理想の暮らしがうまく言葉にできない方へ|「自分たちらしい家」を見つける5つの問い、建築家と暮らしの感度を拡張する家づくり

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

理想の暮らしがうまく言葉にできない方へ。

注文住宅で「自分たちらしい家」を
見つける為のまずは5つの問いを。

※「どんな家が欲しい?」と聞かれると迷ってしまう。でも「休日をどんなふうに過ごしたい?」なら、少し答えが見えてくる。自分たちらしい家は、そんな何気ない会話から輪郭を現し始めます。

「どんな家を建てたいですか?」

そう聞かれて、すぐに答えられる人は、

意外に少ないのではないでしょうか?

平屋がいい。

広いLDKが欲しい。

収納は多いほうがいい。

中庭にも憧れる。

ホテルのような落ち着いた空間もいいし、木や障子を使った和モダンな雰囲気にも惹かれる。

SNSや住宅雑誌を見ていると、

素敵だと思う家は次々と見つかります。

けれど、情報を集めれば集めるほど、

「結局、私たちにはどんな家が合っているのだろう?」

と分からなくなることがあります。

それは、決して珍しいことではありません。

家づくりの最初から「理想の家」がはっきり見えている必要はないと、

私は考えています。

むしろ大切なのは、

欲しい間取りを決めることよりも、その少し手前にある、

「自分たちは、これからどんな時間を大切にして暮らしたいのか」

ということを少しずつ見つけていくこと。

今回は、注文住宅や住まいの見直しを考え始めたときに、

自分たちらしい暮らしを整理するための「最初の5つの問い」について

考えてみたいと思います。

なぜ、理想の家は簡単に決められないのでしょうか?

家づくりを始めると、

たくさんの選択肢に出会います。

平屋か二階建てか。

対面キッチンかアイランドキッチンか。

吹き抜けをつくるのか。

中庭をつくるのか。

床は無垢材か、それ以外か。

収納は見せるのか、隠すのか。

さらに、断熱性能、耐震性能、設備、照明、家具、外構、素材、色……。

選択肢が増えるほど、

理想に近づいているように感じます。

ところが、人は選択肢が増えすぎると、

かえって判断しにくくなることがあります。

家づくりでも同じです。

「どれが一番いいのだろう?」

と考え続けるうちに、

「自分たちにとって、何が大切なのか」

が見えにくくなってしまうことがあります。

ですから、設備や間取りを選ぶ前に、

一度だけ視点を変えてみます。

「何が欲しいか」ではなく「なぜ、それが欲しいのか?」と。
「欲しいもの」の奥に、本当の希望が隠れているということ。

たとえば「大きな窓が欲しい」という希望があったとします。

でも、本当に欲しいものは窓そのものなのでしょうか。

朝、自然光の中で気持ちよく過ごしたい。

庭の木々を眺めながら食事をしたい。

外からの視線を気にせず、カーテンを開けて暮らしたい。

空や季節の変化を家の中から感じたい。

同じ「大きな窓」でも、その理由によって設計の答えは変わります。

収納も同じです。

「収納を増やしたい」という希望の奥に、

片付けに追われる時間を減らしたい。

生活感を見せず、落ち着いて暮らしたい。

家族が自然に片付けられるようにしたい。

という気持ちがあるのなら、単純に収納面積を増やすことだけが答えではありません。

大切なのは、

モノの希望から、その奥にある暮らしの希望へ。

一段深く考えてみることです。

自分たちらしい家を見つける「5つの問い」

ここからは、住まいを考えるときに、

一度ご家族で話してみていただきたい5つの問いです。

正解を出す必要はありません。

夫婦で答えが違っていても構いません。

むしろ、その違いの中に家づくりの大切な手掛かりが見つかることがあります。

1.今の暮らしで、小さなストレスになっていることは何ですか?

最初に考えてみたいのは、「理想」ではなく現在の暮らしです。

朝、洗面室が混み合う。

買い物から帰ったあと、荷物をキッチンまで運びにくい。

洗濯物を洗って、干して、畳んで、収納するまで家の中を何度も移動する。

玄関に物が集まる。

家族がLDKにいると、一人で静かに過ごせる場所がない。

一つひとつは小さなことかもしれません。

しかし、毎日繰り返される小さな不便は、暮らしの感じ方に少しずつ影響します。

「今の家の嫌なところ」を探すのではなく、

「毎日の中で、もう少し楽になったらうれしいことは何だろう?」

と考えてみてください。

そこから、必要な動線や収納、居場所が見えてきます。

2.休日、家でどんな時間を過ごせたらうれしいですか?

