《住宅をつくる時に重要な2つの契約》その2

ユーザー 匿名ユーザー の写真
投稿者: 
匿名ユーザー (未認証ユーザー)

●重要な2つの建築関連契約「設計・監理業務委託契約」と「工事請負契約」について

2)施工者(工務店やハウスメーカー)と結ぶ「工事請負契約」とは

前稿の、「設計・監理業務委託契約」を建築家(設計事務所)を締結している場合は、その建築家がリードしてくれるはず
ですが、そうでない場合には、下記をお読み下さい。

◎【民間(旧四会)連合協定 工事請負契約書】
当事者の一方(施工者側)に都合のいい契約書でなく、この書式を使うのが安全です。
前稿に書いた「四会」で入手できます。

前もって下書きの案の提出を求め、検討し疑問を解消してから契約に臨んでください。
契約当日にいきなり契約書を出されてその場で署名捺印するのは、大変に無謀なことですが、
建築家が関与しない場合のトラブルではよくあることです。

繰り返しますが建築家と設計・監理契約を済ませ、完成した設計図書を提示して1社又は複数の施工者に見積り依頼、
建築家よる内容チェックを済ませた上で、工事請負契約を行うという正当な手続きをふむ場合は別です。

この契約書に記載される内容は:
発注者(建築主)、請負者(施工者)の氏名、工事名(○○邸新築工事等)、および
「つぎの条項と添付の工事請負契約約款、設計図(○○)枚、仕様書(○○)冊とにもとづいて、
工事請負契約を結ぶ」となっています。
1.工事場所:
2.工期:着手日〜完成日 着手の日から(○)日以内
3.引渡の時期:完成の日から(○)日以内
4.請負代金額:
5. 請負代金の支払:前払 契約成立の時に・・・部分払い・・・(略)
6.7. (略)
契約年月日
発注者、同保証人、請負者、同保証人
監理者、監理者として責任を負うためここに記名押印する。
*住宅の場合、仕様書は別冊でなく設計図の1部になっていることもあります。

「約款」の内容は:条文は省略
1条)総則、2条)工事用地など、3条)関連工事の調整、4条)請負代金内訳書・工程表、
5条)一括下請負・一括委任の禁止、6条)権利・義務の譲渡などの禁止、7条)特許権などの使用、
8条)保証人(保証人を立てる場合)、9条)監理者、10条)現場代理人・監理技術者など、11条)履行報告、
12条)工事関係者についての異議、13条)工事材料・建築設備の機器・施工用機器、
14条)支給材料・貸与品、15条)丙の立会、工事記録の整備、16条)設計・施工条件の疑義・相違など、
17条)図面・仕様書に適合しない施工、18条)損害の防止、19条)第三者損害、20条)施工一般の損害、
21条)不可抗力による損害、22条)損害保険、23条)完成・検査、23条の2)法定検査、
23条の3)その他の検査、24条)部分使用、25条)部分引渡し、26条)請求・支払・引渡、27条)瑕疵の担保、
28条)工事の変更、工期の変更、29条)請負代金額の変更、30条)履行遅滞・違約金、
31条)甲の中止権・解除権、32条)乙の中止権・解除権、33条)解除に伴う措置、34条)紛争の解決、
35条)補則

◎【住宅リフォーム工事 標準契約書式】
リフォーム詐欺、あるいは詐欺同然の場合、図面も略図程度、見積書も明細がなく「一式○○円」という
いいかげんなものが多いので注意が必要です。

これは、(一社)住宅リフォーム推進協議会が、小規模リフォーム工事用につくったものです。

1−1)設計監理を設計事務所に頼むのなら JIA版「建築設計・監理業務委託契約書」を使えばいいのですが、
施工会社にすべてを頼むのなら、せめてこの書式を使うようにしてください。

この書式に含まれるものは、
「請負契約書」、「請負契約約款」、「打合せシート」、「見積書」、「仕上表」、「工事内容変更合意書」、
「工事完了・同確認書」など工事中に使うものも含まれているので、これに沿って進めていけばトラブル
は起きにくいと思います。

◎飛び込みリフォーム営業にご注意!
「屋根(など)を無料で検査します」は悪徳業者の常套手段です。
慈善事業ではないのですから最後まで無料なはずはありません。決して乗ってはいけません!

新築の時は折角良い工務店に頼んだのに、リフォーム工事だからと“わざわざ”「リフォーム専門会社」に頼んで
失敗するというおかしなこともあります。
“リフォーム専門”は「隙間」で利益を得ようという、会社側の都合です。
工事の内容は新築もリフォームも変わりません。全てをわかっているのは優良な工務店やゼネコンです。

もともと建築工事の一部門(塗装工事など)をしていた会社が始めたリフォーム会社も多く、建築技術全般を知った
技術者がいないようなところもあります。
逃げも隠れもしない、地元で永く営業している工務店に頼めばいいのです。

デザインの良いリフォームをお望みなら、デザインの得意な建築家を探して頼みたいところです。
ただ、金額の少ないリフォーム工事の見積りを複数の会社からとるのは困難なので、工事は1社特命で頼むという
前提で、建築家に頼むのもよい方法だと思います。

【まとめ】
以上、「設計・監理業務委託契約」と「工事請負契約」について書きましたが、どうしても別の契約書を使わざる
をえないのなら、建築トラブルに詳しい弁護士のチェックを受けるか、先にご案内した契約書を入手、比較して、
違いを認識しておくべきでしょう。
交渉すれば、特記事項に付け加えてくれるかもしれません。(江口 征男)

次は、《契約する前に調べていただきたいこと》
建設業法や建築士法に関する登録を調べる方法です。
ニセ一級建築士もいますし、建設業登録を受けずに工事を請け負う大胆な輩もいます。