トイレの話

ユーザー アーキ・ラボ 一級建築士事務所 近江 彰 の写真

 建て主と打ち合わせていると、建て主の年齢、所得、育ってきた環境など非常に様々ですが、
意外に共通しているのが、トイレに関する奥様の嘆き。
「うちの主人、トイレに入るとなかなか出てこないんですよ。信じられます。」
「信じられます、信じられます。」実は私もそうなんです。
 奥様やお子様にとって、トイレは単純に用をたす場。でも、ご主人にとっては憩いの場なんですね。
新聞を読んだり、ヒゲを剃ったり、読書をしたり、煙草をすったり、いやあ実に寛げる場所なんですね。
 だって、男には居場所がないんですよ。ご主人の本音は書斎が欲しい。
 なに本なんか読みはしません。ただ単に一人で寛ぎたいだけなんですよ。
「私がいるのに何でトイレにこもるのよ。私の話を聞きなさいよ。」先に謝っておきます。
ゴメンナサイネ。貴方がいるから、こもりたくなるんですよ。一日のうちでほんの少しだけ。
 それも許せない?
 でも、よく考えてください。
仕事から帰ってき、お酒を飲んで、TVの前にトドのように横になっているだけ。
「結婚直後のあの凛々しい姿は一体何処へ消えたの?」
「え?うちのは結婚直後からだ。それは失礼しました。」
「一層のこと、トイレにでも閉じこもっていてくれたほうがいいかしら。」と思いませんか。
そこで提案。トイレでは迷惑するので、畳1帖か2帖程度の小さい書斎をつくってみたら
どうでしょうか。
 ご主人は大満足。奥様もトイレを邪魔されず、見苦しいご主人の姿を見ずにすむ。
用があれば声をかければすむわけですから、一挙両得。「でも、狭くて可哀想。」
いえいえご主人は慣れています。仕事の合間のインターネットカフェでね。