質のよい家は、住んでからの時間まで考えられている|奈良の注文住宅で考える、光・色・間取り・生活環境と暮らしを豊かにする住宅設計

家づくりで本当に大切なのは、
間取りを決めることだけではないということ。
建築家と考える、
住んでからの心地よさと暮らしを豊かにする住宅設計の時間。
※いい家は、間取りを決めることから始まるとは限りません。
LDKの内観CGを囲みながら考えているのは、デザインや広さだけではなく、
光や色、家具、動線、家族の距離、そして住んでからの時間。
アトリエにてご夫婦の「これから、どう暮らしたいか」を一緒に紐解きながら、
家族にとっての心地よさを住宅設計へと整えていきます。
家づくりを始めると、
注文住宅の場合は特に、
決めるべき内容がたくさんあります。
間取り、広さ、キッチン、収納、床材、壁の色、照明、窓、家具、設備・・・・・。
Instagramや住宅雑誌を見れば、
「こんなLDKにしたい」
「ホテルライクな家がいい」
「和モダンな雰囲気が好き」
「中庭のある平屋に憧れる」
そんな理想も膨らんでいきます。
けれど私は、住宅設計をするとき、
実は、その少し先まで考えることが大切だと思っています。
その家が完成したあと、そこでどんな毎日を過ごすのか?
家づくりの本当の目的は、
家を完成させることだけではありません。
そこから始まる暮らしを、
より心地よいものにすることだからです。
CGを見ながら話しているのは「デザイン」の事だけではありません。
図面の資料と共に
提案としてのLDKの内観CGを広げ、
ご夫婦と一緒に空間を確認しています。
CGというと、
「完成したら、こんな感じになります」
とデザインを確認するためのものと思われるかもしれません。
もちろん、それも目的のひとつです。
しかし、私がCGを使って住まい手さんと確認しているのは、
それだけではありません。
例えば、このソファに座ったときに何が見えるのか。
キッチンに立ったとき、家族の姿はどう見えるのか。
窓からどのように光が入るのか。
庭との距離は心地よいか。
天井の高さはどう感じるのか。
家具を置いても、人が無理なく歩けるのか。
夜になり照明を点けたとき、昼間とはどのように空間の表情が変わるのか。
そうしたことを、ご夫婦と一緒に想像します。
つまり見ているのは、
「美しいLDK」ではなく、そこで過ごす未来の時間。
「広いLDKが欲しい」から、もう一歩先へ・・・・・。
例えば「広いLDKにしたい」
というご要望があったとします。
では、何帖あればよいのでしょうか?
25帖でしょうか。
30帖でしょうか。
35帖でしょうか。
40帖でしょうか・・・・・・。
実は、数字だけでは答えられません。
なぜ広いLDKを望んでいるのかを考える必要があるからです。
家族が自然と集まれる場所が欲しい。
友人を招いて食事を楽しみたい。
庭を眺めながら静かに過ごしたい。
料理をしながら家族と会話したい。
今住んでいる家の閉塞感をなくしたい。
夫婦それぞれが別のことをしていても、お互いの気配を感じていたい。
理由が違えば、必要な設計も違います。
単純に床面積を大きくするより、
窓の位置を工夫した方がいいかもしれない。
庭へ視線を抜いた方がいいかもしれない。
天井高を少し変えた方がいいかもしれない。
家具配置を先に考えた方がいい場合もあります。
「何帖欲しいか」ではなく「そこで何を感じながらどう過ごすのか?」。
そこまで考えると、家づくりは少し違って見えてきます。
人は「面積」だけで空間を感じているわけではないということ。
ここは住宅設計だけではなく、
様々な建築空間でも、とても大切な部分です。
人が部屋に入ったときに感じる、
広い。狭い。明るい。落ち着く。少し緊張する。居心地がいい。
そうした感覚は、
床面積だけから生まれているわけではありません。
色彩、明暗、窓の位置、視線の抜け、
天井高、素材、家具、照明など、
複数の要素が組み合わさって空間を認識しています。
実際、色彩の明度や彩度、色を配置する面などによって、
空間の広がりや圧迫感などの認知が
変化することが示されています。
J-STAGE
ですから私は、
色を「好み」だけで決めないことも大切だと考えています。
色は、暮らしの環境を左右するということ。
例えばグレーひとつを取っても、
明るいグレー。
少しベージュを含んだグレージュ。
青みを感じるグレー。
暗く深いチャコールグレー。
それぞれ空間の印象は違います。
さらに、同じ色でも自然光と照明では見え方が変わり、
床や天井、家具との組み合わせでも印象は変わります。
そして、色彩に対する心理評価には個人差があります。
年齢によって評価傾向が異なることを示した
住宅インテリアの研究もあります。
J-STAGE
ですから「青は落ち着くから寝室は青」
「白なら部屋が広く見える」
といった一つの法則だけで住宅を決めてしまうのは、
少し違うと私は考えています。
大切なのは、
誰が、どこで、何をして、どんな時間を過ごすのか?
