上質な家は、価格だけでは決まらない|奈良の注文住宅で考える「価値への投資」と、心豊かに暮らす住まいづくりの設計提案

価格の高いものを選ぶことが、上質な家づくりとは限らないということ。
注文住宅で考えたい「価格」と「暮らしの価値」の違い
家づくりでは、
「せっかく建てるのだから、いいものを選びたい」
と思う場面が何度もあります。
※家づくりで大切なのは、高価な素材を選ぶことではなく、自分たちにとって何が大切なのかを見極めること。間取りや外観プラン、模型、素材を前に考える時間にも、その家らしさは少しずつ表れ始めます。
キッチン。
床材。
タイル。
照明。
家具。
窓。
水まわり。
断熱性能。
外構や庭。
一つひとつ見ていけば、
価格の高いものには、それなりの理由があります。
素材が違う。
つくりが違う。
機能が違う。
耐久性が違う。
デザインが違う。
けれど、ここで一度考えてみたいことがあります。
価格が高いことと、
その家族にとって価値が高いことは、同じなのでしょうか?
私は、必ずしも同じではないと思っています。
「いいものを選ぶ」と「いい家になる」は少し違うということ。
たとえば、とても上質な床材があったとします。
質感も美しい。
経年変化も楽しめる。
触れたときの感触もいい。
もちろん、それを選ぶことには価値があります。
でも、床にそれほど関心がないご家族にとって、
その価格差は暮らしの満足につながらないかもしれません。
反対に、
朝、素足で歩いたときの感触が好き。
木が少しずつ色を変えていく様子を楽しみたい。
床に座って庭を眺める時間が好き。
そんな方にとっては、
毎日触れる床材へ予算を使う意味は大きくなります。
同じ床材。
同じ価格。
それでも、価値は住む人によって変わるということです。
注文住宅で難しいのは「選ぶこと」より「見極めること」
注文住宅には、たくさんの選択肢があります。
選べるということは、大きな魅力です。
一方で、選択肢が多いほど迷いやすくなります。
AよりBの方が性能が高い。
こちらのキッチンの方がグレードが上。
このタイルの方が高級。
こちらの照明の方が有名。
SNSではこの設備が人気。
そうした比較を続けていると、いつの間にか、
「自分たちに必要なのか?」
ではなく、
「どちらの方が上なのか?」
で選び始めてしまうことがあります。
でも、家は誰かと比べるためにつくるものではありません。
だからこそ、注文住宅で本当に難しいのは、
たくさんの中から「いいもの」を選ぶこと以上に、
自分たちにとって価値のあるものを見極めること
なのだと思います。
価格は数字で比較できる。
でも、価値は数字だけでは決められないものです。
例えば、30万円と40万円。
100万円と200万円。
価格であれば、違いは明確です。
しかし、
朝の光が気持ちよく入ること。
庭の緑を眺めながら食事ができること。
家に帰った瞬間、気持ちが仕事から暮らしへ切り替わること。
夫婦が同じ場所にいながら、それぞれ静かに過ごせること。
生活感が目に入りにくく、部屋が整って見えること。
冬の朝、室温差による負担を感じにくいこと。
こうしたものごとの価値は、
簡単には金額へ置き換えられません。
けれど、何十年という暮らしの中では、
そうした心地よさが積み重なっていきます。
私は住宅を考えるとき、
「いくらするか」と同時に「それによって毎日の何が変わるのか」
という内容を考えることが大切だと思っています。
高級な家と、上質な家は同じでしょうか?
