渡辺篤史の建もの探訪ー意外な所に庭のある11坪の家(楠部博政・ー)

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感想: 

 里帰りしている実家の庭には、手入れもしていないのに今年も水仙がたくさん開き出している。家のあちこちに生けてみると、水仙のいい香りが、スンと漂う。
こんなふうに寒いお外をちょっと部屋に取り込んで思う。
「お庭って、いいな。」 
 
                ◇ ◇ ◇
 
 今日の建ものは「意外な所に庭のある11坪の家」。
 http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2013/45
 建築家のご主人から、奥様へのプレゼントのようなお家だった。
 
                ◇ ◇ ◇
 
 施主は妻、設計者は夫。
 「施主の要望はなかなかにたっぷり。」
 「設計者はとにかく、要望全部に応えてくれて、やっぱりプロなのだ、と惚れ直した。」
 そんな素敵な施主と設計者。
 
 小さなお家の中に配された3つの小さな庭。フラワーアレンジメントの講師でもある奥様がお教室もできる多目的なスペース。そして、ご夫婦二人のためのほどよいサイズの生活空間。
 
 もちろんお家は二人のためのもののはず。それでも、妻の講師の仕事や趣味をしっかり理解し、妻からの暮らしの要望を信頼しているからこそ言える、
 「施主は妻。」
 よい二人の時間を過ごしてきたからこそ作り出せる、心地よい会話を静かに楽しめそうな二人のための一続きになったリビングダイニング、そして寝室。
 
 「い〜い家ですね。」
 番組を見終わって、なんだか温かい気持ちでつぶやいてみた。そして、私と主人が暮らす場は私のひとりよがりになっていないかしら、と、ぐるり思いを巡らせてみる。二人の重なる「好き」でできた部屋で、家で、暮らしたい。いかにも女性趣味に居間を飾り立てるのは好きではないし、そんなお部屋で自分の趣向に関係なく何も言わずに暮らす男の人を、私はちょっと頼りなく思う。
 
                ◇ ◇ ◇
 
 さて、このお家で素敵なのはやはり3つのお庭。
 南北2つの屋上庭と、2階のLDKと寝室の間にポッコリ埋め込まれたガラスの箱のような小さな小さな庭。
 お庭は、庭園として眺めを楽しんだり、木陰のある外の居間を楽しんだり、園芸を楽しんだり、楽しみ方はひとそれぞれたくさんあると思う。このお家の屋上庭で、ご夫婦は植物を育て、手入れしながら植物との対話を楽しまれているようだった。
 2階のガラスの庭もなかなか素敵だ。お部屋の中なのに、お外がぽっかり、そこにある。大きな生け花みたいなものかもしれないと、私は思う。
 
 来週もお庭がキーの建ものみたいだから、お庭考察をしながら、春を待つことにしようと思う。