色彩も、そのために整える生活環境の要素となります。
心地よさをつくるのは、見た目の状態だけではありません。
そして、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。
住宅の心地よさは、
目に見えるデザインだけで決まるものではありません。
室温。湿度。光。音。風。匂い。空気。
人との距離。外からの視線。
収納の位置。
毎日の移動距離。
こうしたものも、私たちの暮らしの要素をつくっています。
国土交通省も、
住宅における温度・騒音・照度・衛生・安全などと
生活の質との関係を紹介しています。
また、住まいを健康・安心・快適という視点から考える取り組みは
現在も続けられており、
2026年度にもライフステージに応じた
居住ニーズへ対応する住環境整備が進められています。
国土交通省
つまり住宅性能とデザインは、
本来、別々に考えるものではありません。
美しいこと。
暮らしやすいこと。
快適であること。
安心できること。
それらをひとつの環境として整えていく。
私は、それが設計の本質だと考えています。
家事動線を考えることも、暮らしを豊かにするデザイン
例えば毎朝、
寝室から洗面へ行き、
着替えて、
洗濯物を持って移動し、
キッチンで朝食を準備する。
夕方になれば、
買い物から帰り、
荷物を置き、
冷蔵庫へ食材を入れ、
料理をし、
洗濯物を片付ける。
一つひとつは小さな動作です。
でも、それを365日繰り返します。
収納が10cm違う。
扉の開く方向が違う。
コンセントの位置が違う。
キッチンとパントリーの関係が違う。
洗濯・干す・畳む・収納する場所のつながりが違う。
そんな小さな設計の違いと
雰囲気の連鎖が、
長い時間を通して暮らしの負担にも、
心地よさにもなります。
やまぐち建築設計室では、
デザインとは、見た目を美しくすることだけではない
と考えています。
毎日の小さなストレスを減らすことも
立派なデザインです。
家を建てている最中だけでなく、
10年後、20年後の状態も考えるということ。
家を新築するときには、
どうしても「今」が中心になります。
でも家は、その後何十年も使います。
子どもは成長します。
家族構成も変わります。
仕事の仕方も変わるかもしれません。
そして自分自身も年齢を重ねます。
国土交通省の高齢期の住まいに関するガイドラインでも、
温熱環境だけでなく、
主要動線、光、音、匂い、湿度、余剰空間の活用など、
暮らしを環境全体として考える
必要性が示されています。
国土交通省
ですから住宅設計では、
「今、欲しいもの」だけではなく、
「これから変わっていく暮らし」まで想像する。
これも重要だと考えています。
要望を全部叶えることが、設計者の仕事なのか?
