渡辺篤史の建もの探訪ー段差で団欒 土間キッチンの家 (森清敏+川村奈津子、MDS一級建築士事務所)

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建もの探訪ファン
感想: 

お雛様を前にちらし寿司食べたひな祭り。
さっとしまおうお雛様。
今年もどうもありがとうございました。
またまた、らーいーねん♪
 
             ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「段差で団欒 土間キッチンの家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2016/8
川辺の楽しい集いの家だ。
 
             ◇ ◇ ◇
 
敷地いっぱいにすっぽり収まっているような、シンプルな箱型の建もの。
色はクリーム色。
道路に面する側には、玄関扉と小さな窓がふたつだけ。
建ものの向こう側は?
 庭が広がるのかしら? ダイナミックな天窓などあるのかしら?
と、ドキドキする外観だった。
 
川だ!
建ものの向こう側は、すぐに川。
玄関を入るとそのまま土間の台所で、
番組内では紹介がなかったけれど、その土間の台所を突っ切ると、
そのまま川側の勝手口に出られるようだ。
玄関を入ったら、川まで一直線!というわけだった。
 
土間の台所を一段上がるとリビングとダイニング。
玄関扉を開けるとLDKすべてが隅々まで見渡せてしまうという潔さだ。
川側には大きな窓が開けられていて、ぱあっと開けて明るい。
ちょうど建ものの前で、川は川底の高さを変える。
その小さな滝のようになった様子が、
コンクリートで囲われた都市河川でありながら、
躍動感溢れる川の風景になっていた。
遠くには、小高い丘の緑や、真っ黄色に色づいた
立派ないちょうの木が見渡せた。
 
玄関側からの外観で感じた期待に明るく応えてもらって、
なんだかとっても幸せな気分になった。
 
ただ、本当のところ、学生の頃、身近に豪雨による川決壊の被害があったから、
どうも川沿いに住むというのはいやだなあと思っているのだけれども。
 
             ◇ ◇ ◇ 
 
タイトルの通り、段差がミソの建ものだ。
 
1階の中心は土間の台所。
この土間スペースに面して半分がリビングスペースとダイニングスペースとなっている。
土間から一段(CDの高さ分くらい?)上がったダイニングスペース。
さらに一段上がったリビングスペース。
そして、川側の西面の窓辺と北面の壁側ももう一段高い。
この最高段は、ダイニングスペースでは食卓につくベンチとなり、
リビングスペースではテレビ台になっている。
 
たくさんの人が集まっても、どこにでも気軽に座れるように。
そんな意図の通りに楽しく友人と過ごされている様子が
番組では紹介されていた。
ダイニングスペースの食卓に加えて、
リビングスペースに座卓を広げてのパーティーだった。
リビングがダイニングより少し高くなっていることで、
椅子座りの食卓と床座りの座卓との高さの差が縮まっていて、
その一体感の具合がいい。
好きな場所を選んで座って落ち着ける、居心地のよさそうな空間だ。
 
このリビングでの集いに参加できるもう一つの居場所がある。
ロフトになっている、2階の板の間だ。
手すり代わりにデスクが設けられていて、
デスクにつく形でリビングを楽しく見下ろせる。
茶室のにじり口のような出入り口を持ち、ぐっと天井が低いこの板の間。
1階の人の気配を楽しみながらも、一人で何かに集中したり、
客人が休んだり、いろんなことにちょうどよさそうな場所だ。
 
3階は寝室になっている。
こちらも一部屋の中に、階段3段分の段差がある。
半分は子供たちの遊び場スペース、
3段上がった上段がベッドスペースと書斎スペース。
ベッドスペースは、高くなったスペースに直接マットレスを置いているよう。
下段はゆくゆくは子供たちの勉強スペースともなるように、造作の机の準備もある。
この段差もまた、ひと部屋をとても使いよく区切っていて、
メリハリのある素敵な空間だと思った。
ちょっと高いところでみんなで眠る、というのもちょっとワクワクする。
 
             ◇ ◇ ◇ 
 
このお家のご夫婦は、古道具がお好きなようで、
楽しく集められたものが、この建もの、暮らしに散りばめられていた。
土間キッチンにつけられたディスプレイ棚のような食器棚の板、
布の擦り切れたソファ、板の間の出入り口や卓袱台、
踊り場に置かれた小さな棚、など、など。
楽しくとてもセンス良く、建てものと暮らしが彩られていた。
 
各所にあしらわれた緑もとても印象的だった。
玄関ポーチ、リビング、浴室の窓辺など、
置き方がそれぞれにとても素敵だった。
広いお庭があるわけでもないのだけれど、
ちょっとずつ置かれた鉢が、それぞれにとても雰囲気があって、
世話をすること、見ることを楽しんでいらっしゃるのだ。
私も小さなベランダを楽しもう!
それだけで心躍る今週だった。