売電収入をあてにして住宅ローンを組んではいけない

ユーザー 建築家紹介センター 仲里 実 の写真

 

売電収入をあてにして住宅ローンを組んではいけない

 
 
先日、下記のようなニュースがありました。 
「九州電力は21日、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力の買い取りの中断について、出力が低い電力は条件付きで買い取りを再開すると発表した。」 
 

再生可能エネルギーとは?

 
 
太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などのエネルギーは、一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり、資源が枯渇しないエネルギーの事を再生可能エネルギーと言います。 
一般の方に関係あるのは、住宅の屋根に載せる太陽光発電です。 
 

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」とは

 
 
再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で電力会社が買い取ってくれる制度のことです。 
価格が高めに設定されたこともあり、長期間、固定価格で買い取ってもらえるので、ビジネスチャンスとして太陽光ビジネスに参入する事業者が増えました。 
事業者の太陽光発電については当サイトでは関係ないので省略します。 
また新築の際に住宅の屋根に太陽光発電パネルを載せる建築主も増えました。 
 

余剰買い取り制度

 
 
自家消費分を除いた余剰分の電力が買い取り対象とする制度。買取り期間は10年。太陽光発電設備が10kW未満の場合は余剰買い取り制度しか利用することができません。 
一般的に個人が屋根などに設置する場合は10kW未満がほとんどらしいです。 
 

全量買取り制度

 
 
発電した全ての電気を電力会社に売電することができる制度。買い取り期間は20年。価格も余剰買い取り制度より高くなります。 
10kW以上の太陽光発電設備を設置した場合は、余剰買い取り制度・全量買取り制度のどちらでも利用できるそうです。 
この制度を利用して効率のいいソーラーパネルを出来るだけ載せて、売電収入を増やし、住宅ローン0円で家をたてることができる・・・と宣伝しているハウスメーカーや工務店もあります。
 
 
 

再生可能エネルギー発電設備の接続申し込みへの回答保留

 
 
2014年9月24日に九州電力が 
「9月25日からしばらくの間、10kW以上の再生可能エネルギー発電設備の接続申し込みへの回答を保留する」と発表しました。 
その後、他の電力会社にも同じような動きがありました。 
10月21日に改めて発表があり、50kW未満の再生可能エネルギー発電設備については回答保留を解除する事になりました。 
住宅の太陽光発電についてはほとんどが50kW未満と思いますので、今のところ、影響はないと言っていいと思います。 
 

電力会社が再生可能エネルギー発電設備の接続申し込みへの回答保留する理由

 
 
九州電力のHPを読んでみると、あまりにも太陽光発電の接続申し込みが多すぎたことが原因のようです。 
2014年7月末までの申し込みがあった太陽光発電設備がすべて接続されると、春・秋の晴天時には需要を上回るくらいの発電力になるそうです。 
素人にはいいことみたいな気がしますが、電力の需要と供給のバランスが崩れると、電力を安定して供給することが困難になるそうです。 
 

太陽光発電の今後

 
 
政府もこれから対策を検討するようです。 
すでに春・秋の晴天時には需要を上回るくらいの発電力に達しているのであれば、今後は買取価格は安くなっていくし買い取り期間も短くなっていくと思われます。 
 
住宅の場合、契約してから工事が完了するまでにはかなりの期間がかかります。 
その間に制度が変わってしまう可能性もあります。 
 
ハウスメーカーや工務店の中には「売電収入で住宅ローンが0円になります」みたいな宣伝をしているところもありますが、今後はそういうことは不可能になると思います。 
これから新築の計画をする方は、太陽光発電による売電収入をあてにした資金計画をしないことをオススメします。