アパート

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 アパートという響きはいいですね。最近はマンションとかテラスハウスとかがよく聞かれる言葉ですが、アパートというと集合住宅全体を表していて、私はなかなか好きな言い方です。
 さて、アパートとは今書きましたように、集合住宅をさすもので、ひとつの建物に多くの住人が住まう形式なのですが、これにはいろいろ工夫しなければならないところが多くあります。
 まず、多くの人々が住むわけですから、音の問題がとても大きな解決しなければならない課題となります。構造方法にかかわらずこれは後々のトラブルにつながってしまうことがあります。賃貸のアパートですと、その入居率が下がっていくことにもなりますし、住人同士の諍いにもなりかねません。建築基準法でも一定程度の仕様は規定されていますが、それだけを満足させても最近の人々を満足させることは難しいです。特に上下階の音の問題は、鉄筋コンクリートの建物でも気になるところです。
 木造でも、鉄骨造でも鉄筋コンクリート造でもその躯体に直に床を仕上げていけば、音の問題はなかなか解決しません。遮音シートや置き床を使うことなどで上下階の音の問題は上手く解決することが出来ます。あと隣との境の壁については、壁を厚くするとか躯体を2重にするとか構造方法によって色々な方法を選択することが出来ます。詳細についてはここでは書きませんが、木造でも十分な遮音性能を持ったものが作れるということだけは言っておきましょう。
 あとは、防犯のことが気になるところではないでしょうか。最近は木造の小さいアパートでもメインの玄関ドアをオートロックにして見知らぬ人の侵入を防ぐ方法をとっているところが多くなりました。これは、メインの玄関ドアが建物固有の鍵でなければ開かないもので、外部から訪問した人は集合玄関機(多くはテンキーによる住人の個別呼び出しインターフォン)によって、住人に確認してもらったあと住人によってドアが開けられるように解錠しもらうというやり方です。完璧ではありませんが、この方法がアパート全体の防犯性をあげるのには最も簡単で広く利用されている方法です。
 そのほかには、宅配物や郵便の受け取り方法などがありますが、これらは集合住宅用の製品が多く出回っているので比較的簡単に解決できることだと思います。
 設備については、特に排水は先に書きました音の問題に気を使うところです。排水管に遮音シートを巻きつけて遮音するなど工夫しなければなりません。各種メーター類の設置方法、設置場所についても入念に検討、計画しなければなりません。水道、ガス、電気それぞれの会社や機関との打ち合わせをしっかり行い、問題が起きないように設計、施工をしなくてはなりません。