渡辺篤史の建もの探訪ー細長い庭をもつ細長い家(岸本和彦、acaa)

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感想: 

先月、あわてて剪定したベランダのバラも、近所の草木も、
もう、どんどん目を出している。
あちこち、お花が咲いている。
春が来るのは、本当に楽しい。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「細長い庭をもつ細長い家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/9
岸本和彦さんの作品、再び。
 
            ◇ ◇ ◇
 
このお家のご夫婦は、この建もの探訪をきっかけにこの建築家と出会ったという。
このご夫婦が見られたのはきっとまた別の回なのだと思うけれど、
私も一昨年にこの感想を書き始めてから、既にひとつ、この建築家の作品に出会っていたのだ。
建築家が名付けた建ものの名前は「Casaさかのうえ」。
番組の紹介では「坂の上のピロティ式住宅」とタイトルが付けられたもの。
 
いいねえ!面白いねえ!
やっぱりお家を建てる時は建築家と建てたいねえ!
一緒にみていた夫に思わず言った。
建築って本当に面白いのだなと思う。空間が生まれるって、すごくワクワクする。
そういう爽快感のある高揚を、確かに、以前紹介された「Casaさかのうえ」を見たときにも
感じていたと、記憶をたどった。
そして、自分が書いた感想を読み直してみた。
  
            ◇ ◇ ◇
 
”このご夫婦のしっかりとしたスタイルがあってでき上がった建ものにちがいないけれど、
建ものがこのご夫婦を導いているようにも思える。
不思議な素敵な関係が、この家と家主との間にあるように感じた。”
「Casaさかのうえ」の感想に、私はそう書いていた。
それを読んで、今回のこの建ものの魅力にも当てはまることだと思った。
 
一緒に見ていた夫は言った。
ある意味、気持ちがいい家だよね。
都会に住む。だから狭くてもいい。
物を増やさずスマートに暮らす覚悟はする。
車は持たない、自転車で十分。
年をとってもロフトのはしごを上れる体力維持はする、、、。
そういうことを、スパンと割り切っているのだもの。
と。
 
そうなのだ。私たちはこう暮らす、こう生きる、
そういうスタイルを強く感じることができる。
 
面白くて素敵な建ものだけれど、あくまで「若い夫婦二人の生活」のための家よね。
二人暮らし用だから、こんなかっこよさや面白さが実現できる。
私ははじめ、そんなふうにも感じた。
でも、このご夫婦も、きっといろんな未来を思い描いて家づくりをされたはず。
そう思って、私も、もし家族が増えてもこの家で暮らせる家だろうかとか、
年をとっても心地よく感じるだろうかとか、
この家で時を重ねていくことを私なりに想像してみた。
すると、「年を重ねた夫婦」の暮らしも、「こどもが一人いる家族」の暮らしも、
なんだか自然に思い描けた。
暮らせるじゃない。いいじゃない。
 
「打ち合わせの後は、毎回宴会だった」という、建築家と若い夫婦二人の家づくり。
いくつもの宴を経てでき上がっていったスタイルのある建もの。
この建ものが、夫婦が年をとろうが、家族が増えようが、
いつでもぶれずにこの家族の暮らしのスタイルを守ってくれる、
そんな気がした。
  
とても魅力的な建ものだと思う。
もっとも、冷暖房の効きが悪いのじゃないか、という心配はあるけれども。