施工不良と監理体制

ユーザー 中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾 の写真

数週間ほど前、韓国の新築マンションが大きく傾き取り壊しを行うといったニュースや、北朝鮮でのマンション倒壊といったニュースがありました。
隣国の事と思っていたら、今度は横浜のマンションで不同沈下により傾いたマンションのニュース。

これは2003年に分譲されたもののようですが、大手のディベロッバーが販売、大手ゼネコンによる設計・施工物件との事。
原因は調査中のようですが、基本的には施工した杭に支持層まで届いていなかった部分があった為のようです。

この2月には南青山の高級マンションにおいて構造上の欠陥が見つかり、取り壊しを行うというニュースがありました。
これも業界最大手といって良い不動産会社とゼネコンによるもの。

前者は社会問題になった姉歯事件よりも前の物件で、後者は最近のものという時期の違いはありますが、いずれも施工上のミスである面では共通するものです。
姉歯事件のように安く造ることで利益を上げるという悪意のあるものではありませんが、
結果としてユーザーに損害を与えるという面では同じ事です。

あくまで推察ではありますが、前者は専門工事ということもあり、ゼネコンが杭業者に管理を含めてほとんどおまかせで杭の施工を行ったもの、後者は設備工事を含めた総合的な監理が行われていなかったか機能をしていなかった為のものと思われるものです。

人員や人材不足に起因するものでもあるかと思いますが、現場の技量の低下、監理体制の不整備が招いたミスと考えられるものです。

また、大手だから安心ということは昨今では通用しないものになってきたようにも思います。

大量生産・大量消費という時代から、より高いクオリティが求められる時代に以降しつつある今日であれば尚更のこと、このようなミスを防ぐことは当然の事。

その為には施工会社の工事管理者の人材・人員確保は当然ですが、第3者的視点による監理が行われるような「しっかりとした監理体制の必要性」をあらためて感じさせるものです。