建築に色を使う

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

建築に限定的ではありますが、色を使うことをよく考えます。色が人に与える精神的な効果や効能にはあまり詳しくありませんが、空間に与える劇的な効果についてはだいぶ理解してきました。また、L・バラガンへの憧憬でもあります。
ただし、色は難しい。現地の目立たないところに塗って、天気の具合を見て何度も確認して決められれば良いのですが、小さな見本や既成品で事務所で判断する場合もあり、赤が実は茶色だったり、同じ色でも壁と影になる天井で明度を変える場合の程度など培った自信はありますが、それでも最終的な完成までドキドキを強いられる事になります。規模にもよりますが、今の時代昔の建築家のように自分で決めておいて完成後に「気に入らん。塗り替えろ!」などと言う美談?(武勇伝?)は通用しないのです。幸い塗り替えはこれまでありません。皆さん喜んでいただいていますが、やはり経験が必要です。

小学校 アルコーブの色 低学年教室

低学年教室に付属するアルコーブの色

中庭 色を使う 歌舞伎緞帳の伝統色

歌舞伎緞帳色に彩色した中庭壁面

中庭 色 レンガ色

高齢者施設の中庭と共用部(リビング)を囲う赤い壁(レンガ色)です。ここに家具が置かれ、利用者の食事の場所になっています。赤い色の使用は大変勇気がいりますが、赤レンガのレストランは非常に落ち着いた場所であるように、1日で様々な表情に変わり、思いもかけない空間となります。決定に際して現地で大きな面にサンプルを何回も塗って、何度も現地で確認して決める必要があります。曇り空ではどうかな?晴れていると?夜は?といった具合です。