「高級」という言葉からは、
高価な素材。
大きな空間。
ブランド家具。
最新設備。
豪華なキッチン。
そんなものを想像するかもしれません。
もちろん、
それらが暮らしを豊かにすることもあります。
でも私が考える「上質な住まい」は、少し違います。
必要以上に主張しない素材。
光が美しく落ちる壁。
庭へ自然に視線が抜ける窓。
手を伸ばした場所に必要なものがある収納。
人が歩く場所と家具の位置がきちんと考えられている空間。
夜になると、照明の明るさが少し落ち、
自然と気持ちも静かになる。
そういう、
説明されなければ気づかないような部分にまで
考えが行き届いている。
「高価だから上質」なのではなく、
暮らす人にとって必要なものが、
必要な場所に、ちょうどよく整えられている。
私は、そこに上質さが生まれるのだと考えています。
費用を掛ける場所より先に「感情が動く場所」を探してみる
家づくりで予算配分を考えるとき、
「どこにお金を掛ければいいですか?」という問いをいただく事もあります。
実際には、それも大切ですが、
その前に私は、
「家の中で、どんな瞬間に気持ちが動いてほしいのか?」
と考えてみてもいいかと思います。
玄関を開けた瞬間。
朝、カーテンを開けたとき。
料理をしているとき。
庭を眺めているとき。
お風呂に入っているとき。
一日の仕事を終えて、ソファに座ったとき。
家族や友人と食卓を囲んでいるとき。
その中で「この時間を大切にしたい」と思えるものがあれば、
そこには予算を使う意味があるかもしれません。
反対に、ほとんど使わない部屋。
必要以上の設備。
暮らし方に合っていない収納。
誰かに見せるためだけの仕様。
そうしたものには、必ずしも費用(投資)を最大限掛ける必要はありません。
予算配分とは、
単なるコスト調整ではなく、
その家族の価値観を住まいへ反映する作業でもあります。
例えば、キッチンに300万円を掛ける意味
少し具体的に考えてみます。
高価なキッチンを選べば、いい家になる。
もちろん、そんな単純な話ではありません。
料理は必要最低限でいい。
キッチンにいる時間も短い。
というご家庭なら、キッチンの価格を抑え、
その分を別の場所へ使う方が暮らしに合っていることがあります。
一方で、料理そのものが趣味。
夫婦で料理をする。
休日には友人を招く。
子どもと一緒に料理をする時間を大切にしたい。
そんなご家族なら、キッチンは単なる設備ではありません。
家族の時間を生み出す場所になります。
その場合、キッチンやその周辺に予算を掛ける意味は、
設備の価格だけでは測れません。
「高いか、安いか」ではなく、
その場所が自分たちの暮らしの中で、どれくらい大切なのか。
判断する基準はこちらなのだと思います。
広さにも、同じことが言えます
家は大きいほど豊かになるのでしょうか。
私はそうは思いません。
広さには当然、価値があります。
家族が集まれる。
人を招ける。
収納を確保できる。
ゆったりした動線をつくれる。
しかし、面積が増えれば建築費だけではなく、
冷暖房、清掃、維持管理にも関係します。
ですから「何坪あればいいのか?」だけではなく、
「その面積を、どんな時間のために使うのか?」
まで考えてみます。
40帖のLDKが必要なご家族もいれば、
20帖程度でも十分豊かに暮らせるご家族もいます。
面積そのものではなく、
視線、窓、天井、家具、庭、動線、光の入り方まで含めて設計すると、
同じ面積でも感じ方は変わります。
大切なのは、広さを示す数字を増やすことではありません。
部屋という広さの中とその周辺に、
どれだけその家族にとっての価値のある暮らしの意味を持たせられるのか?
