路地裏コミュニティの復権

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

路地裏が好きでよく歩き回っている。
路地裏コミュニティ。隣近所が生活の中に介入してくる関係。完全にポライバシーが完全に保証されていない状況、井戸端会議に巻き込まれる・・・。など、現代の生活では受け入れられにくい環境だと考える向きも多い。「下町的」とマイナスイメージで捉える向きもあろう。しかし、高齢者の孤立化や孤独死の問題や、今後やってくる超高齢者社会に対して、国は地域包括ケアを推進しているが、「おせっかい」や「見る見られる関係」が穏やかに許容される環境など「路地」としてむしろ日本のどこにでもあった。路地の植え込みや、イスラムやイタリアの薄暗い路地裏、エーゲ海の迷路、スラム街、◯◯横丁・・・・「路地」にわれわれが良きも悪しくも魅力を感じるのは、ただ単に異質なものの魅力だけではなく、なにか人間の原風景のような原始的なコニュニティを感じるからかもしれない。都市計画や建築設計において「法的問題を解決してでも残し、または、わざわざ新たに造るべき古き良き伝統」だと思う。路地裏コミュニティの復権だ。

わかたけの杜では意識的に玄関を向かい合わせにするために南入りの玄関があります。また、空中歩廊を渡る人と目が合います。路地を意識的にジグザグさせて視線が錯綜するようにしています。ちょっと近隣の人と顔をあわせる仕掛け。ちょっと会釈する関係。それは現代都市が失った大切なものを再評価する試みでもあります。