とは、すぐにはお答えしません。

 

まず、

「リビングとダイニングでは、普段どんなふうに過ごされていますか?」

と、お聞きしてみます。

 

リビングとダイニング。

 

間取り図では、

「LDK」と一つの言葉で書かれることが多い場所です。

 

でも実際に暮らしてみると、

そこでしていることは少し違います。

 

ダイニングでは、

食事をする。

 

子どもが宿題をする。

 

パソコンを開く。

 

郵便物を見る。

 

家族で話をする。

 

一方でリビングでは、

テレビを見る。

 

ソファで横になる。

 

本を読む。

 

何もしないで過ごす。

 

同じ家族が使う場所でも、

求めている時間は少し違うことがあります。

 

以前、ご相談いただいたご家族も、

「LDKはできるだけ広く、一体にしたいです。」

とおっしゃっていました。

 

そこで、

「休日は、みなさんどんなふうに過ごしていますか?」

とお聞きしてみました。

 

ご主人は、

ソファでテレビを見ていることが多い。

 

奥様は、

ダイニングテーブルで本を読んだり、

パソコンを使ったりする。

 

お子さんは、

ダイニングで絵を描いたり、

リビングの床で遊んだりしている。

 

同じ場所にはいるけれど、

全員が同じことをしているわけではありませんでした。

 

奥様が、

「そういえば、テレビの音が気になることはありますね。」

とおっしゃいました。

 

だからといって、

リビングとダイニングを壁で完全に分けたいわけでもありません。

 

家族がいることは感じていたい。

 

でも、

それぞれのこともしていたい。

 

求めていたのは、

完全につながった一室というより、

一緒にいながら、少し距離を持てる場所だったのかもしれません。

 

リビングとダイニングを分けるといっても、

必ずしも壁や扉が必要なわけではありません。

 

少し配置をずらす。

 

天井の高さを変える。

 

家具の向きを変える。

 

小さな壁をつくる。

 

窓の向きを変える。

 

それだけでも、

同じ空間の中に、

少し違う居場所をつくることができます。

 

リビングからダイニングは見える。

 

声も届く。

 

でも、

座ってみると少し落ち着く。

 

そんな距離もあります。

 

反対に、

リビングとダイニングをしっかりつなげた方が、

暮らしやすいご家族もいます。

 

食事が終わったら、

そのままみんなでテレビを見る。

 

子どもが遊んでいる横で、

親が食事の片づけをする。

 

家族が同じ場所で過ごす時間が長い。

 

そんな暮らしなら、

一体になった空間が心地いいこともあります。

 

つまり、

つなげること自体がいいわけでも、

分けること自体がいいわけでもないんですよね。

 

そのご家族が、家の中でどんな距離で過ごしているのか。

そこから考えてみることが大切なのかもしれません。

 

家づくりでは、

「広いLDK」という言葉をよく目にします。

 

もちろん、

広々とした一つの空間には、

その良さがあります。

 

でも、

面積が広ければ、

居場所が増えるとは限りません。

 

大きな一室より、

少し性格の違う場所がいくつかある方が、

家族それぞれが心地よく過ごせることもあります。

 

家族の誰かと話したいとき。

 

同じ場所にいたいとき。

 

少しだけ離れたいとき。

 

一人で何かに集中したいとき。

 

暮らしの中では、

必要な距離も変わっていきます。

 

ですから、

「リビングとダイニングって、分けない方がいいですよね?」

と聞かれたとき、

私は、

そこで家族が、どんなふうに一緒に過ごしたいのか。

そこをまずお聞きしてみたいと思っています。

 

いつも同じことをしているのか。

 

それぞれ違うことをしながら、

同じ場所にいたいのか。

 

声は聞こえていたいけれど、

少し距離が欲しいのか。

 

そこが分かってくると、

つなげるか、分けるかだけではない答えも見えてきます。

 

つながっているけれど、少し離れられる。

そんな曖昧な距離が、

そのご家族にはちょうどいいこともあります。

 

私は、間取りを決める前に、普段ご家族がどんな距離で過ごしているのかをお聞きしながら、その家族に合った「つながり方」を一緒に考えていけたらと思っています。