《「建築設計・監理業務委託契約」や「工事請負契約」をする前に調べていただきたいこと》

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匿名ユーザー (未認証ユーザー)

●建築士資格の詐称

耐震偽装事件を契機に国交省が調べたところ、資格詐称など“ニセ一級建築士”の横行が
明るみに出ています。

大手ハウスメーカーに、ニセ建築士が勤務していたことも報道されました。
入社時に確認しなかったか、改ざんした免許証にだまされたのでしょう。
大企業だからといって安心は禁物です。

耐震偽装事件後の法改正で、「建築設計・監理業務委託契約」を締結する際には、責任者(管理建築士)
が建築士免許証を提示して重要事項説明書などを使って契約内容を説明することになっています。

●建設業登録をせずに工事を請負う“モグリ”建設業者

【建設業法第3条、同施行令第1条の2】
 工事1件の請負代金の額が建築一式工事にあっては1千5百万円に満たない工事又は延べ面積が
150㎡に満たない木造住宅工事、建築一式工事以外の建設工事にあたっては5百万円に満たない工事を
除き「建設業の許可」を受けなければならない。(正確には条文をお読み下さい。)

 よみかえると、延べ面積が150㎡(約45坪)を超える木造住宅工事で請負代金5百万円を超える場合、
非登録業者は工事を請負うことができません。
登録していなければ、建築士や建築施工管理技士もおそらくいないでしょう。
つまり、日曜大工程度の工事以外は、登録業者に頼むべきでしょう。

*無登録の悪質リフォーム業者が高齢の女性を騙して、5百万円未満の契約を数ヶ月ごとに
複数回繰り返していた事件もありました。

●契約する前に確認しておきたいこと

◎建築士事務所(一級・二級・木造建築士事務所)登録
 閲覧場所:(一社)日本建築士事務所協会連合会 http://www.njr.or.jp/
      及び都道府県の建築士事務所協会(上記でわかります)
 閲覧項目:建築士事務所の名称、所在地、一級、二級、木造の別、開設者、管理建築士

【建築士法第23条】
 他人の求めに応じ報酬を得て、設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、
建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続き
の代理を業として行おうとするときは、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所
を定めて、その建築士事務所について、都道府県知事の登録を受けなければならない(一部略)。

 建設会社(ゼネコン、ハウスメーカー)も設計を外注する場合を除き、社内建築士事務所を登録して
います(例:A建設一級建築士事務所、Bハウス一級建築士事務所)。

 なお、管理建築士は、建築士事務所の建築関係法令に責任を持つ立場ですから、登録された事業所に
専任(常駐)することが求められています。ところがいない可能性(名義借り)もあります。
耐震偽装事件で発覚した名義貸し(借り)を期に「日経アーキテクチュア」誌などのWEBサイト
Kenplatzが読者(多くが建築・土木技術者)アンケートを行った結果、多くの名義貸し(借り)の実態が
明らかになっています。

【建築士法第24条3項】
 管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括し、その者と建築士事務所の開設者
が異なる場合においては、建築士事務所の開設者に対し、技術的観点からその業務が円滑かつ適正に
行われるよう必要な意見を述べるものとする。
(筆者注:「開設者」とは経営者のことで、中小規模の建築士事務所の多くは、管理建築士と同じ者が
兼任しています。社長が資格を持っていない場合は、分担することになります。)

*ご参考 耐震偽装事件の深層( http://archi-journal.com/ )  第一章
 1−05.「国交省 出し渋った21件のリスト公表」
     【コラム/「名義貸し実態調査」のあきれた内容】

◎建築士(一級・二級・木造建築士)登録(個人)
 閲覧場所:(公社)日本建築士会連合会 http://www.kenchikushikai.or.jp
      及び都道府県の建築士会(上記でわかります)
 閲覧項目:登録番号、登録年月日、氏名、生年月日、性別、建築士試験合格年月、合格証番号、
      処分履歴、法定講習履歴(以下略) (住所や連絡先がわかるものではありません)

【建築士法第3条、第3条の2、第3条の3】には
 一級(二級、木造)建築士でなければできない設計又は工事監理について規定されています。
用途や規模ごとに定められています。法律上一級建築士は、全て設計してもよいことになっています。

◎建設業者登録
 国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム
 http://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/kensetuInit.do

*註:
 登録名簿に載っていることと、閲覧団体の会員であることとは無関係です。
 実は団体に加入していない建築士の方が多いのです。
 弁護士は各地の弁護士会に所属せずに業務は行えないことになっているのですが、
 建築士が建築士会に入会することは義務付けられてはいません。(江口 征男)

 次回は、《建築士、建築家、設計者 どう違うのか》を書く予定です。