白いキャンバスのようなアトリエ兼住宅(埼玉県日高市A様邸兼アトリエ)
■白いキャンバスのような家が欲しい
Aさんは絵画を中心に作家活動をしている美術家で、家も住むことで完成させていく自分の作品だと思っていました。
ですから、初めから企画されて完成した空間ではなく、住みながら家と一緒に考え歩んで行けるそんなニュートラルなアトリエ兼住宅が欲しいと思っていました。
絵画に例えると、絵が描かれる前の白いキャンバスのようなアトリエ兼住宅を建てたいと思っていました。
完全自由設計といってもハウスメーカーの設計はメーカー主体の規格品をオプションで組み合わせるだけの自分のイメージとはかけ離れた家ばかりで、そんな考え方に高額な予算をかけるのは考えられません
何度かモデルハウスに見学に行った事もありましたが見るたびに悲しくなりました。
「何というか、感性を殺されてしまうような感じがしました」
とAさんは語っています。
初めからハウスメーカーには依頼するつもりは全くありませんでした。
また自分で工務店に直接イメージを伝えて依頼する事も考えましたが、主導権を工務店に取られてしまうかもしれませんので、やはり設計のプロに依頼するのが賢明と考えました。
自分のペースで建築家を探せる
建築家紹介センターの事はたまたま、ある建築家の方のサイトのリンクから偶然知りました。
申し込む前は普通の住宅ではなく、しかも低予算なのでいったい何人の建築家の方に興味をもっていただけるかが不安だったそうです。
それでも申し込んだ理由を聞いてみると
「他にも似たようなサイトはありましたがこちらの企画案を見て賛同して頂ける方を自分で能動的に探せる、ここが一番、自分のペースで探せる様な感じがしました。」
と言っていただきました。
実際に利用した感想を伺うと
「思ったよりも沢山の方に資料を送って頂いたので驚きました。
このサイトのシステムは他の建築企画サイトと違って全く干渉されないのが自分にとってはマイペースで良かったです。
反対に自分の家に対する考え方を明快にしておかないと大変かもしれません。
22社の方から資料を送って頂きお会いした方が9名です。
すべて事務所にお伺いしましたが、どなたも雰囲気がある方で、私も物創りをしている身として刺激になりました。
実は友人の知り合いに建築家がいたのですが、友人を通してだと感情が入りすぎると思い、あえて、このサイトを利用しました。
家創りは自分の作品と共通するもの、妥協したくはありません。
そういう意味で、このシステムは相思相愛で家を考えていける建築家との出会いの場として有効だと思います。」
と言って頂けました。
限られた予算の中でコストバランスを考えながら設計を
22人のなかから9名の建築家と会いました。
選んだのがU建築企画の鈴木さんでした
U建築企画にお願いしてよかった点を聞いてみると
「限られた予算の中でコストバランスを考えながら自分だけの設計を考えて頂けたのが良かったです。
設計だけでなく現場の管理や様々な書類手続きなど安心してお任せ出来ました。
設計について建築家の方に全てお任せするのではなく、お互いに考えながら意見を出し合い一歩一歩進んで行くプロセスは大変な時もありましたが、とても楽しい日々でした。
家つくりを越えて自分のこれからの人生、大切な事、物など自分を振り返る事が出来、家を建てるという事は自分の人生を考える事なんだな、と思いました。」
と言って頂けました。
完成した家で気に入っているところを聞いてみると
「まず、土地と周りの地域全体から空間を考えて設計して頂いた事、あまりにもアトリエからの見晴らしが良く、つい見とれてしまいます。
これも設計者の空間に対する配慮があるからこそ、
だと思います。
家は、住まなければ見えてこない部分が沢山あります。
とにかく最初はシンプルに必要な物だけに絞り、後はライフスタイルの変化に応じて住まいながら自分で手を加えていける余地が残されている『未完成』のこの家に、私は毎日創作する刺激をもらっています。」
という答えが返ってきました。
塀がなくてもプラーバシーが保てる住まい
設計者に選ばれたU建築企画の鈴木さんは最初に敷地を見た印象をこう語っています
「384m2の南北に長い敷地の北側(敷地内)に桜の木がありました。
敷地の東や南の方向には家が立ち並んでいますが北西方向は山々が臨め、自然を感じられる環境でした」
Aさんからは下記のような要望があがってきました
・敷地環境を活かした計画としてほしい。
・自分で住みながら手を加えていきたいので、造り込まれた空間ではなく、ざっくりとした箱空間をつくってほしい。
・アトリエ空間と住空間をはっきり分け、意識的にメリハリが持てるようにしたい。
そこで鈴木さんは敷地にゆとりがあるので配置計画にこだわりました。
自然が臨める北西方向にオープンな庭、大きな窓を設けると同時に、家が立ち並ぶ東側に住居、南側にアトリエを配置し、塀がなくてもプラーバシーが保てる住まいとアトリエとしました。
Aさんは仕事柄、長い時間この場所で過ごされるため、屋内だけでなく屋外空間も居心地のよい場所となるように、山々が臨める北西方向にオープンな「庭」を設けることをまず考えました。
そしてその「庭」が緩やかにプライバシーを確保できるよう、道路や隣家に対して囲うような建物配置としました。
大きい画像を見る
間取りについては、「庭」に出やすいように平屋に近いかたちとし、どの場所に居ても風が通り、四季の変化を感じることが出来る窓を設けることを意識しながら、シンプルな計画を心がけました。
そうした結果、左図のようなプランとなりました。
屋内外にさまざまな居場所ができ、日常の中で居場所を変える楽しみのある住まいとアトリエになりました。
概要
構造:木造地上2階建て
敷地面積:384㎡
建築面積:89㎡
床面積:99㎡
外部仕上げ
屋根:シート防水
外壁:ガルバリウム鋼板小波板
内部仕上げ
床:コンクリート、フレンチパインフローリング
壁:針葉樹合板オスモワックス拭取仕上(アトリエのみラワン合板EP塗装)
天井:針葉樹合板素地
設計者
U建築企画
〒270-0222
千葉県野田市木間ヶ瀬9750番地
http://www.yu-kikaku.com