暮らしやすい家は「あと10cm」まで考えられている|奈良の注文住宅で考える、間取り・家具・収納・照明をつなぐ設計の工夫

家が完成して、暮らし始めてから、
「あ、このコンセント又はスイッチがもう少し右だったら使いやすかったのに」
そんなふうに感じることがないように。
※暮らしやすさは、間取りだけでは決まりません。インテリアショールームにて、家具、収納、照明、スイッチ、生活動線までつなげて考える打ち合わせ。その「あと10cm」の積み重ねが、住み始めてからの心地よさを変えていきます。
ソファを置いたらコンセントが隠れてしまった。
ベッドの横でスマートフォンを充電したかったのに、ちょうどいい場所にコンセントがない。
ダイニングテーブルでパソコンを使うと、コードが通路を横切ってしまう。
収納は十分につくったはずなのに、掃除機をしまう場所には電源がない。
夜、寝室へ向かう途中で照明を消そうとすると、
少し戻らなければならない。
一つひとつは、
家づくり全体から見れば小さなことかもしれません。
けれど、その「少し使いにくい」は、
暮らし始めれば毎日のことになります。
家づくりの心地よさは、
大きな間取りだけで決まるものではありません。
むしろ、
毎日繰り返す小さな行動が、
どれだけ自然につながっているか?
そこに、住み心地を左右する大切な部分があると私は考えています。
いい間取りができれば、家づくりはほぼ終わりなのか?
注文住宅を考え始めると、
LDKは何帖必要なのか。
ランドリールームをつくるのか。
ファミリークローゼットは何帖必要なのか。
パントリーは必要なのか。
回遊動線にした方がいいのか。
そういった「間取り」について、
たくさん調べることになると思います。
〇関連blog・コラム
間取りだけでは、暮らしは整わない・動線・収納・光から考える、後悔しない住まいの設計。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail669.html?utm_source=chatgpt.com
もちろん、どれも大切です。
けれど、
LDK30帖。
WIC6帖。
パントリー3帖。
ランドリールーム5帖。
図面の中にそう書かれていたとしても、
それだけでは、
そこでの暮らしやすさまでは分かりません。
同じ30帖のLDKでも、
どんなソファを置くのか。
ダイニングテーブルはどれくらいの大きさなのか。
窓はどこにあるのか。
テレビを見るのか。
プロジェクターを使うのか。
どこを人が歩くのか。
どこでスマートフォンを充電するのか。
夜はどんな灯りで過ごしたいのか。
それによって、
暮らしたときの感じ方は大きく変わります。
ですから私は、
間取りを考えることと、
暮らしを考えることは、
似ているようで少し違うと考えています。
コンセントは「何個必要か?」から考えない
家づくりをしていると、
「コンセントはいくつ付ければいいですか?」
という疑問が出てきます。
検索すれば、
リビングには何個。
キッチンには何個。
寝室には何個。
という目安も見つかります。
もちろん、それも参考になります。
でも、家族によって使う家電は違います。
暮らし方も違います。
家具も違います。
これから増えるものも違います。
ですから「この部屋にはコンセントを何個つけるか」
より先に考えておくべきことは、
「ここで、何をするのか?」ということです。
ソファを置くと、コンセントの最適解(答え)が変わるということ。
例えばリビング。
ソファに座りながら、
スマートフォンやタブレットを使う。
ノートパソコンを開くこともある。
冬には加湿器を使う。
フロアランプを置きたい。
ロボット掃除機の基地も必要かもしれない。
そう考えると、
必要なのは「リビングにコンセントがあること」ではありません。
使いたい場所に、使える状態であることです。
〇関連blog・コラム
家づくりで後悔しないために家具から考える住まい設計と空間バランスの本質
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail666.html?utm_source=chatgpt.com
コンセントがあっても、
ソファの後ろに完全に隠れてしまえば使いにくい。
家具を置く前には使えたコンセントが、
家具を置いた途端に使えなくなることもあります。
実際、住み始めてから「ベッドでコンセントが隠れた」という
事もあるかもしれません。
ですから私は、
間取やコンセント位置を考える前に、
家具やインテリアについての意味を知っていただくために
通常は、家具やインテリア、
建築設備機器、家電のショールームにご案内させていただいています。
ソファ。
テレビ。
ダイニングテーブル。
ベッド。
デスク。
