溢れる物との葛藤2

ユーザー アーキ・ラボ 一級建築士事務所 近江 彰 の写真

先日、あらたなリフォームの依頼で一戸建ての住宅を訪問しました。
そして、ありがちですが玄関を入って溜息。
玄関も廊下も、居間はいうに及ばずキッチン、洗面など物、物、物。そして一言、
「収納が足りないんです。」そこは、某自動車メーカー系の住宅会社の設計施工でしたが、
たぶん何も考えていなかった。
でも、収納が不足しているのは事実ですが、そもそも物への考え方を何とかしてみては、と思ってまた溜息。

物が片付かない理由は、いくつかありますが、

①いつか使うかもしれない。

②思い出の品だから。

が2大理由。いつか使うかもしれない、
又は使ったことはないけれど便利そうだからつい買ってしまった。
まだ使えるのに捨てるのは勿体ない(つかいみちを考えないで買う方が勿体ないと思うのは私だけ?)
まず1年間使わなかった食器、鍋、着なかった洋服、靴、バッグ。
いつか昔の体型に戻ったら着れるかもしれない若いころの洋服(儚い望み?)。
私が無理だったら娘にでも(趣味がまるっきり違います?)。どうです。

子供が小さい頃につかっていた食器。着ていた洋服。幼稚園でつくった工作。絵。
思い出の品だから大事にとっておかなきゃ。確かにあなたのお宅は今まですごしてきた家族の博物館
。でもどのくらいの頻度で思い出に浸っています?
80歳のお宅には80年の思い出がつまっています。
でもその中で本当に必要なものはどのくらいありますか。人間、裸で生まれてきて裸で死ぬのですよ。
本当に大切なのは、今生きている時間、空間です。
「私は思い出に囲まれているのが幸せなの。」
そうですか、これ以上は言いませんが、でも昔の幸せに浸っている貴方、今本当に幸せですか?