「ソファって、やっぱり置いた方がいいですか?」
「ソファって、やっぱり置いた方がいいですか?」
リビングのお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
リビングといえば、
やっぱりソファがあるイメージ。
テレビの前にソファを置いて、
その前にローテーブル。
間取り図にも、
最初からソファが描かれていることが多いですよね。
でも、
「今の家でも、意外とソファに座っていないんです。」
という方もいます。
そんなとき私は、
「リビングならソファはあった方がいいですよ。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「家でくつろいでいるとき、普段どこにいますか?」
と、お聞きしてみます。
家でくつろぐ姿は、
人によってかなり違います。
ソファに深く座る人。
床に座る人。
ダイニングの椅子に、
ずっと座っている人。
ラグの上で横になる人。
窓際の椅子で本を読む人。
ソファがあっても、
いつの間にか背もたれにして、
床に座っている人もいます。
そう考えると、
「くつろぐ=ソファ」
とは限らないんですよね。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「リビングには、大きめのソファを置きたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「今のソファでは、よく何をされていますか?」
とお聞きしてみました。
すると、
少し間があって、
ご主人が、
「僕はほとんど床に座っていますね。」
と。
奥様も、
「私はダイニングにいることが多いかもしれません。」
とおっしゃいました。
今の家にも、
三人掛けのソファはありました。
でも実際には、
洗濯物を置いたり、
バッグを置いたり。
家族が座ることは、
思っていたほど多くなかったそうです。
そこで、
「新しい家では、どういうときにソファへ座りたいですか?」
とお聞きしてみました。
ご夫婦で考えていると、
出てきたのは、
「休日に二人で映画を見るとき」
でした。
毎日のくつろぎというより、
特定の時間に使いたい家具だったんです。
ソファが必要かどうかではなく、ソファで過ごしたい時間があるかどうか。
そう考えると、
少し見え方が変わってきました。
リビングを考えるとき、
家具から始めると、
過ごし方まで決まってしまうことがあります。
ここにテレビ。
その正面にソファ。
間にローテーブル。
すると、
人が座る向きも、
自然とテレビの方になります。
もちろん、
テレビや映画を見る時間が好きなら、
それが合っていると思います。
でも、
庭を眺めたい。
家族と話したい。
本を読みたい。
子どもと床で遊びたい。
それぞれが違うことをしながら、
同じ場所にいたい。
そんなご家族なら、
別のリビングのつくり方もあるかもしれません。
例えば、
大きなソファを一つ置く代わりに、
一人掛けの椅子をいくつか置く。
窓際に、
腰掛けられる場所をつくる。
床に座れる余白を広く残す。
ダイニングチェアを、
長く座っていられるものにする。
小さな椅子なら、
季節や気分によって、
向きを変えることもできます。
今日は庭を見る。
別の日は、
家族の方を向く。
家具が固定されすぎないことで、
暮らし方にも少し自由が生まれます。
もちろん、
ソファがとても大切なご家族もいます。
家族みんなで映画を見る。
子どもと並んで座る。
休日に昼寝をする。
仕事から帰ったら、
まずソファに座る。
そんな時間が好きなら、
ソファはその家の中心になるかもしれません。
その場合は、
「ソファを置ける場所」を考えるだけではなく、
そこから何が見えるのか。
光はどう入るのか。
家族との距離はどうなるのか。
そんなところまで考えてみたいと思います。
大切なのは、
リビングにはソファが必要、
という前提から始めないことです。
家づくりでは、
いつの間にか、
「普通はこうする」
というものが入ってくることがあります。
でも、
その普通が、
自分たちの暮らしに合っているとは限りません。
家具を置くために暮らしを決めるのではなく、暮らし方が見えてから家具を考える。
そんな順番でもいいのではないでしょうか。
ですから、
「ソファって、やっぱり置いた方がいいですか?」
と聞かれたとき、
私は、
「家にいるとき、どんな姿勢でいるのが一番楽ですか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
深く腰掛けたい。
横になりたい。
床に座りたい。
椅子に座って本を読みたい。
家族と並びたい。
それとも、
それぞれ好きな場所にいたい。
そこが分かってくると、
ソファが必要なのか、
どんなソファが合うのか、
あるいはソファ以外の方がいいのかも、
少しずつ見えてきます。
「リビングだからソファ」ではなく、「自分たちは、どうくつろぐのか」から考える。
私は、家具の定番に暮らしを合わせるのではなく、そのご家族が家で力を抜いている姿を思い浮かべながら、そこに本当に必要な家具を一緒に考えていけたらと思っています。