渡辺篤史の建もの探訪ーインテリアが映える丘の家(今城敏明、今城由紀子・イマジョウデザイン事務所)

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建もの探訪ファン
感想: 

 新しい家族を迎える準備をするというのは本当に特別なこと。出産を待ちながら、心躍るような温かい気持ちで小さな準備をしている。
 必要なものをいろいろ吟味したり、チクチク丁寧に小物を縫ってみたり、 私や姉があかんぼだった頃のものや姉からのお下がりを洗濯し直してアイロンをかけたり。
 
 新しい生活を始める時はいつでも楽しい気持ちと暮らしの決意でいっぱいになる。一人暮らしを始めるときも、新婚生活を始めるときも、毎年の新年や新学期ですら。
 いろんなことを思い描いて、丁寧に準備しながら、
 「これからは、自分の好きなものだけで暮らそう」とか、「もう、美しくないものは処分しよう」とか、何度思ったことか。
 
 でも、それがなかなか難しい。
必要だのに素敵なものが見つからなかったり、お下がりやお祝いをいただいたり。
 暮らしにはすぐに、「ちょっときらいだけど、仕方ない。」が入り込んでしまう。
 
                ◇ ◇ ◇
 
 今日の建ものは「インテリアが映える丘の家」。
 http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2013/44
 センスのよさに感嘆のお家だった。
 
                ◇ ◇ ◇
 
 壁のフックも、ハンドソープも、おやつも、ポットも、椅子も、ランプも、置物も。。。
「ちょっときらいだけど、仕方ない」ものなど、このお家には存在しないのではないかしらと思う。ちゃんとこのご夫婦の心を通ったものたちばかり。
 プロのデザイナーが作り上げた空間をポンと自分達のものにするのとは違う楽しさ。「隠せる収納」たっぷりのすっきり見えるお部屋に暮らすのとは違う温かさ。
 「建もの」紹介番組だのに、番組を見終わって「建もの」を見た気はちっともしなくて、素敵な雑貨店に立ち寄ったみたいな気分になった。センスのよいご夫婦が暮らしのために丁寧に選んできた雑貨やアートは、この「建もの」に配されて、本当にうれしそうにしていた。
 
                ◇ ◇ ◇
 
 このご夫婦が選んだ暮らしの箱は、小さな別荘のような住宅。
 通勤には、小田急線の満員電車に乗らなくちゃいけないかもしれないけれど、窓からは町田の豊かな緑が見晴らせる。
「ここでは会話もいらないね。ただ一緒に座っていたら、それだけで満足できる。」
渡辺篤史さんはそんなコメントをされていたけれど、その通りだと思う。
 見晴らしのよい2階は1部屋。リビングダイニングキッチンそしてたっぷり広いベランダ。1階には寝室が一室。それだけ。その単純さで満足できる。
 
 ものを選ぶ確かな目があるから、自分の「好き」がちゃんとあるから、この別荘のようなお家がイキイキとしているのだと思う。この暮らしもまた、誰もがまねできはしない。