収納家具。
家具の大きさと位置、選択肢を具体的にしていくと、
間取りの検討を始める際には、
コンセントをどこにつくるべきなのかも、
少しずつ見えてきます。
家具配置は、インテリアだけの話では無いという事。
家具は、
家が完成してから考えるもの。
そう思われることもあります。
けれど、
住宅設計と家具は本来とても近い関係にあります。
ソファの位置が変われば、
人の視線が変わります。
ダイニングテーブルの位置が変われば、
人の通り道も変わります。
ベッドの位置が変われば、窓との関係も変わります。
家具の高さによっては、
スイッチやコンセントが隠れることもあります。
つまり、家具を考えることは、暮らしたときの空間を考えること。
私は間取りを考える段階から、
家具の配置もできるだけ一緒に考えるようにしています。
収納は「何帖あるか」より「何を、どこで使うのか」を意識する事が大切。
収納も同じです。
最近は、ウォークインクローゼット。
ファミリークローゼット。
シューズクローク。
パントリー。
といった収納について調べる方も多いと思います。
でも、広いウォークインクローゼットがあれば、
必ず片付く家になるわけではありません。
大切なのは、
何を、どこで使って、どこへ戻すのかということ。
例えば、帰宅する。
上着を脱ぐ。
鞄を置く。
手を洗う。
着替える。
LDKへ入る。
この一連の動きの途中に、
必要な収納があれば自然に片付けやすくなります。
反対に、
たくさん収納をつくっても、
使う場所から遠ければ、
「とりあえずここに置いておこう」という状態が増えていきます。
収納量だけでなく、
収納と人の行動との距離を考えることも大切です。
スイッチは「部屋」ではなく、人の動きから考えるということ。
夜、帰宅した場面を想像してみます。
玄関を開ける。
靴を脱ぐ。
廊下を歩く。
LDKへ入る。
そこから洗面室へ行く。
そして寝る前には、
LDKから廊下を通り、寝室へ向かう。
人は「玄関」「廊下」「LDK」「寝室」と、
部屋の名前ごとに暮らしているわけではありません。
一つの場所から、
次の場所へ動き続けています。
ですからスイッチも「この部屋にはここ」だけではなく、
どこから来て、次にどこへ行くのか?
という流れから考えてみる事が重要です。
実際に、スイッチの位置によって暗い場所を歩かなければならなかったり、
一度点けた照明を消すために
戻らなければならなかったりするケースもあると思います。
図面上では数十センチの違いでも、
暮らしの中では、
毎日繰り返す動作の違いになります。
勿論、部屋の使い方や内容によっては「人感センサー式」の照明を使ったり
音声を使ったスイッチの在り方も検討方法の一部。
人と家そのものの「リンク」も今後は増えるかと思います。
照明は、部屋を明るくするためだけのものではないという事。
照明についても、
「LDKには何灯必要ですか?」という考え方だけでは、
少し足りないように思います。
もちろん、必要な明るさを確保することは大切です。
キッチンで料理をするとき。
洗面室で身支度をするとき。
デスクで仕事や勉強をするとき。
必要な場所には、
必要な光がなければなりません。
一方で、家の中すべてを
均一に明るくする必要もありません。
天井を少し暗く残す。
壁に光を落とす。
床に近い位置に灯りを置く。
庭の木を照らす。
廊下の先に、小さな光をつくる。
明るいところと、
少し暗いところがあることで、
空間に奥行きが生まれます。
そして、一日の終わりに過ごす家の光は、
単に「見えるようにする」だけではなく、
外で過ごしていた気持ちを、家で過ごす気持ちへ切り替える
という役割も持っているように思います。
大きな窓をつくる前に、ソファに座ってみる。
窓も同じです。
明るい家にしたい。
開放的なLDKにしたい。
庭を眺めたい。
だから、大きな窓をつくる。
それ自体が間違っているわけではありません。
でも、その窓の前には何を置くのでしょうか?
ソファに座ったときには、何が見えるのでしょうか?
道路からは、室内がどう見えるのでしょうか?
テレビには光が映り込まないでしょうか?
西日はどうでしょうか?
カーテンを閉めたままにならないでしょうか?
窓は、単独で考えるものではありません。
窓、家具、庭、光、視線。
それらの関係を考えることで、
初めて「気持ちのいい窓」になるのだと考えています。
キッチンでは、忙しい朝を想像してみる。
キッチンのコンセント計画も、
家電の数だけでは決まりません。
炊飯器。
電子レンジ。
トースター。
電気ケトル。
コーヒーメーカー。
ミキサー。
家庭によっては、まだ他にもあると思います。
ここで考えておきたいのは、
「何台持っているか」だけではなく、
いつ、どの家電を同時に使うのか?
