現代版大黒柱

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

写真は工場リニューアル時に新規に取り付けた柱です。
他の垂直で白い柱と明らかに違った存在感を醸し出しています。理由はこの柱が地震時の水平力(ユッサユッサと横揺れするあれです)を吸収する役割を持っているからです。
一般的にこのような機能を持つ部分は「耐力壁」と言う壁にしてしまいます。ここでは特殊な力が加わる柱をあえて表出させ、色を変えて強調させることで施設の顔として空間を引き締める役割を与えています。言ってみれば、頑張っているお父さんみたいな「現代版大黒柱」なのです。斜めの柱の中央が膨らんでいる事もちゃんと意味があって、一番強い力が働く部分を太くしているのです。RC既存梁との接合部に醜いボルト類を出さない工夫や、細かい構造的検討を要する部分ですが、テキトーに考えるのではなく、大事な部分として技術の限りを尽くすことで実現しています。夜間に柱を照らすライトを床に仕込む事も忘れてはいません。
ちなみに、奥に見えるベンチは床の仕上材げがそのままベンチとテーブルに変形するデザインです。空間=家具となることを意図しています。極限まで薄くして浮かせる工夫が凝らされています。