「玄関って、道路から見えない方がいいですよね?」
「玄関って、道路から見えない方がいいですよね?」
配置のお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
玄関を開けたときに、
道路から家の中が見えるのは嫌。
出入りしているところを、
通行人から見られるのも少し気になる。
宅配便の方が来たときにも、
室内まで見えてしまいそう。
「玄関は、道路から少し隠した方がいいですよね。」
そう考える方もいらっしゃいます。
そんなとき私は、
「そうですね。見えない位置にしましょう。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「道路から何が見えることが、一番気になりますか?」
と、お聞きしてみます。
玄関が道路から見える。
といっても、
気になることはいろいろあります。
扉を開けたときに、
家の中が見えること。
靴が並んでいるところを見られること。
家族が出入りしている姿。
子どもが帰ってきた様子。
玄関先で宅配便を受け取っているところ。
あるいは、
なんとなく外から見られている感じそのもの。
何が気になるのかによって、
考え方も少し変わってきます。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「玄関は道路から見えないところにしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「見えない方がいいと思われたのは、どうしてですか?」
とお聞きしました。
奥様が、
「扉を開けたときに、家の中まで見えそうなのが嫌なんです。」
と。
そこで、
もう少し具体的に考えてみました。
道路から玄関扉を見る。
扉を開ける。
その先に何が見えるのか。
もし玄関の正面にリビングがあれば、
確かに室内まで視線が届くかもしれません。
でも、
玄関の向きを少し変えたり、
壁を一枚挟んだり、
室内への入り方を少しずらしたりすれば、
玄関そのものは道路から見えていても、
家の奥までは見えにくくできます。
ご夫婦が避けたかったのは、
玄関が見えることではなく、
玄関から暮らしの中まで、視線が一直線に入ってくることだったんです。
一方で、
玄関を道路から完全に隠すことにも、
少し考えておきたいことがあります。
道路から玄関まで、
建物の脇を長く歩く。
奥まった場所へ入っていく。
それが、
落ち着くアプローチになることもあります。
でも、
夜になると少し暗く感じたり、
来客が玄関の場所を迷ったりすることもあります。
雨の日に、
駐車場から玄関まで長く歩くことになるかもしれません。
だから、
見えないことだけで決めるのではなく、
毎日そこを通る自分たちのことも考えてみます。
私は玄関を考えるとき、
外からの見え方だけではなく、
自分が家へ帰ってきたときに、どう感じるのか。
そこも大切にしています。
車を停める。
荷物を持って歩く。
玄関へ向かう。
屋根の下へ入る。
扉を開ける。
家の中へ入る。
毎日繰り返す、
ほんの短い時間です。
でも、
そこは外から家へ切り替わる場所でもあります。
例えば、
道路からは玄関の場所が分かる。
でも、
扉の正面は少し壁で守られている。
玄関へ向かう途中で、
庭の木が見える。
夜に帰ってくると、
玄関の明かりが迎えてくれる。
扉を開けると、
家の奥から家族の気配が少し伝わってくる。
そんな玄関もあります。
完全に隠すのでもなく、
すべてを道路へ向けて開くのでもない。
その間に、
いろいろなつくり方があります。
ですから、
「玄関って、道路から見えない方がいいですよね?」
と聞かれたとき、
私は、
「外から何を隠したくて、帰ってきたときには何を感じたいですか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
家の中は見られたくない。
でも、
玄関の場所は分かりやすくしたい。
道路からの視線は避けたい。
でも、
暗く奥まった玄関にはしたくない。
そんな希望が同時にあってもいいんです。
玄関は、
外から家を見るための場所であると同時に、
毎日、自分たちが家へ帰ってくる場所でもあります。
「見えない玄関」にすることより、「守られながら、帰ってきたくなる玄関」にすること。
私は、道路からどう見えるかだけではなく、駐車場から歩いて、扉を開けて、家の中へ入るまで。その短い時間を一緒にたどりながら、そのご家族に合った玄関を考えていけたらと思っています。