全天候型アウトドアリビングになるインナーテラス・創設計 勝田無一さん


 
インナーテラスがあると雨が降っても大風が吹いても日常を楽しむ全天候型アウトドアリビングとして多彩な生活が実現します。
 
インナーテラスについて創設計 勝田無一さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー ガーデナー建築家/創設計 勝田無一 の写真
東京都渋谷区神宮前4-25-3
03-3408-8419

 

インナーテラスとはどのようなものでしょうか?

 
日本人の住まいの歴史を考えながら発想した「こだわり」の生活スペースです。
現代の住宅はほとんどが内部と外部をしっかりと区画し、内部を囲う「箱」としての建築スタイルです。
 
この壁構造の住宅スタイルは、日本人が親しんだ内部と外部を曖昧(あいまい)に連続する軒先や縁側の空間を閉ざして次第に忘れ去る住宅スタイルとしてしまいました。
 
日本人の住居感覚には、グローバル化した現代でも大陸文化や欧米人には無い一種独特の生活感があると信じています。
 
昭和初期頃まではほとんどの住宅には縁側がありました。
夏には縁側に腰を下ろし夕涼みをしてスイカにかぶりついたり、花火をしたり・・・・冬にはガラス戸を閉め日向ぼっこをしたり・・・・
 
古くは室町時代の禅宗寺ではお堂の広縁の前に坪庭を作庭し深山幽谷の世界に見立てお坊さんが座禅を組んで修行をしました。
このスタイルがやがて庶民へ下り住宅の縁先の庭へと広まりました。
 
京都の町屋も光と風を取り込む生活手段として当然のごとく建築と庭が融合しています。
京都観光をして、このような情景を見ると皆さん「何か・・いいわね」とおっしゃいます。
 
この感動が日本人の「内部と外部」を曖昧(あいまい)に住みこなしてきた名残りであると思います。
まだまだこの魅力・郷愁は日本人の心の内にDNAとして擦りこまれているのだと思います。
 
しかしながら現代の住宅環境はどうでしょう。縁先に広がる庭のスペースはなかなか望めません。
せめてリビングスペースの前にテラスが確保できるなら、生活スペースと開放的に繋げてアウトドアリビングとして取り込み、その外側でプライバシーを確保する。
 
住宅の内部と外部の中間のスペースとしてアウトドアライフを積極的に楽しむ、温故知新の探求心で実現したインナーテラスです。
アウトドアを気軽に楽しむ半外部空間を表現するために直植え植栽や池、バーベキューの炉を置いたり楽しい生活を演出しています。
 

 

インナーテラスのメリット・デメリットを教えてください

 

メリット
雨が降っても大風が吹いても日常を楽しむ全天候型アウトドアリビングとして多彩な生活感が実現します。

 

デメリット
風雨を調節する全天候型アウトドアスペースとするためには囲い部分のサッシ・ガラス・外壁面積が多くなるため若干コストアップとなります。
しかし、床は土間のままでも可。また、屋根はあってもなくても状況次第、伸縮式オーニングテントでも可ですから一般部分の建築単価より遙かに安価となります。

 

インナーテラスとサンルームの違いを教えてください

 
インナーテラスは建物と一体に建築計画し、内部の生活スペースに広く開放し、内部との関係を熟慮した年間を通じて有効利用できるよう積極的にアウトドアライフを演出するスペースです。
 
採光屋根を設置するとしても2層の高さとします。最低高でも1.5層を取り、テラスサッシの上部にて夏期の換気・バーベキュー時の排煙を取り快適なアウトドア空間とします。
 
サンルームは、一般にリビングルームの前面等にガラスサッシにて壁・屋根を構成するスペースをイメージしますが、冬期の日照確保利用と雨天時の利用目的が主体と思います。
 
リビングに付随するティールームのスペースや雨天時の物干し等としての利用もインナーテラスに比べやや消極的なアウトドア利用と考えます。
 

インナーテラスを土間にすることも可能でしょうか?

 
もちろん可能です。
リビングより一段下げて縁側スタイルとしても楽しめます。
 
リビングと同高さのデッキ床面としてリビングの広がりを強調することも出来ます。
 

 

インナーテラスをタイル張りにすることも可能でしょうか?

 
私の作例では、タイル張り・石張りとすることが多いです。基本的に水洗いできる仕様としています。
直植え植栽には直接ホースで水やり出来ることとしています。
 
リビングの中でホースで水まきが出来る!ということもアウトドア感覚のスペース表現です。
真夏はタイル面に打ち水をすると快適です。
 

インナーテラスで洗濯物を干すことは可能でしょうか?

 
「観て楽しむテラス」「楽しく使うテラス」とテーマを分けてデザインしています。
屋根を掛けたスペースでは、全天候型もの干し場として台風の時も長雨の季節でも大変便利です。
 
2層の高天井とする場合は、2階や窓メンテのキャッツウォーク手摺りに布団も干すことが出来ます。
 

インナーテラスでバーベキューすることも可能でしょうか?

 
雨が降っても、風が吹いてもアウトドアリビングでバーベキューパーティーが楽しめることがインナーテラスの大きなメリットです。
 
バーベキューを想定する場合は、高天井とし外部側テラスサッシを閉めて風に影響されないアウトドア環境として上部窓にて排煙換気します。
快適なバーベキューが楽しめます。
 

楽しいホームパーティーの様子です

 

アウトドアライフの家を設計する際に工夫した点を教えてください

 
どのようにアウトドアライフを楽しみたいかクライアントのご家族とよく話を重ねます。
ご家族によりアウトドアスペースの考え方が大きく違います。
 
「バーベキューはもちろん子供が水遊びできるように・・・」
「植物が好きなので温室の中にいるようなスペースに・・・」
「ガーデニングが好きなので雨天でも植木鉢の手入れが出来る作業スペースが欲しい・・・」
「リビングからデッキテラスを広げて開放的に美しく・・・」
「雨が降っても家族と一緒に日曜大工が楽しめるスペースに・・・」等々。
 
ご要望を汲み取りアイデアの提案しながら設計することが私の楽しみでもあります。
 

インナーテラスとリビングの関係はどうなっていますか?

  
意匠デザインとしては内部リビングからの視線を考慮していかに開放的な生活スペースとするかを考えます。
リビングとインナーテラスの仕切りサッシを引き込み式やフルオープンタイプサッシなど多用なプランニングを考慮します。
 
厳寒期の夜間はインナーテラスが断熱空間となりリビングルームの省エネにも大きなメリットとなります。
 

インナーテラスのあるマンションも設計していただけますか?

 
一戸建て住宅にあって集合住宅に無いものは専用の外部空間です。
ほとんどのマンションは避難に最低限有効なバルコニーのみとなってしまいます。
サッシを開けるとその先は間近の空中です。
 
少し広めのバルコニーがあるマンションでは、床にデッキを敷いたり植木鉢を置いて楽しんでいる情景を見かけます。
アウトドアの潜在需要は集合住宅にもあるはずです。
  
いろいろな提案をして参りましたが理想の集合住宅はまだ実現していません。
手がけてみたいテーマです。
 

インナーテラスのあるアパートも設計していただけますか?

 
アパートにも楽しめるアウトドアスペースがあったとしたら入居率UP効果となり周辺アパートとの差別化が図れると考えています。
是非挑戦してみたいテーマです。
 

創設計 勝田無一さんのインナーテラス・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
アウトドアライフの家

絶対楽しいインナーテラス・・・・アウトドアライフの家

家の中のアウトドアスペースは、空気を囲うだけのローコストエンジョイスペース。安く作って広く使える楽しいリビングルームです。