私は、必ずしもそうではないと思っています。
要望を聞くことは大切です。
しかし、
要望をそのまま図面にすることと、
その人に合った家を設計することは、
少し違います。
例えば大きな収納が欲しいというご要望があっても、
生活を聞いていくと必要なのは収納量ではなく、
「物が自然に戻る動線」かもしれません。
大きな窓が欲しいという希望でも、
敷地を読むと外からの視線を
整理する方が重要かもしれません。
40帖のLDKを希望されても、
その理由を聞いていくと、
面積ではなく庭との一体感を求めていたことが
分かる場合もあります。
ですから、
要望の奥にある「なぜ」を考える。
そこに、建築家が介在する意味があると思っています。
迷う時間も、家づくりの大切な時間。
設計の途中で「やっぱり違うかもしれない」と思うことも出てくるかも知れません。
ご夫婦で意見が違うこともあります。
昨日まで良いと思っていたものに、
迷いが生まれることもあります。
でも私は、
それを急いで消す必要はないと思っています。
迷うということは、
自分たちにとって何が大切なのかを考えている途中
でもあるからです。
ですから打ち合わせは、
設計者が「正解」を教える時間ではありません。
一緒に答えを探す時間でもある。
私はそう考えています。
人生の先輩との会話から・・・・・。
「六波羅蜜」という言葉から改めて考えたこと。
仏教に「六波羅蜜」という考え方があります。
布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧。
その教えそのものを住宅設計へ持ち込むという意味ではありません。
けれど私は、その考え方を知る中で、
建築家としての仕事にも通じるものも感じています。
自分が持っている知識や経験を、人のために使う。
自分なりの仕事の基準を持つ。
相手の迷いや異なる考えを受け止める。
よりよい仕事ができるよう、学び続ける。
情報や流行だけに振り回されず、物事の成り立ちから考える。
そして、その人に本当に必要なものは何なのかを見極める。
住宅設計でも、
私はこの姿勢を大切にしたいと思っています。
高級な住宅という意味ではなくて「暮らしの質が高い住宅」を丁寧に。
高価な素材。
大きな吹き抜け。
天然石。
造作家具。
美しい照明。
中庭。
ビルトインガレージ。
それらには、それぞれ価値があります。
私自身、住まい手さんにとって
良い意味での価値となる素材や空間の美しさには強くこだわります。
でも、それだけで「上質な家」になるとは考えていません。
朝、カーテンを開けると庭に光が落ちている。
キッチンに立つと家族の気配が分かる。
一人になりたいときには静かな場所がある。
家族が集まりたいときには自然とLDKへ集まる。
物が無理なく片付く。
夏も冬も室内環境が整っている。
夜には照明を少し落とし、ゆっくり過ごせる。
休日になると、よい意味で「今日は家にいようかな」と思える。
私は、そういう日常の積み重ねにこそ、
住まいの本当の豊かさがあると考えています。
設計とは、人と環境の関係を整えること。
家を設計する。
でも、本当に設計しているものは何だろうかと、
改めて考えることもあります。
間取りだけではありません。
外観だけでもありません。
インテリアだけでもありません。
人と人。
人と光。
人と風。
人と庭。
人と物。
人と時間。
そして人と住まい。
それぞれの関係を丁寧に整えていく。
その結果として、暮らしの中に少し余白が生まれる。
その余白が、家族との会話だったり、
一人で過ごす静かな時間だったり、
庭を眺めながら飲む一杯の珈琲だったりする。
私は、そこまでを住宅設計として考えるべきだと思います。
家づくりを、家を建てることから始めない。
「何から始めればいいか分からない」
という方もいると思います。
土地から探した方がいいのか。
住宅会社へ行くべきなのか。
建築家へ相談するべきなのか。
平屋なのか、二階建てなのか。
和モダンなのか、ホテルライクなのか。
予算はいくら必要なのか。
最初から答えが決まっていなくても構いません。
むしろ最初に考えてほしいのは、
「どんな家を建てたいか」より「これから、どんなふうに暮らしたいか」。
家づくりの最中だけではなく、
完成した翌日。
5年後。
10年後。
そして年齢を重ねたとき。
その家で過ごす自分たちを少し想像してみる。
そこから家づくりを始めてもいいと思います。
やまぐち建築設計室では、
家をつくる前に、暮らしを考えることを大切にしています。
〇関連blog・コラム
家づくりは手段であるということ|暮らしを整える住宅設計の本質と建築家が提案する上質な住まいの考え方
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和モダンな家も。
ホテルライクな家も。
モダンな平屋も。
美しいことは大切です。
でもその美しさが、
毎日の使いやすさや、
光や風の心地よさ、
家族との距離、
質の良い時間、
そして住む人自身の価値観とつながったとき、
デザインは単なる「見た目」だけではなくなります。
暮らしを様々な意味で豊かにする力になる。
私は、そんな住宅設計を丁寧にご提案できればと考えています。
家を建てることを急ぐ前に、
これからの人生を、どんな場所で、どんな時間を過ごしながら暮らしたいのか。
そこから、一緒に考えてみませんか?
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まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただけます。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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