渡辺篤史の建もの探訪ー外と内 2つのリビングを持つ家(冨田秀雄・ 冨田秀雄建築アトリエ)

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建もの探訪ファン
感想: 

私の父は、
「お家に帰ったら、うがいして、おててとおかおを洗いなさい。」
といつも言っていた。
ずぼらな私は、いつもちょっちょと水で濡らす程度の手洗いと、お口を潤す程度のうがいをして、お顔を洗うのは割愛してきた。
でも、父はいつも会社から帰ってきて夕食の食卓に着くと、手も顔も、ぷうんと石鹸のいい匂いがした。
 
そんなことを番組を見ながら思い出す今日この頃。
暑くて、私も娘もあせもだらけだから、
お家に帰ったら、まずシャワー。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「外と内 2つのリビングを持つ家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2014/20
行ってみたい、感じてみたい。
渡辺さんの言うこの家の「気持ちいいですねえ。」を。
 
            ◇ ◇ ◇
 
最大高さ約7mの吹き抜けのあるリビングには、南向きの高窓からやわらかに光が注がれていた。
ストーブの煙突が、その高い天井に向かってまっすぐ健やかに伸びている。
見上げると、吹き抜けには、大きな窓が2つ。
その大きな窓は2階の主寝室と子供部屋のもの。二部屋は、ちょっとロフトみたいなのだ。
 
縦方向に感嘆したら、今度は横方向。
居間は、お船みたいに張り出した外のデッキまですっと広がっている。
デッキの最先端にちょこんと植えられたもみじの木に目がとまったら。
「いや、いや、いや、いや。いいですねえぇ。」
思わずデッキに出ずにはいられない。
 
「気持ちいいですねえ。」
と渡辺さんは感嘆する。
どんなにプロのカメラマンがうまく撮影したって、プロの建もの探訪者が感嘆したって、実際に身を置いてみなくっちゃ本当の気持ちよさは感じられないのだから、グルメ番組を見ているみたいな歯痒さだった。
とにかく、行ってみたい、感じてみたいとドキドキするような建ものだった。
私は、どんなにか気持ちよいのか、持てる力の限りをもって想像した。
 
デッキは道路側からも直接出入りできるから、近所の子供達や友人が集う場にもなっているという。
人が集まる魅力的なご家族にはぴったりのお家。
この伸びやかな空間は家族だけのためではもったいなく、たくさんの人が訪れて、なお一層魅力的になる。
 
                    ◇ ◇ ◇
 
このお家がちょと面白いのは、玄関横すぐにウォークイン靴箱とウォークインクローゼットがあることだ。
クローゼットも、ここなのだ。
帰宅したら、お家用に身支度を整えてお部屋へ、という流れをだいじにするためという。
私の父の、「うがい と おてて と おかお あらう」みたいだ。
お外の時間とお家の時間の間にある、儀式のようなこと。
 
実用的なことを考えても、なかなかよいと思う。
ゆったりと洋服に合わせて靴を選びたいけれど、靴をクローゼットのある部屋と玄関とで行き来させるのが億劫で、私はいつも玄関に下ろした決まった靴ばかり履いている。
おしゃれさんの住む家としては、このウォークイン靴箱とウォークインクローゼットが玄関のすぐ、は素敵な配慮だ。