「休日って、結局リビングで過ごすことが多いですよね。」
「休日って、結局リビングで過ごすことが多いですよね。」
間取りのお話をしていると、
こんな言葉を聞くことがあります。
だから、
リビングはできるだけ広くしたい。
家族みんなが集まれるようにしたい。
ソファも大きなものを置きたい。
休日のことを考えると、
やっぱりリビングが中心になる。
そう考えるのも自然だと思います。
そんなとき私は、
「そうですね。ではリビングを広くしましょう。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「この前のお休みは、家で何をされていましたか?」
と、お聞きしてみます。
「休日はリビングで過ごす」
と言っても、
家族全員がソファに座って、
同じことをしているとは限りません。
ご主人はテレビを見る。
奥様はダイニングで本を読む。
子どもは床で遊ぶ。
誰かはキッチンでコーヒーを淹れている。
途中で庭へ出る。
昼寝をする人もいる。
同じリビングの周りにいながら、
それぞれ違うことをしている。
実際の休日は、
そんな過ごし方だったりします。
以前、ご相談いただいたご家族も、
「休日はほとんどリビングにいるので、できるだけ広くしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「休日の朝から、少し思い出してみてもらえますか?」
とお聞きしました。
朝は、
家族でダイニングに座って、
少しゆっくり朝食を食べる。
そのあと、
ご主人はソファでテレビを見る。
奥様は、
ダイニングにノートパソコンを持ってくることが多い。
お子さんは、
リビングの床で遊んだあと、
庭へ出たり、
ダイニングで絵を描いたりする。
午後になると、
奥様は窓の近くで本を読みたい。
ご主人は、
そのままソファで昼寝をすることもあるそうです。
お話を聞いているうちに、
奥様が、
「リビングにいるというより、この辺りにみんないる感じですね。」
とおっしゃいました。
まさに、そこだったんです。
ご家族が欲しかったのは、
大きな一つのリビングというより、
同じ場所の近くで、それぞれ好きなことができることだったんですね。
そう考えると、
単純にリビングの面積を大きくするだけでは、
少し足りないことがあります。
例えば、
大きなソファが一つある。
そこが、
くつろぐための唯一の場所になっている。
家族全員が同じことをするときには、
それでもいいかもしれません。
でも、
一人はテレビを見たい。
一人は本を読みたい。
一人は床で遊びたい。
そんなときには、
広さよりも、
いくつか居場所がある方が過ごしやすいこともあります。
窓際に座れる場所がある。
ダイニングから庭が見える。
ソファとは少し離れたところに、
小さな椅子を置ける。
床に座れる余白がある。
それだけでも、
休日の過ごし方は変わってきます。
私は、
休日の間取りを考えるとき、
「何をする部屋か」より、
「誰が、どこで、何をしていそうか」
を考えることがあります。
午前十時。
家族はどこにいるだろう。
午後二時。
誰が何をしているだろう。
夕方になったら、
どこへ移動するだろう。
そんなふうに、
休日の時間を少しずつ追ってみます。
すると、
「広いリビングが欲しい」
という言葉の中に、
別の希望が見えてくることがあります。
例えば、
家族でずっと一緒にいたいわけではない。
でも、
完全に別々の部屋へ行くほどでもない。
自分のことをしながら、
家族の気配は感じていたい。
話したくなれば、
すぐ話せる。
一人でいたければ、
そのまま静かに過ごせる。
そんな距離が、
休日には心地いいご家族もいます。
一緒にいることと、同じことをすることは、少し違うんですよね。
もちろん、
家族みんなで映画を見ることが多いなら、
大きなソファを中心にしたリビングが合うかもしれません。
子どもと床で遊ぶ時間が長ければ、
家具を増やさず、
広い床を残した方がいいかもしれません。
庭で過ごすことが多いなら、
リビングそのものの広さより、
外へ出やすいことの方が大切かもしれません。
休日の過ごし方が違えば、
必要なリビングも変わります。
ですから、
「休日って、結局リビングで過ごすことが多いですよね。」
と聞いたとき、
私は、
「では、そのリビングで家族それぞれ何をしていますか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
テレビを見る。
本を読む。
昼寝をする。
絵を描く。
コーヒーを飲む。
庭へ出る。
何もしない。
それを一つずつ置いていくと、
必要なのは、
ただ大きなリビングではないかもしれません。
家族が同じ場所に集まるのではなく、それぞれが自分の居場所を選んだ結果、なんとなく近くにいる。
私は、リビングを何畳にするかを決める前に、ある休日の朝から夕方までを一緒にたどりながら、そのご家族が自然と居たくなる場所を考えていけたらと思っています。