土地探し

ユーザー アーキ・ラボ 一級建築士事務所 近江 彰 の写真

まず家が欲しい、と思いつきます。理由はいろいろあるでしょうがが
建売住宅とマンションは例外。
プロヴァンス風がいい、いえいえモダンがいい。

なんでもいいですが、やはり土地から探して自分達らしい家を建てたい。
さて、ここから悪魔の囁きが始まります。男なら恵比寿様とみまごう、
にこやかで誠実そのものの不動産屋さんが、てぐすねひいて待っています。

誰でも安くていい土地が欲しい。たとえば東京なら広尾、青山、麻布に家が欲しい。
ジョークの域を超えています。そんなお金はありません。じゃあ横浜、浦和、船橋は?まだまだ無理。
妥協に妥協を重ねやっと手に入りそうな土地が見つかります。でも家を建てる予算は大丈夫かしら。

ふと貴方は悩みます。土地は我慢できる程度だし、家も少しは我慢しようかしら。
(30年は住み続けるのですよ)
そこで善意の不動産屋さんが、満面の笑みを浮かべて一言。

「じつは、最近出たばかりの土地で、まだ出回っていないとっておきの土地があります。」
といわれたら、貴方はどうしますか。百戦錬磨の不動産屋さんは、駆け引きのプロです。
素人の貴方はかないっこありません。

実際には怪しいと思っても、もし本当にとっておきの物件だったらどうしよう。

「とりあえず、見ておこうかな。」

「誰でもご案内するわけではありませんよ。貴方だけですよ。
でも明日にはちがう方を案内するかも知れませんよ。」
「見るだけでもどうですか。いつでも断れますよ。」

「では、見るだけでも。」「話だけでも。」もう相手の術策にはまっています。

「よほどのことがない限り、判子は押さないぞ。」貴方の指はもう判子にかかっています。
とっておきの土地はありません。

とっておきは貴方にとってではなく、不動産屋さんにとってなのです。