次は少し未来を想像してみます。

休日の朝。

あなたは家のどこにいるでしょうか。

庭を眺めながらコーヒーを飲んでいる。

キッチンで家族と料理をしている。

窓辺の椅子で本を読んでいる。

愛車を眺めながらガレージで過ごしている。

ウッドデッキで食事をしている。

何もしないで、ただ静かに過ごしている。

ここで大切なのは、「何帖の部屋が欲しいか」ではありません。

そこで何をして、どんな気持ちで過ごしたいのか。

具体的な場面を思い浮かべると、自分たちが住まいに求めているものが少しずつ見えてきます。

3.家族と一緒にいたい時間と、一人でいたい時間は、どんなときですか?

家族だからといって、いつも同じ場所にいることが心地よいとは限りません。

同じLDKにいながら、それぞれ違うことをしている。

夫婦で庭を眺めながら話をする。

子どもが勉強している気配を感じながら料理をする。

一方で、

仕事に集中したい。

一人で本を読みたい。

少し静かに過ごしたい。

そんな時間もあります。

住宅設計では、

「つながること」と「離れること」の両方を考えることが大切です。

壁で完全に分けなくても、

視線の向き、床の高さ、天井、照明、家具、窓、庭などによって、

人との距離感を調整することができます。

家族の気配を感じながら、自分の時間も持てる。

その曖昧な距離感も、住まいの居心地をつくる大切な要素です。

4.10年後、今より「増やしたい時間」と「減らしたい時間」は何ですか?

家は、完成した日のためだけにつくるものではありません。

10年後には、家族の暮らしも変わっています。

子どもが成長しているかもしれません。

夫婦二人で過ごす時間が増えているかもしれません。

働き方が変わっているかもしれません。

そこで「10年後、何が欲しいか?」

ではなく、

「今より、どんな時間を増やしたいか?」

と考えてみます。

家族と食事をする時間。

庭で過ごす時間。

趣味を楽しむ時間。

夫婦で話をする時間。

一人で静かに過ごす時間。

反対に、

片付ける時間。

探し物をする時間。

洗濯のために家の中を移動する時間。

家の維持管理に追われる時間。

減らしたい時間もあるはずです。

家づくりは、部屋を増やすことだけではなく、

これからの人生で「増やしたい時間」と「減らしたい時間」を整えること

でもあると思います。

5.もし一つだけ大切にするとしたら、何を残したいですか?

