用途変更について その1

ユーザー 一級建築士事務所 株式会社 竹内建築研究所 竹内健 の写真

 ここ数年来、既存の建物を安易に取り壊すのでなく、建物を再利用し、他の用途に変えて使う、という傾向が多くなっています。高度成長時代のスクラップアンドビルドでなく現有資源の有効利用の視点からも重要でもあり、(空き家問題の有効な対策などの可能性もありますし)建築士事務所の仕事としても増えつつあります。新築のみでなく用途変更や改修設計も私の事務所での大切な仕事と認識していますし、実際に、このところ数件を行っております。
 建物の用途を以前から変更して使用したいとする場合、例えばテナント部分が店舗であった建物(あるいは一部分)を高齢者デイサービスにしたいとする場合、(この事例は多いです)新しい用途にて法規上適合しているかどうかのチェック、(又は、そもそも、現在の建物が建築した当時の法規に適合しているかどうかの場合も含め)適合していない場合は適合させる設計が必要となります。なお、変更する用途や床面積規模により行政や審査機関へ建築基準法上での申請(用途変更申請)が必要になります。
 福祉施設設置の場合で行政側の施設整備費や運営補助金制度などを受ける際には、用途変更申請を取得することが条件になっていることがあります。ところが、用途変更申請に関することは新築をする場合と比べてやや複雑で解りにくいがあります。既存建物の購入や賃貸などの契約をした後に用途変更に時間と費用が係ることが解り、計画の延期や中止せざるを得ない場合などもあり得ますので、事前調査の段階から知識や経験のある建築士事務所に相談することが良いと思います。