「ダイニングテーブルって、何人掛けくらいがいいですか?」
「ダイニングテーブルって、何人掛けくらいがいいですか?」
家具のお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
家族は四人だから、
四人掛けでいいのか。
友人や両親が来ることを考えると、
六人掛けくらいあった方がいいのか。
せっかく家を建てるなら、
少し大きめにしておいた方が安心なのか。
そんなとき私は、
「四人家族なら、このくらいですね。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「今のダイニングテーブルでは、食事以外に何をされていますか?」
と、お聞きしてみます。
ダイニングテーブルという名前なので、
食事をするための家具だと思いますよね。
もちろん、
それが一番大きな役割です。
でも実際の暮らしを見てみると、
食事以外にも、
いろいろなものが載っています。
子どもの宿題。
ノートパソコン。
新聞や本。
郵便物。
学校からもらってきたプリント。
少し畳みかけの洗濯物。
誰かがコーヒーを飲みながら、
スマートフォンを見ていることもあります。
ダイニングテーブルは、
意外といろいろな時間を受け止めているんですよね。
以前、ご相談いただいた四人家族にも、
「四人掛けで十分ですよね?」
と聞かれたことがありました。
そこで、
「今のテーブルでは、普段何をされていますか?」
とお聞きしました。
奥様は、
夕食の準備をしながら、
テーブルの端に買い物したものを置く。
お子さんは、
夕方になると宿題を広げる。
ご主人は、
休日にノートパソコンを持ってきて、
少し仕事をすることがある。
そして夕食の時間になると、
「片付けて」
という声がかかる。
そんな毎日でした。
そこで奥様が、
「そう考えると、四人で食べるだけのテーブルではないですね。」
とおっしゃいました。
ご家族に必要だったのは、
六人座れるテーブルというより、
四人が座っても、少し余白が残るテーブルだったんです。
反対のケースもあります。
「両親が来るかもしれないので、
六人掛けにしたいです。」
というご希望でした。
そこで、
「皆さんで食事をするのは、年にどれくらいありそうですか?」
とお聞きすると、
「お正月と、あと何回かくらいですね。」
と。
普段は、
ご夫婦二人。
それなら、
一年のほとんどを、
大きなテーブルと一緒に暮らすことになります。
大きなテーブルが好きなら、
もちろんそれでもいいと思います。
でも、
「来客があるかもしれないから」
だけで決めなくてもいいかもしれません。
必要なときだけ伸ばせるテーブルにする。
別の椅子を持ってくる。
ダイニング以外の場所も使う。
そんな方法もあります。
ダイニングテーブルの大きさは、
座る人数だけで決まるものではありません。
例えば、
向かい合って食事をするだけなら、
それほど大きくなくてもいい。
でも、
子どもが宿題をしている横で、
親が仕事をしたい。
料理をしながら、
テーブルも作業台のように使いたい。
休日には、
家族でボードゲームをしたい。
そんな暮らしなら、
少し違う大きさが必要になります。
つまり、
「何人座るか」と同じくらい、「そこで何が広がるか」も見ておきたい。
ということなんですよね。
そして、
テーブルだけ大きくすればいいわけでもありません。
椅子を引く。
人が後ろを通る。
キッチンから料理を運ぶ。
席を立って、
冷蔵庫へ向かう。
ダイニングの周りでは、
意外と人が動いています。
図面の上ではテーブルが置けても、
椅子を引いたら通れない。
誰かが座っていると、
キッチンへ行きにくい。
そんなこともあります。
だから私は、
テーブルの寸法だけではなく、
人が座った状態まで図面の中に置いてみることがあります。
ダイニングは、
家族が向かい合う場所でもあります。
リビングでは、
みんな同じ方向を向いてテレビを見ることがあります。
でもダイニングでは、
自然と顔が見える。
食事をしながら話す。
子どもが宿題をしている横で、
親がコーヒーを飲む。
何か特別なことをしなくても、
同じテーブルを囲んでいる。
そう考えると、
ダイニングテーブルは、
単なる食事用の家具より、
少し大きな役割を持っていることがあります。
ですから、
「ダイニングテーブルって、何人掛けくらいがいいですか?」
と聞かれたとき、
私は、
「そのテーブルの上では、食事以外に何が起きそうですか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
宿題をする。
仕事をする。
本を読む。
料理を置く。
家族で話す。
友人を招く。
何もしないで、
コーヒーだけ飲む。
そこが見えてくると、
「四人家族だから四人掛け」という決め方とは、
少し違う答えが出てくることがあります。
ダイニングテーブルの大きさは、家族の人数ではなく、そこで重なる時間から考えてみる。
私は、何人掛けにするかを先に決めるのではなく、そのテーブルを囲む一日の様子をお聞きしながら、そのご家族にちょうどいい大きさを一緒に考えていけたらと思っています。