ということです。
平日の朝。
朝食をつくりながら、お湯を沸かす。
電子レンジも使う。
コーヒーも淹れる。
家族がそれぞれ出掛ける準備をしている。
そんな時間を図面の上で想像してみる。
すると、必要なコンセントだけでなく、
家電の置き場所。
収納。
作業スペース。
人が立つ場所。
通路。
そういったものまで見えてきます。
コンセント計画に関する内容でも、
単に個数を増やすのではなく、
家具・家電・生活動線を
図面に重ねて検討する重要性がますます深まっていると思います。
「あと10cm」は、図面では小さいですが、
暮らしではその差は大きいということ。
10cm。
図面で見れば、ほんの小さな距離です。
でも、毎朝使うスイッチ。
毎晩スマートフォンを充電するコンセント。
毎日開ける収納。
毎日通る場所。
となると、その10cmを何千回、
何万回と経験することになります。
家づくりで大切なのは、
大きなことだけではありません。
むしろ小さな動作の意味を、
計画の段階でよい方向に向ける事ができるのかどうか?
そこにも、
設計する意味があると思っています。
図面に描かれていないものを考えるということ。
設計図には、
壁。扉。窓。キッチン。収納。コンセント。照明。
いろいろなものが描かれています。
でも、私が図面を見ながら考えているのは、
そこに描かれているものだけではありません。
朝、誰が最初に起きるのか。
カーテンを開けたとき、何が見えるのか。
帰宅して、鞄をどこへ置くのか。
買い物袋を、どこまで運ぶのか。
料理をしているとき、家族はどこにいるのか。
ソファでは、誰がどこに座るのか。
夜になれば、どの灯りをつけるのか。
そして、眠る前に、最後にどの灯りを消すのか。
そんな、まだ起きていない家族の日常を検討しています。
だれかの「正解の間取り」を探すより、
自分たちの暮らしを話してみるということ。
インターネットやSNS、
そしてAIを使えば、
家づくりについて
たくさんの情報を知ることができます。
「おすすめの間取り」
「後悔しない収納」
「コンセントの正解」
「家事動線のいい家」
そうした情報を調べることは、
家づくりを考えるうえでとても役立ちます。
ただ、誰かにとって便利な間取りが、
自分たちにも便利とは限りません。
誰かに必要な収納が、
自分たちにも必要とは限りません。
家族構成も。
仕事も。
休日の過ごし方も。
持っている物も。
大切にしている時間も。
価値観も、一人ひとり違うからです。
ですから家づくりを始めるとき、
「どんな間取りにしたいですか?」
よりも先に、
「普段、どんなふうに暮らしていますか?」という話をしています。
朝のこと。
仕事から帰った後のこと。
家事のこと。
好きな家具のこと。
片付けにくくて困っていること。
休日のこと。
家族で過ごす時間のこと。
一見すると、
建築とは関係がなさそうな話の中に、
その家族に合った住まいを考えるヒントが
隠れていることがあります。
家をつくることは、これからの日常を考えること。
家づくりでは、
どうしても大きなものに目が向きます。
土地。
予算。
間取り。
性能。
キッチン。
外観。
もちろん、どれも大切です。
でも、家が完成したあとに待っているのは、
特別な日ではなく、
ほとんどが何気ない毎日だということ。
朝起きる。
顔を洗う。
食事をする。
仕事へ出掛ける。
帰ってくる。
料理をする。
家族と話す。
ソファで過ごす。
灯りを消して眠る。
その繰り返しです。
ですから私は、住宅設計とは、
建物を整えることだけではなく、
これから何年も繰り返される日常を、
少し先回りして考えることでもあると考えています。
コンセントひとつ。
スイッチひとつ。
収納ひとつ。
照明ひとつ。
ほんの小さなことに見えても、
それが毎日の心地よさにつながっていく。
そして、その小さな積み重ねが、
いつの間にか「この家に住んでよかった」という
感覚になっていくのではないでしょうか?。
勿論そこには「大切な人間関係」も含めて。
やまぐち建築設計室では、
間取りやデザインだけを先に決めるのではなく、
住まい手さんとの会話を通じて、
今の暮らし。
困っていること。
好きなこと。
これから大切にしたい時間。
まだ言葉になっていない希望。
そうしたことを一つずつ整理しながら、
住まいについて考えています。
「まだ、どんな家にしたいのか分からない」そんな段階でも構いません。
むしろ、
答えが決まっていないからこそ、
一緒に考えることができる内容も深掘りすることができます。
間取りを決めるためだけではなく、
これから、どんな毎日を過ごしたいのか?
そこから家づくりについて
考えてみるのもいいと思います。
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※新築・リフォーム・土地探しなど、
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家づくりは「問い」から始まる・最適で理想の暮らしを後悔なく形にする、設計の思考整理
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