「子どもが出ていったら、子ども部屋ってどうするんですか?」
「子どもが出ていったら、子ども部屋ってどうするんですか?」
子ども部屋のお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
今は必要だと思う。
でも、
子どもがその部屋を使うのは、
十年か十五年くらいかもしれない。
そのあと、
夫婦二人になったら、
使わない部屋が残ってしまう。
それなら、
最初から子ども部屋を小さくした方がいいのか。
別の使い方ができるようにしておいた方がいいのか。
そんなとき私は、
「将来は書斎や趣味室にできますよ。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「お子さんがその部屋を使うのは、どんな時期だと思いますか?」
と、お聞きしてみます。
子ども部屋というと、
一つの部屋がずっと、
「子ども部屋」であり続けるように感じます。
でも、
実際にはそうではありません。
小さいうちは、
ほとんど使わないかもしれない。
少し大きくなると、
おもちゃを置く。
小学生になれば、
自分のものが増える。
中学生、高校生になると、
一人で過ごす時間も増えていく。
そして、
いつか家を出るかもしれません。
同じ一部屋でも、
その役割は少しずつ変わっていきます。
以前、ご相談いただいたご家族も、
二人のお子さんのために、
二つの個室を考えていました。
ご主人が図面を見ながら、
「でも、二人とも出ていったら、この二部屋は余りますよね。」
とおっしゃいました。
そこで、
「お子さんたちは、今おいくつですか?」
とお聞きしました。
まだ小学生でした。
これから、
自分のものが増える。
友達を呼ぶこともあるかもしれない。
勉強する。
一人になりたい日もある。
家族と少し距離を取りたい時期も来るかもしれない。
そう考えていくと、
子どもが家を出たあとの時間だけでなく、
これから十年以上続くかもしれない時間も見えてきました。
奥様が、
「出ていったあとのことばかり考えていましたけど、その前にも結構長い時間がありますね。」
とおっしゃいました。
そうなんですよね。
将来使わなくなるかもしれないことと、今から必要になる時間が短いことは、同じではありません。
家づくりでは、
長く使えることを考えるのは大切です。
でも、
三十年後のために、
今の十年を小さくしてしまうこともあります。
将来余るから、
子ども部屋はできるだけ小さくする。
将来使わないから、
今も必要最低限にする。
それが、
そのご家族に合っているならいいと思います。
ただ、
「いつか使わなくなるから」
だけで決める前に、
その部屋が必要になる時間についても、
考えてみたいと思います。
そして、
子どもが家を出たあとも、
必ずしもその部屋が、
「使われなくなった子ども部屋」のままとは限りません。
本を置く。
趣味を楽しむ。
家で仕事をする。
帰省した子どもが泊まる。
友人や家族が泊まる。
何も決めずに、
しばらく空いたままにしておく。
そんな使い方もあります。
子ども部屋だった場所が、
その後の暮らしの中で、
別の役割を見つけることもあります。
だから、
今の段階で、
「将来は必ず書斎にする」
と決めておかなくてもいいのかもしれません。
むしろ私は、
「あとから違う使い方ができそうか」
というところを考えることがあります。
家具を変えられる。
収納の使い方を変えられる。
二つの空間を、
将来違う形で使える。
子どもが使わなくなったときに、
そのときの夫婦が、
改めて使い方を考えられる。
将来の用途を決めるのではなく、将来の自分たちに決めてもらえる余地を残しておく。
そんな考え方もあります。
そして、
もう一つ考えておきたいのは、
子どもが家を出る時期そのものも、
分からないということです。
進学で早く家を離れるかもしれない。
社会人になっても、
しばらく一緒に暮らすかもしれない。
一度出て、
また戻ってくることだってあります。
未来の家族の形は、
今の段階では分かりません。
それなら、
まだ起きていない未来を細かく決めるより、
今の家族に必要なことと、
あとから変えられることを分けて考える方が、
自然なのかもしれません。
もちろん、
将来のことを考えなくていいわけではありません。
子どもが独立したあと、
夫婦二人で大きな家をどう使うのか。
掃除や管理は負担にならないか。
一階だけでも暮らせるのか。
そういう視点は、
家全体を考えるうえで大切です。
ただ、
子どもが出ていったあとのことだけを基準に、
今の子どもとの暮らしを決めなくてもいい。
未来のために備えることと、未来のために今を我慢することは、少し違うように思います。
ですから、
「子どもが出ていったら、子ども部屋ってどうするんですか?」
と聞かれたとき、
私は、
「そのときのご夫婦は、どんな暮らしをしていると思いますか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
今はまだ、
分からないかもしれません。
新しい趣味ができているかもしれない。
家で仕事をしているかもしれない。
子どもや孫が、
時々泊まりに来るかもしれない。
今とは違う時間を、
大切にしているかもしれません。
だから、
その部屋の三十年後の使い方を、
今決め切る必要はないのだと思います。
子ども部屋を「いつか余る部屋」と考えるのではなく、家族の変化に合わせて役割を変えていく場所として考えてみる。
私は、子どもが出ていったあとのためだけに今を決めるのではなく、子どもと暮らしている今の時間も大切にしながら、その先の家族が自分たちで使い方を選び直せる。そんな余地を残した家を、一緒に考えていけたらと思っています。