そこにも設計の価値があります。
「見えるところ」だけにお金を掛けないということ。
家づくりでは、目に見えるものに意識が向きやすくなります。
キッチン。
タイル。
照明器具。
家具。
洗面台。
外観。
もちろん、どれも大切です。
でも、完成すると見えなくなるものにも、
暮らしを支える大切な要素があります。
断熱。
気密。
耐震。
防水。
下地。
設備配管。
メンテナンス性。
こうしたものは、現実と事実を正確に伝えない、
Instagramの写真では伝わりにくい部分です。
しかし、住み始めてからの快適性や安心、
維持管理には大きく関わります。
見える価値と、見えない価値。
その両方のバランスを考えることも、上質な家づくりには欠かせません。
「高い・安い」から離れると、家づくりが随分変わるということ。
家づくりでは、大きなお金が動きます。
だから価格が気になるのは当然です。
でも「高いからやめる」「高いから良い」「安いから得」「安いから心配」
という選択だけでは、
本当の価値を見落とすことがあります。
そこで「この選択によって、私たちの毎日はどう変わるのだろう?」
と問い直してみる。
すると、価格の見え方が少し変わります。
毎日使うものなのか。
一年に数回しか使わないものなのか。
10年、20年と暮らしに影響するものなのか。
交換できるものなのか。
後から変えるのが難しいものなのか。
そして何より、
自分たちはそこに心地よさを感じるのか。
そうやって考えることで、
「高い・安い」から、
「自分たちにとって価値がある・ない」という方向性に判断の軸を移すことができます。
建築家との打ち合わせで考えているのは「何を選ぶか」というだけではありません。
〇関連blog
建築家に設計を依頼する意味とは?|奈良で注文住宅を考える方へ、価格では測れない「家族のための家」と設計の価値
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail969.html
住宅の打ち合わせでは、たくさんのサンプルを見ます。
床材。
タイル。
クロス・壁紙。
和紙。
畳。
木。
石。
色。
照明。
設備等様々。
けれど、私は単に「どれにしますか?」と選んでいただくためだけに、
素材を並べているわけではありません。
触れたときに、どう感じるのか。
光が当たったとき、どう見えるのか。
周囲の素材と組み合わせると、どんな空気になるのか。
そして、
その素材を使った場所で、どんな時間を過ごすのか。
そこまで考えながら素材の意味を提案し、
そして選び方を相談します。
設計とは、価格表の中からグレードを決めることではありません。
そのご家族が大切にしているものを見つけ、
それを空間、素材、光、動線、家具、庭、そして予算へ翻訳していくこと。
私は、そう考えています。
お金を掛けたことより、心に残ることを。
10年後。
20年後。
家を建てたときの見積書の金額を、
細部まで覚えている人は少ないかもしれません。
でも、
朝、庭に差し込む光。
家族で囲んだ食卓。
好きな椅子から見える景色。
玄関を開けたときに感じる安心感。
子どもが巣立ったあと、夫婦で静かに過ごす時間。
そうした記憶は残っていくのだと思います。
だからこそ、家づくりで考えておくべき事柄は、
「いくら掛けた家なのか」だけではなく「どんな時間が残る家なのか」。
高価なものを集めることが、
上質な家づくりなのではありません。
自分たちが本当に大切にしたいことを知り、
そこに必要なものを丁寧に選ぶ。
そして、必要ではないものを、あえて選ばない。
その判断にも、住まい手の価値観や美意識が生まれます。
奈良という場所で、自分たちにとっての「価値」を考える家づくり
奈良県で注文住宅や平屋、和モダン住宅、
ホテルライクな住まい、
リフォーム・リノベーションなどを検討していると、
「坪単価はいくらですか?」
「この設備はいくらですか?」
「どこにお金を掛けるべきですか?」
という疑問が出てくると思います。
もちろん、金額を把握することは大切です。
でも、その数字だけで住まいの価値を決める必要はありません。
どこに費用を掛けるのか。
どこは掛けなくてもいいのか。
その前に、
「自分たちは、どんな暮らしに価値を感じるのか?」
そういった内容を考えてみる。
そこが整理できると、
予算の使い方にも、
そのご家族らしい答えが見えてきます。
やまぐち建築設計室では、
間取りやデザインだけではなく、
そうした価値観を一緒に整理しながら住まいを考えています。
家づくりの答えが、
まだ決まっていなくても構いません。
何を選べばよいのか迷っている段階にも、
設計の手掛かりがあります。
考える質が、毎日の心地良さになる。
価格の先にある、これからの暮らしの価値まで。
丁寧に考える家づくりでありたいと思います。
やまぐち建築設計室の予約制住まい造り相談会のご案内
※新築・リフォーム・土地探しなど、
まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただけます。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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