出てみたくなるバルコニーをつくる。

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

バルコニーが単なる物干し場になっていませんか?
マンションでも戸建でも、バルコニーは物干し場として使われ、それ以外は菜園となっている状態をよく見かけます。せっかく観葉植物を植えても室内とバルコニーの間に連続性が無ければ十分に緑を満喫することができません。
以前「アウターリビングのある暮らし」でブログに書きましたが、今回は集合住宅や戸建にある一般的なバルコニーについてお話しいたします。合わせてお読みください。

バルコニーを設計する際に以下の点に留意します。
・原則としてバルコニーは素足で出てみたくなるようにデザインする。(実際はサンダルですが、設計者の思いです。)
・室内とバルコニーの間のサッシはフルハイトサッシ(床から天井まである開口部)にする。
・サッシは段差の生じないバリアフリーサッシを採用する。
・カーテンレールやブラインドは注意深く隠す。
・バルコニーのエアコン室外機を注意深く隠す。
・室内とバルコニーの間に極力段差をつくらない。(わざわざ出ていく感覚は段差から生じます。)
・室内とバルコニーの床材の色味を極力合わせる。(室内がそのまま外に繋がっていく感じをつくります。)
・バルコニーの幅は理想としては最低でも1.2m以上にする。(できれば1.8。これ以上はもはやテラスですよね)
・外部の床仕上げはオープンジョイント(目地を詰めず、排水に使うことを言います)にして、浮床にし、床下で排水勾配を十分とる。
・排水口(ドレイン)は掃除口を床と共材でつくる。
・手摺のデザインは椅子に座った目線で気にならなようにする。(強化ガラスは理想ですが高いので)
・目隠しを工夫したベンチなど、出てみたくなる機能的な工夫と外部デザインのアクセントにする。

事例は海に面した敷地に建つゲストハウスのリビングです。海に近い敷地から、バルコニーにヨットの帆に使われる布を使ったスクリーンとベンチをデザインしました。これによって人の生活の所在が感じられ、晴れた日は用がなくても出たくなる雰囲気を作っています。休みの日はおばあちゃんと孫がちょこんと腰掛けていたりしています。

一般的な賃貸でもこれに近い状態はDIYでも可能です。ただし、賃貸の場合はバルコニーが避難通路になっていることが多いので、避難の障害にならないようくれぐれもご注意を!。

撮影:北嶋俊治

ヨットの帆スクリーン。間口いっぱい開放することも考えられますが、ちょっとアクセントがあったほうが外観に変化が生まれ、一方室内では心理的な安心感が得られます。ただし、やりすぎると閉塞感が増します。ここは設計者の経験がものを言います。(撮影:北嶋俊治)

ヨットの帆スクリーンとベンチ。ちょっとした工夫が「出てみたくなるバルコニー」になります。ベンチに使ったり、プランター代につかったり・・・・。使い方は自由です。
物干し金物は低い位置に設けています。高齢者の使用に配慮しています。高い位置は腰が辛くて届きません。(撮影:北嶋俊治)