窓は多ければいいというものではありません

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

住宅の設計をしていて毎回悩み、時間をかけるのが窓(開口部)の位置と大きさです。

外部からどう見られるか?

内部からどう見えるか?

光はどのように差し込んでくるのか?

風の通り道はどうするか?

図面、模型、CGで検討を重ねて決定していきますが、よく建築主さまからは、

「窓は多く、特に南面の窓は大きくしてほしい」

という要望をされます。

しかし、窓は多ければ良いというものではなく、また大きければ良いというものでもありません。

よく住宅街を歩いていて見かけるのが、南側に大きな窓があるのに道路から丸見えになるせいか、カーテンを締め切っている家や、西日が当たるところに大きな窓がある家、隣家が接近している面に沢山の窓がある家などです。

大きな窓があれば、そこから太陽の光が入って明るいですし、外の景色や空が見えていいかも知れませんが、裏を返せば直射日光が強烈に入ったり、外部から中を見られるということにもなります。

窓があちらこちらにあると落ち着かないですし、空間に明暗がなくメリハリのない住まいになってしまいます。

深い庇や目隠しルーバー(格子)を付けたり、開口部を極力絞って横長や縦長のスリット状の窓を天井や壁の際にもってくるだけで全然違ってきます。

絞られたスリット状の窓から入った光が壁や天井を当てて、その光がまわって空間全体を柔らかく包み込みます。

だから決して「窓が多い家=明るくて住みやすい家」ではないのです。