中庭のような吹き抜けを作る。

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

建物の中央に中庭をつくると、太陽の光や風など自然の恩恵を得られます。また、吹き抜けをつくると、上下の階の気配がつながることで一体感が得られ、さらに高い天井による開放感が得られます。ではこの両者の利点を兼ねそなえた空間は作れるのでしょうか?答えはYESです。

写真の事例は吹き抜け上の天井を全てガラスにした例です。天井が全てガラスなので、室内はまるで屋外のような明るさです。晴れた日は雲の移ろいで日差しが変わることを実感できます。季節によ日差しの変化まで体感できます。夜は星空を見ることができます。

サッシ部分は幅の広いルーバーになっています。これによって夏の昼間でもわずかに傾斜した日射を反射させ、ダイレクトに強い日差しが室内に入ることを防ぎます。また、壁を白くすることで、光を更に拡散させています。

まさに「室内なのに屋外のような空間。雨の降らない中庭のような空間」となります。唯一無二の空間を手に入れることができるのです。

ただし、単純に見えますが超えるべき技術的ハードルは高いのです。
・結露した水を排水する工夫が必要です。(メーカーが良い製品を用意しています)
・地震時にガラスが落下しないようにする工夫が必要です。(必要な性能を確保しましょう)
・日差しをコントロールするフィンは特注としてデザインしなければ開放感が得られません。(既製品では方位や日射角に対応しきれません。また、ガラスを支える構造材を兼ねることができません)
・窓清掃のために屋上に登れるようにする必要があります。また、作業時の安全対策を考えます。(清掃マニュアルを作るとか、ガラス自体に体重を支えられる強度を持たすとか、えの長い専用の清掃器具をあらかじめ提案する必要があります。)
・照明器具や火災感知器などの納まりに配慮しないと全て台無しになります。
・断熱などに配慮する必要があります。(ペアガラス、サーキュレーションダクト、居住域空調、床暖房など)

いかがですか?このように結構大変です。ですが・・・、効果は絶大です。ある程度の面倒を許容すれば、きっと普通では得られない素晴らしい生活環境を手にすることができます。この事例では築10年経ちますが、良好な状態を保ち続けていますし、クライアント様には感謝していただいております。いつでも相談にのりますのでご連絡ください。
(撮影 吉田明弘)

まるい円盤は、この施設が比較的大きな建物でしたのでスプリンクラーを設置しています。住宅であれば必要ありません。
青空と雲が見えます。この下では通常の植物もよく育ちます。
照明は壁付けのスポットを使用しています。それ以外にガラスを通して外部側に照明を設置しています。