「寝室って、寝るだけならそんなに広くなくてもいいですよね?」
「寝室って、寝るだけならそんなに広くなくてもいいですよね?」
間取りのお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
寝室にいるのは、
ほとんど寝ている時間。
昼間はリビングで過ごすし、
仕事をするわけでもない。
それなら、
寝室を必要以上に広くするより、
リビングや収納に面積を使った方がいい。
そう考える方も多いと思います。
そんなとき私は、
「そうですね。寝室は小さくて大丈夫です。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「寝室に入ってから眠るまで、何をされていますか?」
と、お聞きしてみます。
「寝室は寝る場所」
確かにそうなのですが、
ベッドに入った瞬間に眠って、
目が覚めた瞬間に部屋を出る、
という方ばかりではありません。
ベッドに入って、
少しスマートフォンを見る。
本を読む。
夫婦で話をする。
翌日のことを考える。
朝になれば、
カーテンを開ける。
着替える。
少しベッドに座ったまま過ごす。
寝室には、
眠っている時間だけではなく、
眠る前と、目覚めた後の時間もあるんですよね。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「寝室は最低限でいいです。」
とおっしゃっていました。
ベッドが置けて、
周りを歩ければ十分。
その分、
リビングを広くしたいとのことでした。
そこで、
「夜、寝室へ行ってからは、すぐ寝ますか?」
とお聞きしてみました。
すると奥様が、
「私は少し本を読みます。」
と。
ご主人は、
「僕は先に寝ることが多いですね。」
さらにお話を伺うと、
奥様はご主人が寝たあと、
ベッドの横で三十分ほど本を読むことが多いそうでした。
そこで、
ベッドを置くだけではなく、
小さな照明を置ける場所や、
本を置く場所、
それぞれがベッドへ入りやすい動き方も考えてみました。
必要だったのは、
大きな寝室ではありません。
でも、
ただベッドが収まればいいわけでもありませんでした。
お二人にとっては、
一日を終えるための少しの時間が、心地よく過ごせること。
それも寝室に必要なことだったんです。
朝についても同じです。
夫婦が同じ時間に起きるご家庭もあれば、
一時間以上違うこともあります。
片方がまだ寝ている間に、
もう片方が着替える。
カーテンを開ける。
クローゼットを使う。
照明をつける。
寝室とクローゼットの関係によっては、
毎朝の過ごし方も変わります。
だから私は、
寝室を考えるとき、
夜だけではなく、
朝のこともお聞きします。
「どちらが先に起きますか?」
「起きたら、最初に何をしますか?」
そんな小さなことから、
必要な広さや配置が見えてくることがあります。
もちろん、
本当に寝るだけという方もいます。
寝室にはテレビもいらない。
本も読まない。
着替えも別の場所でする。
起きたらすぐにリビングへ行く。
そんな暮らしであれば、
寝室をコンパクトにして、
別の場所へ面積を使う方が、
そのご家族には合っているかもしれません。
大切なのは、
「寝室は何畳必要か」から考えるのではなく、
寝室で実際にどんな時間を過ごしているのか。
そこを見ることだと思います。
そして、
寝室の心地よさは、
広さだけで決まるものでもありません。
朝、どこから光が入るのか。
横になったとき、
窓から何が見えるのか。
廊下やリビングの音が、
どれくらい届くのか。
ベッドの周りに、
どれくらい余白があるのか。
天井の高さや、
照明の明るさも関係します。
広い寝室でも、
落ち着かないことがあります。
反対に、
それほど広くなくても、
包まれるように感じて、
よく眠れそうな場所もあります。
ですから、
「寝室って、寝るだけならそんなに広くなくてもいいですよね?」
と聞かれたとき、
私は、
「寝る前と、起きた後は、そこでどう過ごしていますか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
本を読むのか。
夫婦で少し話すのか。
着替えるのか。
朝の光を感じたいのか。
それとも、
本当に眠るためだけの場所でいいのか。
その答えによって、
必要な広さも変わってきます。
寝室は、
一日の中で長い時間を過ごす場所なのに、
そのほとんどは眠っています。
だからこそ、
畳数だけでは見えにくい場所なのかもしれません。
眠るための広さではなく、一日を終えて、また一日を始めるために必要な場所。
私は、「何畳あれば十分か」を決める前に、眠る少し前から朝に部屋を出るまでを一緒にたどりながら、そのご家族にちょうどいい寝室を考えていけたらと思っています。