「ここまで決めたんですけど、やっぱり変えてもいいですか?」

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「ここまで決めたんですけど、やっぱり変えてもいいですか?」

打ち合わせが進んでくると、

こんなふうに言われることがあります。

 

間取りもかなり決まった。

 

設備も選んだ。

 

一度は、

「これでいきましょう」

と話した。

 

でも、

家に帰ってから考えていると、

少し気になる。

 

今さら言ったら、

また打ち合わせを戻してしまうかもしれない。

 

そんな申し訳なさもあって、

なかなか言い出せなかったそうです。

 

そんなとき私は、

「もう決めたことなので、このまま進めましょう。」

とは、すぐには言いません。

 

まず、

「何が気になり始めましたか?」

と、お聞きします。

 

決めたあとだから、見えてくることもある
家づくりでは、

一つずつ決めながら進んでいきます。

 

間取りを決める。

 

窓を決める。

 

設備を決める。

 

素材を決める。

 

だから、

一度決めたことを変えると、

前に戻っているように感じるかもしれません。

 

でも、

決めたからこそ、

初めて具体的に想像できることもあります。

 

「このキッチンに立ったら、向こうが見えるんだ。」

 

「ここを通って、洗濯物を持っていくんだ。」

 

「この場所で、毎朝ごはんを食べるんだ。」

 

図面だったものが、

少しずつ自分たちの暮らしとして見えてくる。

 

すると、

最初には気づかなかったことが、

気になり始めることがあります。

 

「変えたい」の理由を聞いてみる
以前、

かなり間取りが固まってから、

「ダイニングの位置を変えたいかもしれません。」

とおっしゃった方がいました。

 

最初は、

キッチンのすぐ横にダイニングがある方が便利だと考えていました。

 

ところが、

打ち合わせが進んで庭の計画まで見えてくると、

少し気持ちが変わってきたそうです。

 

「朝ごはんを食べるとき、庭が見えた方がいい気がしてきて。」

 

そこで、

「どうしてそう思うようになったんでしょう?」

とお聞きしました。

 

話していくと、

その方が大切にしたかったのは、

キッチンから数歩で料理を運べることだけではありませんでした。

 

朝、

家族で座ったときに、

外の光や庭を感じられること。

 

それが、

思っていた以上に大切だったんです。

 

変えたくなったことより、なぜ変えたくなったのか。

そこに、

そのご家族が本当に大切にしたいことが見えてくる場合があります。

 

変えない方がいいこともある
もちろん、

「変えたい」と言われたら、

何でも変えればいいわけではありません。

 

工事が進んでいれば、

変更が難しいこともあります。

 

費用が増えることもあります。

 

一つを変えることで、

別の部分に影響が出ることもあります。

 

だから、

変更できるかどうかは、

その時点で確認する必要があります。

 

ただ、

「もう決めたから」

という理由だけで、

気になっていることを飲み込んでしまうのは、

少し違うように思います。

 

まずは、

何が引っかかっているのかを聞いてみる。

 

そのうえで、

変えるのか。

 

変えないのか。

 

別の方法を考えるのか。

 

一緒に判断すればいいと思っています。

 

迷いが増えたとは限らない
家づくりが進むほど、

暮らしの想像は具体的になります。

 

最初は、

「広いリビングが欲しい」

だったものが、

「夕方、この椅子に座ったときに庭が見えてほしい」

へ変わっていく。

 

これは、

希望がぶれているというより、

自分たちが欲しい暮らしが、具体的になってきた

とも考えられます。

 

だから私は、

一度決めたことを変えたいと言われたとき、

その変更だけを見るのではなく、

その前後で何が見えるようになったのかを聞いてみたいと思っています。

 

「ここまで決めたんですけど、やっぱり変えてもいいですか?」

 

そう聞かれたら、

私はまず、

「もちろん、まず聞かせてください。何が気になりましたか?」

とお答えすると思います。

 

一度決めたことを守ることより、

その家でこれから長く暮らす人が、

なぜ引っかかっているのかを知ること。

 

変更するかどうかを決めるのは、そのあとでも遅くありません。

家づくりは、迷わず一直線に決めていくことが目的ではありません。

私は、途中で生まれた小さな違和感も含めてお話を伺いながら、そのご家族が最後に「これでいこう」と納得できるところまで、一緒に考えていけたらと思っています。