最後の問いは、少し難しいかもしれません。

家づくりでは、すべての希望を同じ強さで叶えられるとは限りません。

土地にも条件があります。

予算にも限りがあります。

面積にも限りがあります。

だからこそ「全部欲しい」から一度離れて、

「私たちが一番大切にしたいものは何だろう?」

と考えてみます。

庭とのつながり。

家族が集まる場所。

料理を楽しめるキッチン。

静かに眠れる寝室。

好きな車と過ごせるガレージ。

家事のしやすさ。

冬でも心地よく過ごせる室内環境。

素材の質感。

あるいは、家に帰ってきたときに感じる安心感かもしれません。

一番大切なものが見えてくると、

不思議と「それほど重要ではなかったもの」も見えてきます。

それが、住まいの優先順位を考える手掛かりになります。

夫婦で答えが違っても、それは問題ではありません

この5つの問いを夫婦で考えてみると、

答えが違うこともあると思います。

夫は、開放的なLDKが欲しい。

妻は、落ち着ける小さな場所が欲しい。

一方は人を招きたい。

もう一方は、家では静かに過ごしたい。

でも、どちらかが間違っているわけではありません。

住宅設計で大切なのは、

AかBかを決めるのではなく、

AとBが心地よく共存できる方法を探すこと。

開放的だけれど落ち着く。

家族がつながっているけれど、一人にもなれる。

外へ開いているけれど、人目は気にならない。

人を招けるけれど、普段は静かに暮らせる。

一見すると相反する希望の間に、その家族らしい答えが隠れていることがあります。

建築家との打ち合わせは「答え合わせ」ではありません

「自分たちの希望をきちんとまとめてから相談した方がいいですか?」

と聞かれることがあります。

私は、必ずしもそうではないと思っています。

むしろ、

「何がいいのか分からない」

「夫婦で意見が違う」

「マンションと戸建てのどちらがいいのかさえ決められない」

「今の家をリフォームするべきか、建て替えるべきか迷っている」

そんな段階だからこそ、話してみる意味があります。

私が住まいの相談で大切にしているのは、

要望を受け取って、そのまま図面にすることではありません。

普段どんな生活をしているのか。

どんなことに困っているのか。

何をしている時間が好きなのか。

これからどんな暮らしをしてみたいのか。

そんな話を伺いながら、一緒に整理していきます。

会話をしているうちに、

「そういえば、私たちが欲しかったのは、広い家ではなかったのかもしれません」

というように、

ご自身でも気づいていなかった価値観が言葉になることがあります。

私は、その時間も設計の一部だと考えています。
素材を選ぶことも、「好き」を確認する時間

住宅の打ち合わせでは、

床材やタイル、壁紙、木、石など、さまざまな素材にも触れます。

素材選びは、単に色を決める作業ではありません。

カタログや写真で見るのと、

実際に手で触れるのとでは印象が違います。

光が当たったときの表情。

影の状態、手触り。

木目。

光沢。

温かさ。

周辺要素との融合による「違い」の認識。

そうした感覚を確かめながら、

「これは落ち着く」

「これは少し違う」

という小さな反応を拾っていきます。

言葉では説明しにくい「好き」や「心地よさ」が、

素材を前にすると見えてくることもあります。

住宅模型を見ることも同じです。

※住宅模型の作成はケースバイケースです。

図面だけでは分かりにくかった光の入り方や、

庭との距離、部屋同士のつながりが、立体になることで少し違って見えてきます。

家づくりには、頭で考える時間と、

実際に見たり触れたりしながら感じる時間の両方が必要だと思います。

「自分たちらしい家」は、最初から見つかっているものではない

SNSには、美しい住宅がたくさんあります。

ホテルライクな家。

和モダンな平屋。

中庭のある家。

大きな吹き抜けのある家。

どれも魅力的に見えると思います。

でも、それがそのまま自分たちにとって

心地よい家になるとは限りません。

SNSの写真投稿者の「現実」は本当はどうなのか?

という事も実際にはわからないものです。

大切なのは、

「何が流行っているか」ではなく、「自分たちは何に心が動くのか」。

〇関連blog・コラム
いい家は、誰にとっても「いい家」ではない|奈良で注文住宅を考える方へ、建築家と一緒に育てる「自分たちに合う家」を見つける感度

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail975.html?utm_source=chatgpt.com

そして、

「何をつくるか」だけではなく、「そこでどう暮らしたいのか」。

自分たちらしい家は、最初から完成した答えとして存在しているのではなく、

話して、

迷って、

比べて、

感じて、

少しずつ見つけていくものなのだと思います。

家づくりに迷ったら、まず5つの問いから

最後に、もう一度まとめてみます。

1.今の暮らしで、小さなストレスになっていることは何ですか?

2.休日、家でどんな時間を過ごせたらうれしいですか?

3.家族と一緒にいたい時間と、一人でいたい時間は、どんなときですか?

4.10年後、今より増やしたい時間と減らしたい時間は何ですか?

5.家づくりで一つだけ大切にするとしたら、何を残したいですか?

今すぐ全部答えられなくても構いません。

一人で考えてもいいですし、夫婦で話してみてもいい。

そして、答えが違っていてもいいと思います。

その違いや迷いも含めて、

「なぜだろう?」と少し掘り下げてみる。

そこから、自分たちらしい住まいの輪郭が少しずつ見えてきます。
奈良で、これからの暮らしを考えるということ

奈良県で注文住宅や新築、

平屋、リフォーム・リノベーション、

古民家再生などを考えている方の中にも、

「まだ何も決まっていないから、相談するには早い」

と感じている方がいらっしゃるかもしれません。

けれど、本当に大切なのは、

完成した要望書を持っていることではありません。

今の暮らしに感じていることや、

これからこう暮らしてみたいという小さな思いを、

一つずつ言葉にしていくこと。

そこから住まいの方向性を考えることができます。

どんな家を建てるのかを決める前に、

どんな毎日を過ごしたいのかを考える。

間取りを描く前に、

その人、その家族にとって大切なものを見つける。

それが、やまぐち建築設計室の考えている

住まいづくりの出発点です。

考える質が、毎日の心地良さになる。

まだ言葉になっていない暮らしへの思いを整理するところから、

家づくりは始まっているのだと思います。

やまぐち建築設計室の完全予約制住まいづくり相談会のご案内

※新築・リフォーム・土地探しなど、

まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただけます。

‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
------------‐-----------------------------