渡辺篤史の建もの探訪ー洗練のデザイン こだわりの細部(冨田 秀雄・ 冨田秀雄建築アトリエ)

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感想: 

週末にホームセンターへ行ったら、もう、花盛り!
花も木も、野菜もハーブも、それはそれはたーくさんの苗が出ていて大にぎわい。それはそれは華やかで楽しくて、土曜日も日曜日も散歩に出かけてしまった。今日も散歩に立ち寄ってしまうのではないかしら。
ベランダが日ごとに賑やかになってゆく、春の日。
 
               ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「洗練のデザイン こだわりの細部」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2014/4
 
この番組で紹介される建ものは、ほとんど「洗練のデザイン こだわりの細部」のように思うから、番組が付けたこのタイトルはちっとも面白くない。でも確かに、一部屋一部屋、一カ所一カ所、そのひとつひとつを丁寧に考え仕上げられた建ものだったと思う。
 
               ◇ ◇ ◇
 
この家は、すごく家らしかった。
家らしい、というのは変な言い方だけれども、家の中に家族それぞれの個室がしっかり確保されていて、それぞれの個室で構成されている。
みんなのリビング、父さんの書斎、母さんのキッチンとダイニング、父さん母さんの主寝室、そして二人の子供が少し大きくなったら2つの個室に分けられる広々の子供部屋。
 
ここ数ヶ月この番組で紹介された建ものは、家の中に家族がそれぞれ独立した個室を持つことに執着していないお家が多かったように思う。家族でうまく空間を共有したり、部屋を柔軟に使ったり。そういう様々なお家の考え方に、私はいちいちなるほどなあと思ったり、面白いなと感じたりした。
今回は、家族それぞれの空間が中心に据えられた私がよく知るお家の形。
そういう意味では目新しい、という驚きはなかったけれど、丁寧に考えられ作られたそれぞれの部屋は、家族それぞれにとってとても過ごしやすそうだった。
 
みんなのリビングは、キッチン・ダイニングと独立した空間。家族の場所としてのダイニングとは別に、応接室としても使えそうだ。
母さんのキッチンには、手元がしっかり隠れて独立した感じも味わえる開放的な対面式。作業机も据えられていて、事務仕事もすっきり行うことができる。
父さんの書斎は1階の静かな和室。リビング、ダイニングからは遠いけれど、真上のダイニングにつながる吹き抜けがあって、光や音を取り込める。みんなで集まる場にもできるように、掘りごたつの準備もある。作り付けの机の前の壁は引き戸になっていて、がらりと開ければ、受付カウンターのように玄関につながる。籠れるけれど家族に開いた父さんのスペース。
子供部屋は3階のワンフロア。広々としていて、思う存分過ごせる。
 
               ◇ ◇ ◇
 
「1番のお気に入りのスペースは?」
と、渡辺さんはご夫婦へ問うた。
ご夫婦はふたりとも、リビングからみる階段の眺めが、ちょっと変わっていて好きなのだという。
3階へ続く階段を見上げると、お外からの光が注いでいる。
玄関と1階に下がる階段を見下ろすと、玄関に仕込まれた間接照明が光の道のように階段の先を照らしている。
幻想的なのだ。
 
私も実家では、ピカピカに晴れた日の階段が大好きだった。晴れた午後、2階からの光と、1階の玄関からの光がさあっと差し込んで、きれいな影ができた。
「ああ、お天気の日っていいなあ。」と時々階段に座り込んだ。
 
過ごしやすい部屋だけでなく心に残る眺めもあるお家は、愛おしい。