検討中の京町家保存

ユーザー 原田正史建築設計事務所 原田正史 の写真

京都市の新たな条例:「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」

毎年多くの貴重な伝統的な京町家が失われていきます。

その理由としては、現在の法律・条例などによる規制が考えられます。
町家や古い民家などを改修増築する場合には、耐震性や防火性など、現在の建築基準法が適用されます。
その場合、景観や風情を維持しながら改修しようとすると、かなりコストがかかるのが通常なのです。

そのことにより、持ち主にとってはかなりの負担になり、且つ改修しないと使い続けられないので、しかたなく解体され、現代の現行法規に見合ったどこにでもある建物が新築されてきているのです。
 
京都市の伝統的な建築の文化が、急速に失われていくことに対して、やるせない気持ちでしたが、この建築基準法の適用除外規定を活用した全国初の条例である:「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」ができたことにより、まずは第一歩と安心しました。
 
その内容は、簡単に言いますと、扉や窓などの本来防火上必要なところでも、京町家ならではの格子を残し、防火設備戸に必ずしも変えなくても良いという緩和の条例なのです。

しかし、他の部分で火災報知機をつけたり、消火器を置いたり、また火を使わない設備に切り替えるなどは必要です。それでも京都の風情が守られるので非常にいいと思っています。
 
講じる対策例として、下記が掲げられています。
・ 火気使用部分 の限定
・ 火災報知器 や消の設置
・ 2方向避難経路の確保
・ 階段の緩勾配化
・ 施設の管理マニュアルを備えるなど,出火防ぐ運営体制の整備

市長の許可・完了検査が必要です。
  
 
1年間で、約300軒の割合で町家が取り壊されています。
そこで京都の町家、風情を守るために出来たこの条例。この条例を活用し、保存される京町家が増えることを望みます。
私も今進めている東山区の京町家リフォーム、検討しなければ!

この例は、特定の地域に限って、規制の緩和を進める国家戦略特区のひとつ。
このほか、横浜市や鎌倉市、そして神戸市も、古民家特区などを創設しようと検討をすすめております。

皆さんもこの規制緩和、ぜひ活用して良い設計をしましょう!!!
 
 
参考:京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000150629.html